いよいよ開幕を迎えるプレミアリーグEAST。
川崎フロンターレU-18は、4月6日午後2時Anker フロンタウン生田にて、東京ヴェルディユースとの開幕戦に臨みます。
2022年のプレミアリーグ初参戦から4年目のシーズンを迎えるフロンターレU-18は、長橋康弘前監督がトップチームのヘッドコーチとなり、新たに森勇介監督が就任しました。

現役時代は、2005年から2010年まで川崎フロンターレで右WB、右SBとして活躍した森監督は、2011年以降、東京ヴェルディ、FC岐阜、SC相模原、沖縄SVでプレーし、2018年引退。
指導者となり、東京ヴェルディジュニアユースや大学、社会人などでコーチを歴任。

2024年に川崎フロンターレU-15生田のコーチとして、14年ぶりにフロンターレに復帰。主にU-15生田の2年生たちを指導しました。

川崎そだちでは、2月5日に森監督にインタビュー。
フロンターレのホームゲーム開催時に配布される「みんなのチラ裏」の「川崎そだちのアカデミー通信」で3回にわたってその模様を掲載させていただきました。
この記事は、その詳細版です。

〇森さんが2010年にフロンターレから離れることになって、そのときにブログをやっていて、「夢が出来て、それが指導者になることだ」と書かれていたことが印象に残っています。
あんまり覚えていないんですよね。
〇覚えていないんですか?
でも、別にうそを書いたつもりはないですけど。そのときにふと思ったんでしょうね。
まだ、そのときは30歳ぐらいなので。まだ、サッカーできたし。
現実的に指導者やろうかなと思ったのは、本当35歳ぐらいになって、C級(ライセンス)とった時に、「ここまでサッカーをやってきたのだから、ほかの道じゃ無理だから。何があるんだといったら、指導者がいいかな」というのは本気に思いましたね。
〇去年フロンターレに帰ってくることになりました。そのときはどう考えたんでしょう?
ほかのところでも言っているんですけど、最初は迷いましたね。
自分の生活も、循環というか、大体基盤ができていましたし。
大学だったり、小学生だったり、解説もやりながら、いろいろ仕事をいただいていたから。
結局全部それを辞めて、こっち一本でこなきゃいけないし。あとは大人をやりたかったので、大学生をやっていて、社会人をやっていて。 (帝京大や東京都社会人リーグのFC NossA八王子のコーチを務めていた)
大人をやりたかったから、そこは迷ったんですけど、お世話になったクラブでこうやって声をかけていただくことは、なかなかないことなので。家族とも相談して、嫁は「絶対行け」って言っていたので。
〇奥さんなりにフロンターレに行ってほしいと?
それもあるし、何本か掛け持ちしていたから、すごい体がきつかったのを見ていると思うので、それで「一個で集中してやれたほうがもっと指導に熱が入るんじゃない?」っていう感じで言ってくれたから。それがありがたかったから。
それはまあ、奥さんのおかげじゃないけど、もちろん自分でもそれで「やりたいな」と思ったので、山岸さん(山岸繁育成部長)に連絡したんですけど。
〇去年1年間フロンターレのアカデミーの選手たちを指導してみて、どう感じました?
今どきの現代っ子が多いのかなと思っていたけど、俺の学年はわりと、現代っ子ぽくないのが多かったので、けっこう厳しくしても大丈夫で、楽しかったですね。
「根性あるな」と思いましたね。
〇去年指導していて、一番うれしかったことは、何ですか?
1回中だるみ期間があって。やっぱり中2は上(の学年)に行ったりとか。まだまだ精神的にも未熟な年代で、一番不安定な時期だから。
ずっと勝っていて、すごいいいサッカーをしていたのに、急にダメになっちゃって。
「どうしたんだ!? おまえら」と思ったりしたけど。
やっぱり最後に歯をくいしばって、いいかたちで終われたのがうれしかったなって。
最後に圧倒して勝てたのが、「やっぱりあいつら根性ある」っていうのが、すごいうれしかったですね。それはあいつらの成長かなって思いました。
(川崎フロンターレU-15生田の2年生は、シーズン最後の試合、12月23日のLIGA CAMUFLAR CENTRAL、セレッソ大阪U-14選抜戦で5-1で勝利した)
〇森さん自身は高校生の時、どんなことをやってプロの道を切り開いたんでしょう?
いや、「プロになろう」とか「なれる」とは、あんまり考えていなかったですけどね。
「大学にしっかり行きたいな」っていうのがあったので。
