世界各地の30の大学サッカー代表によって競われるユニバーシアード台北大会のサッカー男子が19日に始まり、マレーシア、カナダ、ウルグアイと同じ組に入った日本はグループリーグの初戦、マレーシアに2-0で勝利。8月21日はグループリーグの第2戦。川崎フロンターレにゆかりのある選手たちも先発に名前を連ね、カナダとの試合に臨みました。
【ユニバーシアード台北大会グループリーグ第2戦 日本代表 vs カナダ代表】
8月21日(月)午後4時キックオフ 輔仁大学体育場 晴れ一時雨
日本の先発はGK1永石拓海(福岡大)、DFは右から15守田英正(流通経済大)、3菊池流帆(大阪体育大)、13坂圭祐(順天堂大)、19岩崎尚将(桃山学院大)、ボランチはゲームキャプテンの6柴戸海(明治大)、14脇坂泰斗(阪南大)、右MF18戸嶋祥郎(筑波大)、左MF17三笘薫(筑波大)、FW7名古新太郎(順天堂大)、9ジャーメイン良(流通経済大)。
初戦では出場機会のなかったフロンターレU-18出身の脇坂と三笘が先発。脇坂とともに来季フロンターレへ入ることが決まっている守田は初戦に続いての先発。ポジションはボランチから右サイドバックに。
カナダ代表の先発はGK1Evan Barker、DFは右から14Koosha Nazemi、3Aaron Scheneebel、2Lucas MacNaughton、17Kalen Park、中盤の底にゲームキャプテンの5Rajkovic Sandroが入り、その前には19MacMillan Connor、7Raheen Rose、右MF11Marc-Olivier Kouo Dibongue、左MF18Carl Deabreu、FW9Simon-Pierre Kougnima。
好天に恵まれた輔仁大学体育場。日本代表のユニフォームを身にまとったチョンマゲ姿の男性サポーターの「ニッポン」コールに合わせて現地の台湾人も手をたたいたり、それに負けまいとカナダの人々も「カナダ」「カナダ」と声援を送るいい雰囲気の中、試合は始まりました。
キックオフとともに日本は菊池や坂に、脇坂や柴戸がかかわって後ろからテンポよくパスを回していきます。2分には中盤でパスを回して左へ展開。三笘が脇坂とパス交換を繰り返し、最後はエリア左へ脇坂が進入しますが、カナダの選手に阻まれてシュートには至らず。
カナダも直後には中盤の底に入ったSandroが右へ展開。Kougnimaが抜け出しますが、日本は菊池が体を張った守備を見せ、右からのコーナーキックに。右からParkが左足でいい軌道のボールを入れてきますが、これには触ることはできず。さらに高い位置でカナダがマイボールにし、エリア外左へConnorが飛び出しますが、岩崎がねばり強く対応。続いてのコーナーキックもしのいで、日本が再びボールを持つ時間となっていきます。
5分、日本は戸嶋のパスを受けたジャーメインから左へ。三笘が受けて左サイドの高い位置からエリア内左へ。カナダの選手を振り切って折り返すと、名古がこれに合わせますがカナダの選手のブロックに阻まれてゴールとはならず。
カナダもDibongueとKougnimaが右サイドでよくかかわって鋭いカウンターを仕掛けてきますが、坂がよくボールをカットしてシュートにはつながらせず。柴戸や脇坂に戸嶋がよくかかわって中央から組み立てていき縦にパスを入れていきます。8分にはDibongueがエリア右へ抜け出しますが、柴戸がブロック。最後はカナダのファールに。
10分、日本は柴戸の浮き球にジャーメインが抜け出し左へ展開。三笘が仕掛けて折り返すもカナダの守備もねばり強く、ゴールにはつながらず。さらに岩崎がエリア右へ縦パスを入れてこぼれ球に名古が反応しますが、カナダのGK、Barkerもすばらしい反応でこれを防ぎ、得点とはならず。
いい距離感でボールを回していく日本。11分、脇坂から左へ展開。再び三笘が鋭い切り返しでカナダの選手を振りきって、エリア前へ切れ込んでシュートを打つもここでもカナダの選手がよくブロック。さらにこぼれ球を拾って三笘が左から仕掛け、エリア右へボールが渡りますが、シュートにはつながらず。畳みかけていく日本は、13分、守田が右サイドの高い位置へ。エリア前へ浮き球を入れるとジャーメインが抜け出して1対1に。オフサイドとはなりましたが、流通経済大で培ってきたものを感じさせる息の合ったコンビネーションでカナダの選手たちを揺さぶっていきます。
