1月6日は時之栖スポーツセンター裾野グラウンドへ。高校サッカーの来る新たなシーズンへ向けた大会、新春高校サッカー強化研修大会「ニューバランスカップ in 時之栖 2019」が3日から行われており、この日は最終日。準決勝と決勝が行われ、川崎フロンターレU-15出身の選手も出場しました。
全国各地から強豪が集まるこの大会は、全国高校サッカー選手権大会の出場にあと一歩届かなかったチームも多く出場し、俗に裏選手権と呼ばれています。
今回は48チームが出場。4チームずつ12グループに分かれ、リーグ戦を行い、各グループの首位12チームと2位の上位の4チームが決勝トーナメントへ進出。5日に行われた準々決勝の結果、準決勝は、静岡学園 vs 横浜創英、帝京 vs 日大藤沢の顔合わせになりました。
【ニューバランスカップ in 時之栖 2019準決勝 静岡学園 vs 横浜創英】
1月6日(日)午前9時3分キックオフ 時之栖スポーツセンター裾野グラウンド くもり 35分ハーフ
準決勝のうち、静岡学園 vs 横浜創英では、静岡学園は川崎フロンターレU-15出身のMF14浅倉廉が先発、ボランチとして出場しました。
普段ならば雪化粧をした富士山が見える裾野グラウンドは、朝から時々弱い雨が降り、上空には雲が立ち込めるあいにくの天気。
それでも多くの選手らの家族が集まるなか、試合は始まりました。
立ち上がりからGK1北口太陽も加わり、後ろからの組み立てを図っていく静岡学園がボールを握る展開に。右SBの10田中太晟、左SBの6中辻涼雅も積極的に前に。もう一人のボランチ、77西谷大世が中央に構え、セカンドボールをよく拾う一方、浅倉は積極的に前に出て、攻撃的な役割を担っていきます。
10分には51小山尚紀のスルーパスの折り返しからエリア右で2関俊哉がシュート、さらにこぼれ球をエリア正面で拾った浅倉がシュートを打つも、横浜創英はブロック。
横浜創英もサイドからの仕掛けなどから打開を図りにいきますが、静岡学園は人をかけ、囲い込むように寄せるのが速く、なかなかシュートまでは行けないでいると、15分、静岡学園は、中央から右へ展開。エリア外右、距離のあるところで浅倉が左足でミドルシュートを放つと、横浜創英のGK21梅澤亘の頭上を破るように、弧を描くようにして決まり、1-0。鮮やかなゴールで、静岡学園が先制します。
直後にも、静岡学園はエリア左へ9奥田友惟が抜け出しシュートを打つなど、攻勢に。浅倉も中央をターンで横浜創英の選手を振り切り縦へ運ぶなど起点に。横浜創英は右MFが斜めに仕掛け変化を加えにいきますが、静岡学園はCBの3阿部健人がうまく寄せ、エリア内へは近づかせず。
横浜創英も後ろからの組み立てを試みるも、静岡学園は前から連動してそれをやらせず。前半は1-0でタイムアップとなります。
後半立ち上がりからGK梅澤も加わり、後ろからつなげにいく横浜創英。しかし、静岡学園は交代で左に入った7岩本悠輝が寄せ、マイボールにするなどし、横浜創英陣内でのプレーを続けに。阿部や4江本一真もセンターラインよりも前に出て、時には持ち上がりコンパクトに。
小山の浮き球のパスに奥田がうまくエリア正面で前を向き、シュートを打つなど追加点を狙い、右SBの田中がパス交換からエリア外右へ仕掛けていくなどしていくと、15分、田中のエリア正面でのミドルシュートは、GK梅澤が弾き出したものの、こぼれ球を、後半から左に入った23井堀二昭が押し込み、2-0。
なおも縦へ盛んにパスを入れ、18分にはエリア内、奥田が決定的なシュートを打つなど、攻めに出ていく静岡学園。23分、すばやいリスタートからうまくエリア外でボールを受けた小山のミドルシュートが決まり、3-0。
横浜創英もボールを持つ時間こそつくるものの、静岡学園は連動したプレスからマイボールに。守備から攻撃、また守備への戻りも速く優位に試合を進めに。浅倉も中央で横浜創英のプレスをかわし、前に運ぶなどしていき、守備でもうまい寄せからボールを奪い、そこから攻撃へつなげていくなどしていきます。
34分には横浜創英、エリア右に24荒俣圭汰が抜け出すも静岡学園は、阿部がカバー、シュートは打てず。ともに自分たちでボールを動かしていくことを信条にしていることをうかがわせる両チームの対戦は、静岡学園が攻守で横浜創英を上回る結果となり、3-0でタイムアップ。
決勝は、帝京を6-0で下した日大藤沢と、静岡学園の顔合わせとなりました。
前半1-0 後半2-0 計3-0
得点:浅倉廉、井堀二昭、小山尚紀(静岡学園)
【ニューバランスカップ in 時之栖 2019 決勝 日大藤沢 vs 静岡学園】
1月6日(日)午後0時キックオフ 時之栖スポーツセンター裾野グラウンドB2 くもり時々あられ 40分ハーフ
時おり細かいあられが降り、身を縮ませるような寒さの中、行われた決勝。日大藤沢は、先発に川崎フロンターレU-15出身のMF17有山佑汰が中盤の一角に、静岡学園は準決勝と同じポジションで浅倉が出場。かつてのチームメート同士が、タイトルを懸けた試合で対戦することになりました。