でも、サッカー好きだったし。楽しかったし。とりあえず、大学でも続けられるように一生懸命やっていただけですね。
別にプロになろうとか思っていなかったです。
〇U-18の監督に、というのはいつごろ声をかけられたんですか?
11月ぐらいですかね。
責任もあるし。久々に選手以来、選手をやっていたときぐらい、ひりつく感じの立場だなって思いました。
勝負がかかっているので、プロとあんまり変わらないので。
その中で個人も育てないといけないので。「久々にひりつく仕事が来たかな」と思いました。
〇では、今年目指すのは結果も?
優勝はしたいですけど、まずは本当に個人のところを成長させて、プロに選手を一人でも多く出すこと。
本当に1試合1試合ですよね。その結果、優勝できたというのができれば一番いいかなって思っています。
個人の成長のところと、目の前の結果をしっかり出せるように全力でやります。
〇この年代のサッカーの魅力って一生懸命やるとかそういうところ、でしょうか?
この年代というよりはどの年代も大人も一緒ですよね。しっかり魂込めてやらないと。
「見に行きたいな」「もう一回行きたいな」って思わないし。
上手いだけじゃ、人の心は動かないし。
魂あっての技術だったり、フィジカルだったり、戦術だったり。そこはちょっとずつ植え付けたいんですけど、
まだあの子たち、なよなよしているので、おとなしく、やさしくのびのびやらせています。
とりあえずはのびのびやらせて、ちょっとずつ信頼関係を築いて、もっと信用してくれていたら、もっと厳しいことも言おうかなって思っていますけど。
今はのびのびやらせてあげようかなって思っています。
〇始動して1カ月ぐらいだと思うんですけど、選手たち、外から去年見てみての印象と、指導してみての印象ってどうですか?
おとなしいなと。「大丈夫かな」って思っていますけどね。
〇まだ気持ちの部分が?
そこが変わってこないと、プレーも変わってこないんじゃないかなって思います。
もちろん、最上級生になったやつらとかはちょっとずつ、多分変わってくると思うんですけど、まだまだ「こんなんじゃ勝てないかな」っていう感じでやっています。
〇長橋さんや佐原さんからは何か声をかけられました?
いや、特にないですけど。進路のやり方とかは教えてもらいました。
あとは別に前がどうだったとか、俺は気にしないので。
ただ、今までいてくれた人が頑張ってくれたおかげでプレミアでいるわけだから、そこだけはしっかり考えて。
その上で何か今までなかった、プラスアルファ、魂のところを乗っけていけたらいいかなと思っています。
〇去年1年間やってみて、フロンターレのアカデミーが目指すサッカーについてはどう感じました?
ボールを大事にする。でもボールを大事にするだけでは点を取れないし、守れないし、サッカーもこの年代からけっこうフィジカルとか、サッカー変わってきているので。
「どうやって点を取らせて、どうやって守らせてあげようかな」っていうところと個人のところ。成長のところは考えながらやっていたんですけど。
けっこう難しかったですね。
もちろん能力のある子たちだから、ある程度できるんですけど。ここから突き抜けそうなやつは「まだまだ、あれじゃ足りないかな」っていう感じでやっていました。
〇今フロンターレのアカデミーを指導しているコーチ陣は、サポーターからすると、かつてトップチームでプレーした選手が多くて。そういった人たちと一緒にフロンターレのトップでプレーする選手を育てるために指導をするのは、どういった気持ちですか?
やっぱり今、フロンターレのアカデミーにはいい子たちが来てくれているので。
力のある子たちに、さらに力をつけてあげて、順調に育ててあげないとってすごい責任感を感じているし、その子たちがプロ行ってくれたら、うれしいかなって思いますけど。責任感を感じますね
〇大人の選手を指導するのと違った魅力とかはあります?
(選手たちは) 変わりますよ。
やっぱりさっきも話しましたけど、全国大会とかそういうところ、公式戦で子どもたちは変わるので。
やっぱり一個の試合で変わるし、何かきっかけをつかむだけで、一気に全部歯車が合って、すげえプレーをするのが面白いですね。
もちろん、大人でもそういうときがありますけど。特に中学生、小学生、高校生なんかは、苦しんでいても一気に変わります。何かきっかけさえつかめば。
「そのきっかけをつかめるように、おまえら頑張れ」って、(U-18の選手たちには)毎日言っているんですけど。
〇そういうところが、ユースをあまり見たことのないサポーターにとっても面白いのかなって思うようなところなのかなって思うんですけど、どうですか?
