海を渡った川崎そだちの選手たち


この記事は、川崎フロンターレアドベントカレンダーの23日目として書かせていただいたものです。

2018年は、三好康児(コンサドーレ札幌へ期限付き移籍)や板倉滉(ベガルタ仙台へ期限付き移籍)が、チームの躍進に貢献。

横浜F・マリノスの仲川輝人は9ゴールを決め、大きく飛躍。鹿島アントラーズの永木亮太はアジア・チャンピオンズリーグ、湘南ベルマーレの高山薫はルヴァンカップのトロフィーを掲げ、水戸ホーリーホックの木村祐志やガイナーレ鳥取の可児壮隆が主軸としてチームを支えるなど、多くの川崎フロンターレU-18出身の選手が輝いた1年となりました。


大学サッカーでも、15ゴールを決め、関東大学サッカーリーグ1部の得点王になった早稲田大のFW岡田優希(FC町田ゼルビアに加入内定)、三好や板倉とともにU-21日本代表にも選ばれた筑波大の三笘薫(2020年に川崎フロンターレに加入内定)がベストイレブンに選出。静岡産業大のDF諏訪部徹も東海学生サッカーリーグ1部のベストイレブンに選ばれ、それぞれチームの柱となったシーズンに。


また、筑波大のMF池谷祐輔や順天堂大のMF小川真輝、日本体育大のMF大曽根広汰らがルーキーイヤーから出場機会を得たこと、年末には全日本大学サッカー新人戦での優勝に、桐蔭横浜大のGK早坂勇希が貢献したことも、これからが楽しみとなるものです。


そういったなかで、今年は多くの川崎フロンターレの下部組織で育った選手たちが海を越え、国外で奮闘した年ともなりました。


この記事では、海を越え、それぞれの道を進む川崎そだちの選手たちを紹介させていただきたいと思います。



岡本一輝選手

FW岡本一輝 カンボジア アンコールタイガーFC

所属歴:中野島FC – 川崎フロンターレU-15 – 川崎フロンターレU-18 – 桐蔭横浜大


2011年に川崎フロンターレU-18がプリンスリーグ関東1部への昇格を決めた参入戦で決勝ゴールを決めるなど、攻撃的なMFとして活躍した岡本は、関東大学サッカー連盟の桐蔭横浜大を経て、今春カンボジアリーグのアンコールタイガーFCに加入しました。

いずれもチームトップの8ゴール、6アシストを記録。なお、川崎そだちには、テルのカンボジア蹴記と題した記事を連載。サッカーのみならず、カンボジアでの暮らしの中で感じたことを、綴った文章はなかなか読みごたえのあるものです。



FC岐阜でもプレーした苅部隆太郎選手

MF苅部隆太郎 タイ チャイナートFC


所属歴:川崎フロンターレU-15 – 川崎フロンターレU-18 – 明治大学 – FC岐阜 – プルセル・セルイ(インドネシア1部) – FLCタインホアFC(ベトナム1部) – チャイナートFC(タイ・プレミアリーグ)


フロンターレU-18では、現在横浜F・マリノスでプレーする仲川輝人と同期。U-18時代はおもにボランチとしてプレー。明治大学では、FW、ボランチ、CBとさまざまなポジションで出場。特に大学ラストシーズンでの、ここぞというところでゴールを決める活躍ぶりが印象に残っています。

大学卒業後の2015年に加入したFC岐阜では1年目から出場機会をつかみ、2シーズンで24試合に出場したものの2016年の9月に怪我のため、引退。

しかし、2017年の夏にインドネシアで現役に復帰。2018年にベトナムのFLCタインホアFCに加入するとAFCカップ(欧州における欧州リーグのような位置付けの大会)に出場。その後はタイ・プレミアリーグのチャイナートFCへ移籍。アジアの舞台で確かなステップアップを果たしています。





GK長田澪選手

フロンターレU-12時代にはCBとしてプレーしたことも

GK長田澪 ドイツ ヴェルダーブレーメンU-15

所属歴:有馬フレンズFC 兼 川崎フロンターレサッカースクール – 川崎フロンターレU-12 – 川崎フロンターレU-13 – Alemannia Aachen II(ドイツ)

川崎フロンターレU-12では、2015年、1学年上の青山海とともにゴールを守り、ダノンネーションズカップ in Japanの4年ぶりの優勝に貢献。今年渡独し、Alemannia Aachen IIを経て、ヴェルダーブレーメンU-15へ。今年10月にはU-15の日本代表、さらにドイツの年代別代表にも選出。フロンターレ時代は何度もPKを阻止するなど、ここぞというところでの好守が光った長田。数々の名GKを輩出したドイツでどんな選手になるのか。とても楽しみなところです。

 