準決勝と同様、ラインを高く保ち、各選手が積極的に前へ仕掛けていく静岡学園。それに対して日大藤沢は人をかけて粘り強い守りを見せ、一進一退に。静岡学園がゴールへ迫りながらもなかなかシュートまでは至らない場面が続いていきます。
有山も様々な場面へ顔を出し、田中のパスにエリア外右へ上がった31松村優太に厳しく寄せ、エリア内へは近づかせないなどしっかりプレー。
流れの中ではなかなかチャンスをつくれなかった静岡学園は、10分には立て続けに左コーナーキックを得て、浅倉が入れたボールに江本が合わせますが、左へ。
静岡学園の攻勢に耐えてきた日大藤沢も、12分には前線の9平田直輝が下がり目でボールを受け、縦に展開。左にボールが出て、5多田夢都が左クロス。静岡学園のGK北口にキャッチされるも、ここから流れを引き寄せに。10成定真生也が静岡学園の中盤にプレスをかけ、そこからマイボールにする時間を増やしていくと、12分には有山が中央でボールをカット、すばやく8中村駿に渡し、そこから多田のクロスにつなげると、ワンタッチあり、日大藤沢のコーナーキックとなります。
左コーナーキック、7斉藤夏がボールを入れると4青木駿人がうまく合わせ、ボールはゴールの中へ。1-0。先制点は日大藤沢へ。
追いかける展開となった静岡学園は高い位置でボールをカットしたところから速い攻めを見せに。CBの江本もインターセプトから前線へ上がるなど、厚みのある攻めに持ち込んでいきます。
22分、静岡学園は奥田が浮き球をエリア内へ入れ、抜け出した小山のシュートは日大藤沢がブロックし、左コーナーキックに。浅倉が右足でボールを入れると中辻が合わせ、ボールはゴールへ。1-1。静岡学園が同点に。
直後には日大藤沢、右サイドのスローインから2古谷陸がエリア前に斜めに仕掛け、右に展開。11布方叶夢の右クロスに、中村が遠いサイドへ飛び込みますが、惜しくも触れず。
日大藤沢は布方のドリブルを生かすなどしてさらにゴールを目指しに。静岡学園は、ラインを高め、浅倉らがよく縦へパスを入れ、人をかけてエリア前に迫りに。ともに持ち味を出しながら攻めに出ていきます。
38分には日大藤沢、右コーナーキック、多田が左足でボールを入れるとニアに有山が迫りますが、これは静岡学園がすばやくクリア。
直後には静岡学園、田中、奥田とテンポよくボールがつながり、右コーナーキックに。右から田中がボールを入れるとエリア内で中辻がファールを受け、静岡学園はPKを得ます。これを奥田が決め、1-2。静岡学園が逆転して前半はタイムアップとなります。
降る量が増したあられがピッチの脇で見守る家族らを濡らし、手がかじかむような寒さの中で始まった後半。日大藤沢は、平田にボールを入れ、起点をつくろうとするのに対して、静岡学園はCBに加え、7岩本悠輝も寄せ、囲い込むようにして、対応。
エリア前での成定のシュートに対し、CBがブロックするなどし、守備から攻撃へつなげていくと、4分には浅倉がファールを受け、エリア外右でフリーキックに。田中が右足で直接狙ったシュートは枠をとらえますが、GK1濱中英太郎がすばらしい反応を見せ、ゴールとはならず。
なおも静岡学園は、コーナーキックや、サイドからの折り返しなどからゴールへ迫る場面をつくっていきます。すると11分、左コーナーキック、浅倉がボールを入れると、最後は小山が押し込み、1-3。
突き放された日大藤沢は、CBの青木や3宮川歩己に有山がかかわりながら後ろからの組み立てに。両SBを高め、左から多田が鋭いクロスを上げるなどしていきます。21分には有山が右サイドの高い位置でボールを奪い、エリア右を狙い、縦パスを出すもGK北口が前へ出て、シュートにはつながらず。
日大藤沢は途中で前線へ入った20鈴木輪太朗イブラヒームがよくボールをおさめ、サイドに展開し、クロスに合わせますが枠はとらえられず。すると27分、静岡学園は右サイドの高い位置で交代で入った関がボールをカット、エリア外右でのシュートを打つと反応したGK濱中の下をすり抜けるようにして決まり、1-4。
日大藤沢はコーナーキックからバーを叩くシュートを打つなど、エリア前で何度も決定的なシュートを場面を迎えるものの決めることはできず。
試合はタイムアップとなり、1-4。優勝を果たしたのは静岡学園となりました。
前半1-2 後半0-2 計1-4
得点:青木駿人(日大藤沢) 中辻涼雅、奥田友惟=PK、小山尚紀、関俊哉(静岡学園)
最終的に差はつきましたが、それぞれの持っているものを存分に使ってゴールを目指していった両チームの対戦は見ごたえのあるものがありました。
何よりもフロンターレで育った2人の選手が、48という多くのチームが参加した大会の決勝で顔を合わせたことに、大きな喜びを感じました。3年生として、臨む高校最後のシーズンが、それぞれにとって得るものの多いものになることを願っています。
(文中敬称略)
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