6月28日、青森山田高校グラウンドではプリンスリーグ東北第9節が行われ、青森山田セカンドと尚志が対戦。
尚志は川崎フロンターレU-15出身のDF榎本司(3年)が先発。右SBとしてプレーしました。


試合はロングボールから攻撃の糸口を探ろうとする青森山田セカンドに対し、尚志も粘り強い守りを披露。
CBの4松澤琉真や3西村圭人、中盤のMF6小曽納奏が組み立てて、だんだんとボールを保持する時間を増やしてくと、MF7臼井蒼悟がうまく間で受けて、前に持ち上がり、さらにFW11根木翔大がサイドに流れ、パスを引き出し、エリア前に迫る時間をつくる展開に。
榎本も高い位置へ顔を出し、サイドに張るだけではなく、中央へ持ち込む動きや、斜めの速いパスを入れるなどして、攻撃のスイッチを入れようとプレー。

それでも、前半36分、青森山田セカンドは右サイドでのスローインの流れから、遠いサイドでゴールを決め、1-0に。
しかし、尚志は39分、榎本のフィードを、右サイド、流れた根木がおさめ、折り返すと正面へうまく入り込んだMF10田上真大が決めて、1-1に。

その後も榎本がエリア右へ抜け出し、折り返す場面をつくるなどする尚志。
しかし、青森山田セカンドも体を張った守りで対抗。

勝ち越しを狙う青森山田セカンドは、44分には、右サイドでスローインを得ると、ロングスローのこぼれ球を拾い、エリア外正面でFW14斉藤雅人がシュートを打とうとするも、尚志は体を張った守りで、これを阻止。
するとこぼれ球を拾った尚志は、カウンターに転じると、根木が抜け出し、1対1に。これを決めて、1-2。

1-2、尚志がリードして迎えた後半、尚志はさらにボールを保持。2分には、松澤のフィードに、右サイド、抜け出した榎本が折り返し。根木が抜け出すも青森山田セカンドが粘り強い守りで対抗。ゴールとはなりませんでしたが、決定的なチャンスを創出。


青森山田セカンドも、ボールを持たれる時間はあるなかでも、最後のところで体を張った守りを披露。
なおも尚志がボールを握り、田上真大がうまく中央へ持ち込むなどするなかで、最後のところで決定的なシュートは打たせず。
23分には、うまく間で受けた根木から右サイドに展開、榎本の折り返しに、根木が正面へ入り込むも、足元には惜しくもおさめられず。
それでも、飲水タイムをはさんだ、27分には、松澤のフィードに、エリア外左、抜け出したFW18村田柊真が角度のないところからシュートを打つとこれが決まり、1-3に。

2点差を追う青森山田セカンドは、ラインを高め、長いボールとサイドからの仕掛けを使いながら、次第に尚志のエリア前に迫る時間を増やし、29分には、ロングスローの流れから、MF17櫻庭一斗がヘディングシュートを打つもこれは上。
34分には、右サイドでのスローインの流れからこぼれ球を拾ったDF4斎藤大翔がエリア外左でシュートを打つも、枠はとらえられず。
さらに高い位置で櫻庭が競り、途中出場のDF22津嶋太陽やMF24三國ケースマンエブスが仕掛けるなど、尚志のエリア近くへ迫る時間をつくる青森山田セカンド。
43分には、左コーナーキックを得ると、セカンドボールを拾い、右クロスからMF15原田幸が放ったヘディングシュートが決まり、2-3に。
なおも青森山田セカンドが両サイドや長いボールも使いながら、ゴールへ迫る時間をつくるも、尚志は、コンパクトに粘り強い守りで、対抗。5分のアディショナルタイムも乗り切り、2-3。
勝利したのは尚志に。
尚志は、7勝1分け1敗、勝ち点を22まで伸ばし、1試合未消化のベガルタ仙台ユース(6勝2分け、勝ち点20)を上回り、暫定で首位に浮上しました。
榎本は、随所に足元の技術の確かさも見せ、機を見て攻撃参加。
守備でも、クロスに対して、しっかりとカバーを見せるなど、42分に交代になるまで、攻守に存在感を出そうとプレーを積み重ねていきました。

