10月28日、天皇杯は3回戦が行われ、ケーズデンキスタジアム水戸では筑波大と東京武蔵野シティFCが対戦。川崎フロンターレU-18出身の選手もそれぞれ試合に臨みました。
【天皇杯JFA第100回先日本サッカー選手権大会3回戦 筑波大 vs 東京武蔵野シティFC】
10月28日(水)午後7時キックオフ ケーズデンキスタジアム水戸 453人 くもり
桐蔭横浜大との2回戦を4-3で制して勝ち上がった筑波大。先発は、GK1櫻庭立樹、最終ラインは右から2山原怜音、23森侑里、3角田涼太朗、28遠藤海斗、ボランチはキャプテンの8知久航介、4山内翔、右MF27瀬良俊太、左MF15池谷祐輔、トップ下13和田育、前線には11森海渡。
東京武蔵野シティFCの先発は、GK41本田渉、最終ラインは右から2高慶汰、15金田拓海、16中川諒真、ボランチは7岩田啓佑、ゲームキャプテンの5鈴木裕也、右MF17小口大貴、左MF22金井洵樹、2シャドーに14本田圭佑、8小林大地、前線には26後藤準弥。
筑波は池谷、武蔵野は、34歳となった岩田と、専修大からtonan前橋、ラインメール青森を経て、今季加入した小口と、3人のフロンターレU-18出身の選手たちが先発に入りました。
空を見上げれば、薄い雲の間から月がぼんやりと顔を出したケーズデンキスタジアム水戸。メインスタンドでは、筑波大のメンバー外の部員らが手拍子で選手たちを励まし、東京武蔵野シティFCのサポーターもマフラーを掲げるなどして、選手たちを鼓舞。新型コロナウイルス対策として、声援こそ送ることはできないものの、熱気を感じる雰囲気のなか、試合は始まりました。
立ち上がりは両チームともにコンパクトに。筑波がボールを持つ場面は多いものの、小口、金井の両サイドも最終ラインに戻り5バック気味に守る武蔵野の守りも、集中力の高さを見せていきます。
2分には、筑波、山内の縦パスを呼び水に、中央の森がはたいて、最後は正面で和田がシュートを打ちますが、武蔵野はこれをブロックし、決定的なものとはさせず。直後には、武蔵野、中央の小林のスルーパスに、エリア外右へ抜け出した本田圭佑が角度のないところからシュート。サイドネットをたたいたもののゴールへ迫っていきます。
筑波は、両サイドを使い、瀬良が右サイドからエリア右へ鋭い切り返しで迫り、右に開いた山原が斜めにエリア内へ浮き球を入れるなどしていきますが、武蔵野の中央は堅く、これを跳ね返していきます。11分には、筑波、左サイドで受けた池谷がエリア右へ速いボールを入れていきますが、和田はさわることはできず。さらに山原が仕掛けてコーナーキックを得て、キッカーの山原が右足で入れたボールを、知久が遠いサイドで折り返しますが、本田渉がキャッチ。
細かくボールを動かしていく筑波は、池谷がやや中央へ寄り、遠藤が左サイドの高い位置へ。山内がときには最終ラインの間に下りて、ラインを高めながら攻めの機会をさぐり、17分には、角田の正確なサイドチェンジから右サイドの和田に展開。いったん山原に預けた和田は、山原のエリア右を突くボールに動き出しますが、金井が阻んでシュートを打つことはできず。さらに山原のエリア右を突くパスに、池谷が反応しますが、おさめることはできず。
一方の武蔵野も岩田が、エリア左へ際どい浮き球を入れ、小林が走り込みますが、筑波もこれに対してしっかり対応。ともにこの試合へ向けて、しっかり準備をしてきたことをうかがわせるかたちで飲水タイムへ。
飲水タイム明け、25分には武蔵野、ルーズボールに正面で反応した本田がシュートを打ちますが、本田がセーブ。一方の筑波も、27分にはボールを動かして右へ展開。山原のクロスのこぼれ球を、中央の左寄りで拾った角田がミドルシュート。右へ外れたものの、会場にどよめきを生んでいきます。
さらに筑波は、池谷との連係から遠藤が高い位置へ上がり、クロスを何度も入れようとしていきますが、武蔵野は小口らが粘り強く対応。エリア内へ和田や瀬良が抜け出す場面をつくるものの、なかなかシュートにはつながず。武蔵野の守備が上回る場面が続いていきます。