カナダも14分、前線からの守備でショートカウンターへ。Kougnimaがエリア左へパスを送るも脇坂がカット。シュートは打たせず。直後には日本、脇坂のパスを受けた三笘がエリア左から折り返すと、最後は戸嶋がミドルシュートを打ちますが、バーを叩いてゴールとはならず。
日本が攻める時間が長く、いつゴールが-と感じさせられる時間へ次第に入っていった試合でしたが、輔仁大学体育場の上空には黒い雲が広がり、雨がぽつぽつと降ってきた、と思った次の瞬間に雨足は強まり、雷の音も次第に近づいていきます。初めは傘やレインコートで雨をしのごうとした観客も屋根の下へ避難し、審判団も選手に引き上げるように指示。試合は前半17分すぎに中断されることになります。
雨はまもなく弱まりましたが、試合は30分ほど中断。会場に流れる音楽に合わせて日本の控えの選手たちが手拍子で盛り上げるなどし、再び両チームの選手がアップをして午後5時50分近くになって試合は再開となります。
再開立ち上がりにはカナダ、センターライン手前でファールを受けると、Parkのフリーキックがエリア内へ。Dibongueがこれに反応しますが触ることはできず。日本も守田が右サイドからサイドチェンジ。三笘が左サイドの高い位置へ仕掛け折り返すと、名古を経由してエリア右へ戸嶋が抜け出しますが、Parkがこれに対応。
日本は後ろからボールを回しつつ、時折菊池がフィードを入れるなどしてさらに攻めに。21分には左サイドでコーナーキックを得ると、ショートコーナーから脇坂の左クロスに菊池が飛び込みますが、惜しくも触ることはできず。
カナダの選手と中盤で激しく競り合いながらマイボールの時間を長くしていく日本。戸嶋が右サイドへ張るだけではなく、中盤に寄って名古が右サイドへ流れるなど変化もつけながらカナダのゴール前へ。
カナダも25分にはフリーキックを得ると、エリア正面からParkがミドルシュートを打ちますが、これはわずかに左へ。Kougnimaの高さを生かした攻めやロングスローには菊池や坂がよく対応していきます。33分には高い位置でカナダのKougnimaがボールを奪うも菊池がよくカバー。シュートにはつながらず。
34分には日本、右サイドからの攻め。戸嶋のパスに高い位置へ守田が抜けてクロスを上げると、ジャーメインがエリア内で合わせますが、惜しくもわずかに左へ。35分にはカナダ、エリア正面やや右でファールを受けると、Parkが枠左をとらえたフリーキックを見せますが、永石がこれを弾き出す好セーブ。こぼれ球を拾われて打たれたシュートもしっかりキャッチ。ゴールは許さず。
カナダのセットプレーをしのいだ日本、名古が高い位置で激しく体を寄せてマイボールにするなどして、カナダのゴール前に。38分にはジャーメインのパスにエリア右へ戸嶋が抜け出してシュートを打つも右へ。39分には三笘から右へ展開。戸嶋の浮き球にカナダのDF2人の間に入り込む形でジャーメインが抜け出してBarkerと1対1になりますが、ハンドがありシュートにはつながらず。攻め続けていく日本、41分、三笘がボールをカット。戸嶋へパスを出して左へ展開。ジャーメインが左サイドへ流れてリターンを三笘がセンターライン手前で受け、右サイドの戸嶋へ。戸嶋の縦パスを名古が受けてドリブルで仕掛けてエリア前でシュートを放つとこれがゴールネットを揺らします。1-0。先制点は日本へ。
ゴールを決めた名古が笑顔で一直線にベンチの前の控えの選手たちのもとへ駆け出し、ピッチの選手もこれに加わって全員で喜びまとまりの良さも垣間見せる日本。柴戸が縦へよくパスを入れて名古やジャーメインが抜け出すなどしてさらに攻勢に。ロスタイムにはカナダの選手のフリーキックをしのいだところから、自陣のエリア前から三笘がドリブルで一気に前に。最後はカナダの選手に阻まれましたが、台湾の人たちも「おおっ」とどよめくプレーでゴールへ迫る場面をつくりだしていきます。前半はタイムアップ。1-0。日本がリードしてハーフタイムへ。
午後6時半をまわってもまだまだ空は明るい輔仁大学体育場。SandroとRoseがダブルボランチとなって打開を図っていくカナダでしたが、後半も開始から日本が攻勢に。2分には三笘が縦へパスをいれ、エリア右の名古が仕掛けてシュートを打つもボールはバーを叩いて決めることはできず。さらに三笘が高い位置でボールをカットしてエリア左へパスを出すと、抜け出したジャーメインがカナダの選手にファールを受けて、日本にPKが与えられます。キッカーはジャーメイン、ゴール左隅を狙ったシュートはネットを揺らして、2-0。日本が突き放します。