どうですかね。まだ始まったばっかりだしね。何とか頑張らせたいですね。
〇今、ユースをあまり見たことのないサポーターに、ユースのこういうところを見てほしいっていうものはどこですか?
やっぱりアマチュアじゃないですか。アマチュアで、最後まで一生懸命走るところ。
走り抜くとかというところが、高校サッカーでもそうだし、そういうアマチュアでもこれぐらい一生懸命ボールに食いついたりできるんだぞ、っていうところはまず見てほしいというのと。
その中で、どれぐらい技術を発揮できるか、ボール取られないとか、何回相手のゴール前、迫れるとか。ピンチに体を張れるとか、そういうところは見てほしいですね。
〇気持ちの部分が大事?
ほぼ、そこしか言っていないですね。
〇森さん自身、選手の時にいろんな方に指導されたと思うんですけど、印象に残っている指導者の方っていますか?
もちろん、ここで指導してくださった関塚さんだったり、高畠さんだったりっていうのはすごくお世話になったし。ほかにもいっぱいいますけど。
でも、やっぱり「思い切って自分の力を出せるように」と毎回言われていたので。
「びびってやるな」って、ずっと言われていたので。
この子たちも言っているんですけど。「びびっていたっていいことはない。失敗してもいい」って言っているので。
そういう意味ではのびのびやらせて。
「のびのびやれ」って言うと今度は切り替えとかしなくなったり、「緩くやれっていう意味じゃないよ」って言っているので。
そこが分かって、のびのびやれたら、多分、結構すげえプレーをするんじゃないかなっていう期待はしています。
〇多分トップに上がる選手ばかりじゃないと思うんですけど。トップに上がらなくてもユースを卒業するころにはこういう選手になってほしいっていうものはありますか?
今は大学に行ってもプロに行けるし。
もちろん、フロンターレに戻ってきてほしいし、フロンターレでプロになってほしいのは間違いないんですけど。
でも大学に行って、ほかのチームでもプロになれるような、「フロンターレのサッカーしかできない」とかじゃなくて、どこに行っても「フロンターレの選手、いい選手だね」って言われる選手を育てて。
もしフロンターレから呼ばれなくても、ほかのチームでプロになって、活躍してくれる選手を育てたいですね。
〇森さん自身は、アカデミーだけじゃなくて、この先トップチームに行く可能性もあるのかなと思うんですけど、それについては?
いや、何も考えてないです。まずはとりあえず、今年1年、大仕事を任されちゃったので。
でも、ありがたい仕事だから。なかなかもらえる仕事じゃないので。俺も楽しんでやります。
そうしたら、選手も多分楽しいと思うので。
〇フロンターレのアカデミーを熱心に応援しているサポーターの方にメッセージをいただけるでしょうか?
将来トップチームで活躍する金の卵をしっかり孵化させてあげるように、スタッフ一同、すごい温かい目で見守っていますので。少しでも足を運んでいただけたら、うれしいかなと思います。
〇まだ、フロンターレのアカデミーの試合をあまり見に来たことがないサポーターの方にメッセージをお願いします。
本当にゴールを目指す、トップと引けを取らない、いいサッカーをしていると思うのでね。
一回見てくれたら、また来たいなと思わせるような選手たちばかりだと思うので。
一回見に来てください。

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インタビューから2カ月。
川崎フロンターレU-18は、神奈川県クラブユースリーグカップを優勝、J-VILLAGE CUP U-18では準優勝。プレミアリーグEASTに先立ち行われたJユースカップ初戦の栃木シティ U-18戦では7-0と白星発進。
トレーニングを重ね、大学や他のJユースチーム、高校と多くの練習試合を重ね、開幕に向けて準備を進めてきました。
さまざまな強豪が集まるプレミアリーグEASTは、毎回がひりつくような試合が続く日本最高峰のU-18のリーグ戦。
そうした素晴らしい舞台で、森監督をはじめとしたコーチ陣たちの指導のもと、フロンターレU-18の選手たちがどう成長していくのか。これからにつながるようなどんなきっかけをつかむのか。どんな表情を見せ、どんな結果を残していくのか。とても楽しみにしています。
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