36分には左サイド、遠藤から受けた池谷がエリア外左でミドルシュートを打ちますが、枠はとらえられず。39分にも縦パスを受け、エリア外左へ持ち込んだ池谷がミドルシュートを打ちますが、上にそれ、枠はとらえられず。
武蔵野も浮き球に、エリア前に後藤が動き出しますが、筑波のGK櫻庭もしっかり前に出て対応していきます。
瀬良が中央に寄ってセカンドボールをものにするなどして、そこから攻めに持ち込んでいく筑波。森海渡がボールをおさめ、下がり目で受けた和田のスルーパスに、エリア内へ池谷が抜け出しそうになるなど、迫っていきますが、最後のところで武蔵野の守備が阻んでいきます。
45分にはエリア外左で和田がファールを受け、フリーキックを得た筑波。山原が直接右足で狙いますが、やや左へ外れ、ゴールとはならず。前半は0-0でタイムアップとなります。
後半、武蔵野は、岩田に代わり23差波優人、小林に代わりキャプテンの18石原幸治がピッチへ。石原が前線、後藤がシャドーに。立ち上がりはセカンドボールを拾えるようになった武蔵野が石原が裏を突く動きを見せるなどして、迫る場面をつくっていきます。
3分には、高い位置でボールをカットした後藤がファールを受け、フリーキックを得た武蔵野。キッカーの差波は、エリア内ではなく、左サイドを突くグラウンダーのボールを供給。左サイドからの折り返しを、押し込んだのは鈴木。0-1。先制点は武蔵野へ。
武蔵野はさらに、ボールをカットした石原のパスに、鈴木が走り込むなどしていきますが、森侑里、角田らが筑波はしっかり対応。次第にボールを持つ場面を再びつくりだし、左サイドの高い位置へ遠藤が上がり、相手陣内で時間をつくっていきます。
8分には筑波、左に開いた遠藤のパスをエリア左で受けた池谷がゴール左を狙い、シュート。しかし、本田渉が反応。12分には、遠藤のクロス、ニアで森海渡が合わせ、ポストに弾かれたところ、セカンドボールを拾った瀬良がシュートを打ちますが、ライン上で武蔵野はブロックする好守。さらに左サイド、遠藤、池谷の連係からエリア前に迫る筑波。しかし、武蔵野も小口が粘り強く対応。後藤につながるようなボールを入れ、攻めに持ち込んでいこうとします。
17分には筑波は、池谷に代わり40庄司夢ノ介、知久に代わり17加藤匠人。最終ラインに山内が下り、3バックに。ときにはエリア内へ角田が上がり、山原の好クロスなどで揺さぶっていきますが、武蔵野も本田渉がしっかり対応していき、後半の飲水タイムへ。
飲水タイムが明けた25分には筑波、左サイドでこぼれ球を拾い、ボールはエリア外正面やや右へ。山原のシュートはブロックされ、右コーナーキックに。遠藤が左足で入れたボール、ニアで角田が合わせますが枠はとらえられず。さらに和田の仕掛けからフリーキックやコーナーキックを得ていく筑波。しかし、本田渉を中心とした守備は堅く、これに対応していきます。
32分には、筑波、ボールを左右に動かし、最後はエリア外正面で加藤がシュート。枠をとらえますが、本田渉がセーブ。さらに瀬良の浮き球に、庄司が反応しますが、高がこれに対応していきます。
筑波はここで瀬良に代わり9小林幹。直後には小林の左クロス、森海渡が頭で合わせますが、本田渉の正面。本田渉はしっかりこれをセーブしていきます。
さらに縦パスにエリア内へ小林が走り込み、左に開いた遠藤が速いクロスを入れていくなど、筑波の攻めの場面が続きますが、金田らが跳ね返していく武蔵野。それでもセカンドボールを渡さず、ボールを動かしながら、攻めていく筑波。38分、加藤がゴール前に入れた浮き球に反応したのは庄司。頭ですらしたボールはゴールのなかへ。1-1。ついに追いついたのは筑波。
武蔵野は41分に差波が負傷しピッチの外へ。10人となったところを筑波がラインを高め、押し込んでいくと43分には右クロスを遠いサイドで、小林が折り返し、森海渡が頭で決めましたが、オフサイド。
ここで武蔵野は差波に代わり13森谷実。
45分、筑波は和田に代わり6三浦雅人。
ロスタイムは4分。筑波がこぼれ球に反応した加藤がシュートを打てば、武蔵野もコーナーキックを得るなどしていきますが、ともにゴールには至らず。後半は1-1でタイムアップ。試合は、前後半計30分の延長戦へ。