試合後に榎本司に話を聞かせてもらいました。

〇試合を振り返ってみて、自分のプレーなどについてはいかがですか?
自分としては、入りのところがあまり良くはなかったですけど。
失点してから全員意識が変わって。そこから逆転まで行けてチームとしては良かったんですけど。
個人としては周りが見えていなくて。思い通りのプレーというのはできなくて。
「空回りしてしまったな」って思っています。
〇監督からはどんなプレーを出してほしい、と求められていました?
監督からは、いつもどおり、攻撃的な。前に上がっていって。得点に絡むようなプレーをいつも求められているので。
それに応えられなかったのが、ちょっと課題かなと思っています。
〇そのなかでも、スピードを出して、裏を取る動きも出して、高い位置でプレーする場面もあったとは思うんですけど、どうですか?
いや、できる部分も多かったですけど。まだまだ。もっとチャンスをつくらないと。
この先、上ではやっていけないと思っているので。
回数プラス質というのをもっと求めていきたいと思います。
〇去年は腰のけがで出られない時期があったという感じだったと思うんですけど、いつごろから復帰したんですか?
復帰は、7月8月ぐらいに復帰して。そこからセカンド(尚志高校セカンド)でプレーをして。
経験を積んで、今年はトップでやっています。
〇ここまでプリンスリーグは全部出ているような感じですか?
そうです。
〇やってみて、自分の成長した部分はどういうところだと思います?
自分の成長した部分はやっぱりサッカーの部分もそうですけど。人間性。生活面のところとか。
一番変わったかなと思いますし。それによってプレーの質とか。クオリティーが一段階ぐらい上がったと思います。
〇自分のプレーのこういうところが売りだというのは、どういうところですか?
攻撃参加で、得点だったりアシストだったりを、生み出せる選手になったと思います。
〇こういうところが足りないと思うところは?
守備のポジショニングとか。1対1もまだまだですし。ディフェンスなので、もっと対人のところとか、上げていきたいと思います。
〇これから高校総体とか、選手権とかが(高校生活の)集大成になるのかなと思うんですけど、自分の見せたいプレーやチームの目標について教えてもらってもいいですか?
チームの目標はもちろん全国制覇ですし。
まずは目の前のインターハイ優勝というのを目標にしてやっていますし。
自分としては、もっと結果を残して、もっと有名になって、自分の将来、プロサッカー選手になるっていう夢をかなえたいですし。
インターハイでより多くの得点に絡んで、チャンスを生み出せる選手になりたいです。
〇インターハイではけっこうフロンターレにいた選手も出たりしますけど(桐光学園のGK斎藤准也、DF陶山響、MF山田留偉、金沢学院大付属のGK石山アレックスなど)。それについてはどうですか?
いや、負けるつもりはないですし。もちろん叩きに行くつもりでやるので。
やれたら、試合を一緒にできたらうれしいなと思います。
〇尚志としてはまたプレミアに戻ることも目標だと思うんですけど、それについてはどうですか?
前期ベガルタに1敗してしまって。
もったいない1敗だったんですけど。そこから意識が変わっていって。プレミアに上がるという。目標というよりかは、そこが絶対なので。
そういうところはもっと詰めてやっていきたいと思っています。
〇後輩たちにプレミアの舞台に立たせたいような感じですか?
そうですね。
〇ちなみに玉木君(FW玉木聖梛、フロンターレU-15生田出身、2年)とか壱梛君(GK高橋壱梛、フロンターレU-15生田出身、2年)は元気にしていますか?
元気です。けっこう話すので。2人も今セカンドで頑張っていて。来年トップでできると思っているので。
今年に上がってきてほしいですけどね。
〇自分自身のこの先の進路についてはどう考えています?
自分は、プロとかは、少し声がかかっていたんですけど。大学進学を今は考えています。
〇大学に進学して、目指すのはやっぱりサイドバックの選手?
そうですね。
〇どういうサイドバックになりたいですか?
ダニエウ・アウベスみたいな。攻撃がすごい上手いけど、守備もしっかりできて、みたいな。
いないといけない絶対的なサイドバックになりたいです。
〇明日プレミアがあるんですけど、もし良ければフロンターレの選手にメッセージをお願いします。
最近勝っていないですからね。
〇そうですね。
強いと思うので、フロンターレは。いつも通り、普段通りのプレーをすれば勝てると思うので。頑張ってほしいです。
〇またフロンターレのサポーターの方にもメッセージをお願いしてもいいですか?
自分はジュニアユースで落ちて、フロンターレでは活躍はできないですけど。
プロになってフロンターレに戻りたいと思っているので。それまで、応援していてほしいです。

◇
「空回りをしてしまった」と反省を口にした榎本司。高い位置に顔を出し、チャンスを演出したことに対しても、その回数を増やし、質を上げていかないといけない。目標とするプロの選手になるためには、もっともっと、ピッチの上で出さなければいけないものがある。さらに上を見据えていることが、心に残るものがありました。
あと半年の少しほどの、尚志でのラストシーズン。これから先の自分の姿を見据えながら、どんな活躍を見せていくのか。
なりたい選手像にどれだけ近づいていけるのか。とても楽しみにしています。
(文中敬称略)
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