日本は守田、岩崎の両SBも高い位置でよくボールにかかわり、柴戸も機を見て脇坂のパスにエリア内へ抜け出すなど攻勢に。12分には脇坂、三笘が左サイドでパスをまわして、三笘のパスにエリア右へ名古が抜け出してBarkerと1対1になりますが、Barkerの好セーブに遭い、追加点とはならず。
カナダは15分Kougnimaに代えて6Dena Iezady、Parkに代えて16Aaron Chiaをピッチへ。Deabreuが左SB、Chiaが左MF、IezadyはFWに。
しかし、次の1点も日本に。カナダが後ろからつないでいこうとしたところへ、前からプレスをかけていき、Barkerから戸嶋がボールを奪って折り返すとこれをジャーメインが決めて3-0。カナダとしてはもったいないミスからの失点。日本が突き放します。日本はここで戸嶋に代わり、16旗手怜央がピッチへ。
いい距離感で1人1人がうまく前を向いていく日本の選手たち。22分には右へ流れた名古のパスをエリア前で受けた旗手がうまく前を向いて枠をとらえたシュートを打つもBarkerの好守でゴールとはならず。これで得たコーナーキック、脇坂はショートコーナーを選択し、三笘がクロスを入れると坂が頭で合わせますがこれはバーに。惜しくも追加点とはならず。
日本はボールを奪われても柴戸がよくフォローしマイボールにするなどしていき、カナダは動きが落ち、パスが合わない場面も続いてなかなか攻めることはできず。20分にはカナダはRoseに代えて、8Jeune Louisがピッチへ。ロングボールも交えていくカナダでしたが、坂が174センチという背を感じさせないほどに、Iezadyによく競り勝って前に起点をつくらせず。
30分には旗手から右へ展開。守田がエリア内へ低く速いボールを入れるとエリア内、柴戸がダイレクトで合わせてゴールネットを揺らして4-0。ここで日本は三笘に代わって10松田天馬(鹿屋体育大)がピッチへ。左MF松田、右MF名古、FWジャーメイン、旗手という形に。カナダはDibongueに代わり12Yunes Mollayer。34分には日本はさらに交代、岩崎に代わり5宮大樹(びわこ成蹊スポーツ大)が左SBに。
35分にはカナダ、フリーキックのこぼれ球にMollayerが反応。シュートは枠をとらえますが、ここでも永石がすばらしい反応。ゴールは許さず。
38分、日本は守田に代わり11中野誠也(筑波大)が入り、中野と旗手がFW、右MFジャーメイン、名古がボランチ、柴戸が右サイドバックへ。日本は攻め手を緩めず中野や松田が高い位置からプレスをかけてカナダへ縦にパスをいれさせず。42分には坂が頭ではじき返したボールがエリア前へ。旗手が抜け出しますが、Barkerが前に出てシュートには持ち込めず。
ロスタイムは4分。宮が高い位置でボールを受けてコーナーで時間を稼ぐのではなく、クロスを入れるなどして日本はさらにゴールを狙っていきます。47分には脇坂のパスにエリア左へ中野が抜け出しますがゴールにはつながらず。これで終わりかと思われたところで、さらに日本がゴール前に。ジャーメインが右から仕掛けてクロスを入れ、中野のリターンをエリア前で受けた脇坂が右足を振り抜くとこれがゴールネットを揺らします。5-0。ここで試合はタイムアップ。最後まで攻め続けた日本がグループリーグを2連勝としました。
前半1-0 後半4-0 計5-0
得点:名古新太郎、ジャーメイン良=PK、ジャーメイン良、柴戸海、脇坂泰斗(日本)
日本の先発:1永石拓海(福岡大)、15守田英正(流通経済大)、3菊池流帆(大阪体育大)、13坂圭祐(順天堂大)、19岩崎尚将(桃山学院大)、6柴戸海=c(明治大)、14脇坂泰斗(阪南大)、18戸嶋祥郎(筑波大)、17三笘薫(筑波大)、7名古新太郎(順天堂大)、9ジャーメイン良(流通経済大)
交代:戸嶋→16旗手怜央(順天堂大)三笘→10松田天馬(鹿屋体育大)岩崎→5宮大樹(びわこ成蹊スポーツ大)守田→11中野誠也(筑波大)
控え:12小島亨介(早稲田大)2小池裕太(流通経済大)4鈴木準弥(早稲田大)20岩武克弥(明治大)
日本はこれで決勝トーナメント進出が決定。グループリーグの最終戦では、マレーシアを下してこちらも2連勝のウルグアイと対戦します。フロンターレとゆかりのある3選手の活躍はもちろんのこと、チームとしてのまとまりを感じさせる日本が勝ち上がり、大きなものを得ることを願っています。
(文中敬称略)
This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International License.