横田大祐選手

フロンターレU-15時代には10番を背負った

MF横田大祐 ドイツ FSVフランクフルトU-19

所属歴:FCレパードJr. – 川崎フロンターレU-12 – 川崎フロンターレU-13 – 川崎フロンターレU-15 – 川崎フロンターレU-18 – FSVフランクフルトU-19

川崎フロンターレU-18では宮代大聖と同学年の横田は、今夏からドイツのFSVフランクフルトのU-19へ。コンスタントに出場を重ね、初ゴールも記録するなど、初めての海外でのプレーで奮闘している様子です。

 

村田聖樹選手

2015年にはU-17日本代表に選出。国際ユースサッカー in 新潟に出場した

MF村田聖樹 ドイツ VfB Ginsheim

所属歴:新町ジュニアーズFC – 川崎フロンターレU-10 – 川崎フロンターレU-12 – 川崎フロンターレU-13 – 川崎フロンターレU-18 – VfB Ginsheim

フロンターレU-15、U-18と10番を背負い、U-18では1年目に田中碧とボランチを組み多くの試合に出場。2年目以降は攻撃的なポジションで試合を決める得点を決めるなど、チームの主軸を担った村田は、卒団後、ドイツ5部のVfb Ginsheimへ。ここまで13試合に出場し、2ゴールを記録しています。


法政大学時代の土橋優樹選手


MF土橋優樹 ルクセンブルク FC UNAシュトラッセン

所属歴:インテリオール – 川崎フロンターレU-18 – 法政大 – Union Mertert Wasserbillig – FC UNAシュトラッセン


川崎フロンターレU-18では、2013年、板倉滉とボランチを組み、プリンスリーグ関東2部優勝やJユースカップのベスト4進出に大きく貢献。法政大卒業後、2017-18年シーズンにルクセンブルク2部のUnion Mertert Wasserbilligに加入し6ゴールを記録。2018-2019年シーズンは1部のFC UNAシュトラッセンへ。



桐蔭横浜大時代はボランチとしてプレーした坂口正高選手


MF坂口正高 ウガンダ Kirinya Jinja SSS  FC

 

川崎フロンターレU-18時代には一年生からCBとしてポジションをつかんだDF。2013年には主に河村知侑(昨年まで神奈川大でプレー)とコンビを組み、プリンスリーグ関東2部の優勝やJユースカップベスト4進出に貢献。その後進んだ桐蔭横浜大ではボランチとしてプレー。卒業後の今夏、アフリカのウガンダ・プレミアリーグのKirinya Jinja SSS FCへ加入しました。

 

島崎竜選手

DF島崎竜 アメリカ バージニア・コモンウェルス大

フロンターレU-18時代は、2020年にフロンターレに加入することが決まっている筑波大のMF三笘薫と同期。攻撃的なSBとして、活躍。卒団後はアメリカのバージニア・コモンウェルス大学へ。そのプレーに磨きをかけて、アメリカでも活躍をしているようです。また、大学のオフシーズンの今夏にはMLSのポートランド・ティンバーズ のU-23でもプレーしました。

 

DF木村光佑 アメリカ Nashville SC 

2007年にアメリカMLSで日本人でははじめてのドラフト指名を受け、コロラド・ラピッズに加入。フロンターレU-18から海外へ羽ばたいた選手の先駆け的な存在。ニューヨーク・レッドブルズではアンリとチームメートに。2015年にポーランドのヴィジェフ・ウッチに所属したのちは、再びアメリカへ。34歳となった現在はNashville SC でプレーしています。

 

FW東城利哉 ブラジル ポルトゥゲーザ

フロンターレU-18では仲川輝人や苅部隆太郎らと同期。卒業後はブラジルに渡り、フルブリゲンセとプロ契約。アヴァイではのちにフロンターレでプレーすることになるエドゥアルドネットとチームメートにもなりました。その後はインテル・デ・ラゲス、フルブリゲンセを経て、来季からはポルトゥゲーザでプレーすることになりました。


また、木村祐志(現水戸ホーリーホック)、鈴木達矢(現在は引退)とともにフロンターレU-18でプレー、2012年までグルージャ盛岡に所属したのちは、モンテネグロやタイでプレーしたFWの佐藤佳成は今季限りでの引退を表明しています。

年齢もプレーする国、カテゴリーもさまざまな川崎そだちの選手たち。特に今年は「ドイツ?」「ルクセンブルク?」「ウガンダ⁉」と驚くことの多い一年だったように思います。

フロンターレで育った選手たちが、それぞれのクラブを応援するサポーターを喜ばそうと、今も地球のどこかで練習に取り組み、懸命にプレーしようとしている。そのことはとても素晴らしいことだと思います。それぞれのこれからを、とても楽しみにしています。

 

(文中敬称略)

 

川崎フロンターレアドベントカレンダー、12月24日はnishi19さんの「リーグ連覇の分岐点は2015年シーズンではないか」となります。

 

 

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