「悔いしかない」。そう振り返る、初めての選手権だった。
1月4日、全国高校サッカー選手権大会準々決勝、東福岡戦に先発した、川崎フロンターレU-15出身、静岡学園のFW佐々木雄基(2年)。
1回戦、2回戦に続いて、3度目の先発の舞台は、U-10時代から目指してきたフロンターレのホーム、Uvance とどろきスタジアム by Fujitsu。
フロンターレU-18でプレーする、かつてのチームメートたちからは「点決めてこい!」。背中を押してくれるメッセージもあった。
「やっぱり『帰ってきたな』感が強くて」「『ここで1点取りたいな』って思ったんですけど」
等々力へ向かうバスから目にした街の景色を見て、そう誓ったという佐々木。
中学生以来の等々力のピッチは「やっぱり雰囲気いいですし。めっちゃ楽しかった」
しかし、右サイドから、今大会初めてのトップ下へ、ポジションを移してのプレーは、40分間で終わる。
チームがサイドでのプレー選択も多かった中、なかなかうまく受けることができない。
持ち味のドリブルでも、「もっとゴリゴリ、ガツガツ、自分で行っても良かった」。
ダイレクトパスでチャンスになりそうなプレーこそ見せたものの、本領発揮とはいかず、前半のみで交代に。
「プレーでいったら、ちょっとまだ足りないので。悔いが残りますね」
後半、静岡学園は、東福岡の堅守を破ることはできず、PK戦の末に、大会から去ることになった。
7月静岡学園Ⅱの背番号10として臨んだプリンスリーグ東海の浜松開誠館戦後には「今年の目標は、選手権、まずは入ること」と語っていた佐々木。
◇「最終的に選手権に入れるように、日々の練習から自分の特長をのばせるように頑張りたいです」 / FW佐々木雄基
徐々にBチームで自信をつかみ、Aチームに来てやれるようになり、目標通りに選手権のメンバーに入ったここまでを、得意な攻撃はもちろん、守備でも、さらには人としても成長を実感するものだった、と振り返る。
それでも「結果を残さなければ、生き残ることはできない」。ピッチに立つだけではいけない。一人のサッカー選手として、生きていくためにはまだまだ、必要なものが自分にはある-。そのことを誰よりも、実感している。
「試合を決定づける選手になりたいですし、もっと積極的なドリブルで、自分のチームみたいな感じにしたい」
初めての選手権は終わった。磨いてきたものをさらに磨いて、足りないものを補って、結果を出すための日々が始まる。そして、また、この舞台に帰ってくる。
今度は、ゴールを決めてみせる。シズガクを勝たせる選手になってみせる。
(文中敬称略)
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