初めての移籍、初めての土地。「公式戦でプレーする楽しさを知った。」五十嵐太陽のレノファでの一年半【2/3】


U‐12,15,18と川崎フロンターレアカデミーで育ち、U‐18最後の年には、プリンスリーグ関東得点王としてチームをプレミアリーグ昇格に導いた五十嵐太陽。2022年のトップチーム昇格から1年をフロンターレで過ごし、育成型期限付き移籍として、レノファ山口FC(J2リーグ)で1年半を過ごしています。
山口での2年目を過ごす五十嵐選手に、アカデミーのこと、山口でのプレーや生活のこと、今後のサッカー人生のことなどについて、たっぷりとお伺いしました。
2本目となる本記事では、プレー面やサポーターについてなど、レノファでの選手生活についてをお届けします。レノファサポーターの皆さんも、フロンターレサポーターの皆さんも必見です。
五十嵐太陽選手。今季は55番を背負ってプレーしています。(写真提供:レノファ山口FC)

 

初めての移籍から一年半……。レノファで過ごす時間を語る。

 

――レンタルとして加入したレノファでの一年半についてお伺いしたいと思います。先日のトレーニングマッチ(8/4 vs大分トリニータ)でハットトリックされていましたね。おめでとうございます。

ありがとうございます。ハットトリックできるとは思っていなかったですし、自分自身プロになってから練習試合含めて初のハットトリックだったので、すごくいい経験になったかなと思います。

 

トレーニングマッチで躍動(写真提供:レノファ山口FC)

 

――トップチームに昇格して、フロンターレで1年やっていく中で、プロの世界の厳しさも経験されたのではないかと思います。そんな中、レノファ、山口という慣れない土地にやってきて、昨年は36試合3ゴールと多くの試合でプレーされました。レノファでの1年目はどんな1年でしたか。

移籍を経験したことがなかったので、正直最初は何もわからなかったです。フロンターレで成功するのが全てだと思っていたんですけど、山口に実際来てみて、公式戦に出てプレーすることの楽しさが芽生えました。色んな意味ですごく充実した一年だったなと思います。

――J2で試合に出る中で、思い出に残っている対戦選手はいらっしゃいますか。

それこそ小さい頃に憧れだった清水の乾(貴士)選手や徳島の柿谷(曜一朗)選手と去年対戦したときはうれしかったです。柿谷選手にはホームで決められてますし、乾選手はアウェイで対戦した時やっぱりうまいなと思って、そういう選手たちと今やれてるんだなっていうのはすごい自分としても大きいですね。

――今シーズンは、監督が変わり、チームのプレースタイルの変更や新戦力の加入など思うように試合に出場できていない時間を過ごされていると思います。自分の中でどう感じているのか、また心掛けていることがあれば教えてください。

自分自身ここまで充実しているとは思っていますが、試合には絡めていない分もどかしさを感じてはいますし、そういった中でチャンスが来たらやってやろうという気持ちもあります。チャンスが来た時のために、一つ一つ、コツコツと積み上げていくしかないのかなと思っています。

 

 

(写真提供:レノファ山口FC)

 

――今シーズン、残り半分弱となりました。個人的な目標はありますか。

まずは試合に出ることが目標ですし、得点やアシストといった結果を目に見える形として残していくのが、一番自分自身の成長にもつながると思うので、そこを意識してやっていきたいと思います。 チームも良い順位で(9月6日現在6位)昇格プレーオフを狙えるかなっていう部分もあるので、でも変に意識しすぎず、できることに集中して取り組んでいきたいです。

――チームという枠を外して、いちサッカー選手としての大きな目標だと、どういう部分を定められていますか。

やっぱり代表に選出されたいというところですね。日本代表には幼いころからなりたかったですし、もちろん今も目指しています。そのためにも日々の積み重ね、コツコツ練習するっていうところは大切にしていますし、練習での局面局面一つ一つ負けないことも意識して取り組んでいます。こういう積み重ねが数年後に活きてくると思うので、まずは明日、明後日の練習を一つ一つ意識してやっていくという風に心がけています。

 

「レノサポさんは、確かにフロンターレのサポーターと似ている部分もあるかもしれないですね(笑)」

 

――レノファのサポーターさんと言えば、昨シーズンから引き続き、五十嵐選手のユニフォームを着用されていたり、タオルやゲーフラを掲げられていたりする方をスタジアムでよく見かけます。小さな子供たちからご年配の方まで、多くの方が目に見える形で応援してくださっていることについて、どのように感じられていますか。

やっぱり、こうやって小野田(おのさんサッカーパーク:レノファ山口FC練習場)に来てくださって、ファンサービスがあってという中で直接ファンの方の存在を実感しますし、それだけじゃなくて、スタジアムで来てくれる方だったりSNSで触れてくださる方だったりっていうのも、本当にたくさんいてくださるなと思っていて。グッズを身に着けてくださっていたり、自分を応援してくれているんだろうなっていう部分がわかるとすごく嬉しい気持ちになります。本当にありがたいです。

 

 

練習でも足元の技術が光ります。(写真提供:レノファ山口FC)

 

――レノファのサポーターさんに向けて、自分の得意なプレー、僕のここを見てほしいというプレーはありますか。

そうですね、足元の技術は自信を持っているので見てほしい部分です。あとは、自分で仕掛けるところだったりターンのところだったり、自分がボールを受けている状態、ボールを触っているときを見てほしいと思います。

 

ホームである維新みらいふスタジアム。ゴール裏に集うレノファサポーター。

 

――そうして応援してくださっているレノファのサポーターの皆さんには、どんな印象を持たれていますか。 

本当に温かいと思います。それこそ去年、あんまり勝てない試合が続いた中でもずっと前向きに応援してくださっていて。その声は僕たちに届いていましたし、そういう人たちのために恩返しというか、勝利という形で皆様に感動を与えられるように頑張っていきたいなと思っています。

 

練習場に隣接するおのだサンパークで、仲良しの河野選手(画面手前)と。チラシ配りも積極的にしていました。

 

山口では、地域で行われるイベントに積極的に参加しているイメージの強い五十嵐選手。やはり“川崎そだち”なことに影響されているのかと聞いてみたところ、「川崎というチームで育ってきたという部分は多少影響があると思いますけど、そういう部分はどこのチームにいても大事だと思っています。皆様に笑顔を届けられるようにっていう部分ですかね。」と回答。支えてくれているスタッフやサポーターへの感謝の気持ちと、フロンターレで身に付けたものを武器に、レノファでのプレーを通じて新たなチャレンジに挑む姿勢が印象的でした。
(3本目に続く。)

 

(記事内一部敬称略)

 

文・写真 / イナ(19)(一部提供者が明記されているものを除く)

一部写真をレノファ山口様よりご提供いただきました。ありがとうございます。

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