延長前半、武蔵野は本田圭佑に代わり9田口光樹。田口が前線、石原がシャドーに。
筑波が両サイドを使いながら攻めていけば、武蔵野もエリア内で集中した対応を見せる場面が続き、互いに譲らず。白熱した展開で先に一歩前に出たのは武蔵野。左サイド寄りでボールを奪った鈴木が右サイドを突くパス。これに抜け出したのは後藤。マークを振り切って、距離のあるところからシュートを打つと、ボールはゴールのなかへ。1-2。
追いかける展開となった筑波は、さらにボールを動かし、森侑里も前に持ち上がるなど、変化を交えながら同点のゴールを目指していきます。すると12分、筑波は右サイド、三浦がクロス。これに遠いサイドで頭で合わせたのは小林。ボールはゴールのなかへ。2-2。筑波が同点に。
15分にはさらに左クロスに森海渡が反応。最後は正面左で小林がシュートを打ちますが、本田渉がセーブ。これで筑波が得たコーナーキックは決定的な場面にはつながらず。延長前半はタイムアップ。2-2で延長後半へ。
スタンドから筑波の応援団が手拍子で声援を送るなか、始まった延長後半。立ち上がりには武蔵野。左サイドに展開すると、エリア左を突くパスに石原が走り込みますが、筑波は足を伸ばして、これに対応。立て続けのコーナーキックも、最後には櫻庭がセーブして、しのいでいきます。
再びボールを持ち、両サイドから攻めていく筑波。山原や遠藤のクロスから、庄司や森海渡が迫りますが、決めることはできず。7分には、遠藤が負傷しピッチの外へ。それでもボールを動かしていく筑波。中央を固めた武蔵野という場面が続き、ボールが外に出たところで9分、筑波は5井川空が入り、中盤の底へ。加藤が一枚前に上がり、三浦が左サイドに。
11分には、左サイドでスローインを得た武蔵野。その流れからエリア外左、森谷がシュートを打ちますが、ワンタッチあり、右コーナーキックに。これをしのいだ筑波はカウンターに持ち込み、庄司が正面へ。武蔵野の守備が阻んだところ、エリア外左で拾った三浦がシュートを打ちますが、上に。さらに山原の右クロス、庄司が頭で合わせますが、本田渉がセーブ。
15分には武蔵野。足をつった小口に代わり25 片山修。さらにGKが本田に代わり1西岡佑馬。
ロスタイムに入り、これはPK戦か、と思われた16分、筑波は右クロスに森海渡が反応。こぼれ球をエリア左で拾ったのは三浦。シュートは西岡の頭上を抜くかたちで、ゴールネットを揺らし、3-2。勝ち越しのゴールは筑波へ。
さらに高い位置でプレーを重ねようとする筑波に対し、武蔵野もロングスローからゴールを狙うも、シュートにはつながらず。試合は、タイムアップとなり、3-2。勝ち上がったのは筑波となりました。
両者相譲らずの熱戦は、次第に増していく寒さも吹き飛ぶようなもの。年齢が少しずつ離れた3人の川崎そだちの選手たちが、それぞれ、ひたむきにプレーを重ねていくところを見られたこともとても嬉しくなるものがありました。
筑波大は関東大学サッカーリーグと、天皇杯。東京武蔵野シティFCはJFL。それぞれに大切な試合が続いていきます。3人がチームを勝利に導くような活躍を見せることを願っています。
前半0-0 後半1-1 延長前半1-1 延長後半1-0 計3-2
得点:庄司夢ノ介、小林幹、三浦雅人(筑波) 鈴木裕也、後藤準弥(武蔵野)
筑波大の先発:1櫻庭立樹、2山原怜音、23森侑里、3角田涼太朗、28遠藤海斗、8知久航介(c)、4山内翔、27瀬良俊太、15池谷祐輔、13和田育、11森海渡
交代:池谷→40庄司夢ノ介 知久→17加藤匠人 瀬良→9小林幹 和田→6三浦雅人 遠藤→5井川空
控え:21三沼慶太 12田嶋翔
東京武蔵野シティFCの先発:41本田渉、2高慶汰、15金田拓海、16中川諒真、7岩田啓佑、5鈴木裕也(c)、17小口大貴、22金井洵樹、14本田圭佑、8小林大地、26後藤準弥
交代:岩田→23差波優人 小林→18石原幸治 差波→13森谷実 本田圭佑→9田口光樹 本田渉→1西岡佑馬 小口→25片山修
控え:19鈴木翔
(文中敬称略)
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