6月1日かもめパークで行われた日本クラブユース選手権(U-18)関東大会ノックアウトステージ2回戦、ジェフユナイテッド市原・千葉U-18戦。
川崎フロンターレU-18は、高い位置からプレスをかけてくるジェフに苦戦。先制されながらも、後半流れを引き戻し、加治佐海のPKで立ち上がりに追いつくと、アディショナルタイムに楠田遥希が柴田翔太郎のコーナーキックからヘディングシュートを決めて、2-1。
逆転勝利で日本クラブユース選手権の出場権を得ることができました。
試合後に、長橋康弘監督、決勝ゴールの楠田遥希、同点のPKを決めたゲームキャプテンの加治佐海の2選手に話を聞きました。
◇試合の記事はフロンターレU18 – ジェフユナイテッド市原・千葉U18 / クラブユース関東予選 2回戦
「相手に対して、『来てくれ』と言うくらい、自信をもってグラウンドには入れるぐらいうまくならないと
フロンターレのサッカーというのは表現できない」
長橋康弘監督
〇全国大会決めて、今の思いは?
ほっとしている…。みんな、そうだと思うんですけど。はい、良かったです。
〇ジェフがすごく強くて。なかなか普段やらない相手じゃないですか。どんなことを気を付けました?
とにかく受けてしまうことがやっぱり一番よくないことで。これまで関東の予選、そんな甘いものじゃないというのは分かっていたし。
ジェフさんが相当力があるというのはやる前から分かっていたので。まず、受けてはだめだ、と。自分たちから本当に戦わないといけない。
そこで負けていたら、絶対に向こうに持っていかれるということを分かっていた中で、やっぱりああいう前半になってしまう。
それは今後、ああいう相手に対して、『来てくれ』と言うくらい、そういう自信をもってグラウンドには入れるぐらいうまくならないと、フロンターレのサッカーというのは表現できないかな、と。そこまでだめだったら、戦うというところで上回らないと。勝ち目はないですよね。
〇ジェフも前半から自由に蹴らせないようサッカーをしていたと思います。それにどう対処しようとしていましたか?
いろいろなやり方をしてくるんだろうな、と。うちに対してやることと。向こうも私らもそうですけど、負けたら連戦になりますよね?
分析から、『どんなことをやってくるかな』という感じはあったんですけど。ただ、そもそもフロンターレは相手を見てやるということをコンセプトで、やっていますので。
ああやってうちの良さを消してくる、そういったことに対して、どこが薄くなる、とか。
どういったところからビルドアップ、入っていくというところ。今日は全然見る余裕がなかった、というか。選手たちは。
〇フロンターレとしては、どういう狙いで攻めていったんですか?
前半は、とにかくこう相手を見ながら、相手が構えてブロックをつくるのであっても、来るんであっても、来た時にはちゃんと前を見ながら、ブロックをつくったら自分たちのテンポを生みながら、つくりながら、ライン間に差し込んだり。
そればかりになると背後がなくなるので、そういうところもやれることがあったんですけど。
まず選手たちがメンタル的に、その状態ではなかった感じに見えました。
〇プレミアとは違う雰囲気があります?
そうですね、一発勝負のゲームというのは、相手が『食ってやろう』という気持ちで来ますし。
そういったところも貴重な経験をさせてもらったと思いますし。
これを、リーグ戦まで少し空くんですけど、そこで今日の経験というのをプラスに変えていかないと、全国大会に行ったときに厳しい戦いになってしまうと思います。
〇選手たちもこんなところで負けてはいられないという思いもあったと思うので。そこはプレッシャーにもなりました?
そうですね。今のプレミアでいうと2位につけていて。クラブユースの大会なので。
クラブユースでは一番上というかですね、一個上が(高体連の)流経なので。そういった意味でいうと、彼らは勝たなければいけない。そういうプレッシャーの中で戦うということは、一つは前から言っているんですけど、クラブとして成長するために、プレッシャーというのは一人一人の成長につながるので。勝たなきゃいけないチームなので。
そういうプレッシャーを抱えながら、硬くなりながら、頑張っていたと思います。
〇前半先制されて流経戦のような雰囲気もあったと思うんですけど、そこは成長、2週間の取り組みというのがよく出たんですか?
そうですね、これまでやってきたこと、というか。去年出た反省点。ひっくり返す力というところでいうと、そこまで交代をしていなかったなかで、最後まで足止まらなかったですし。
とにかく、ひっくり返すというところでいうと、気持ちまで最後まで途切れていなかったので。彼らが最後まで死んでないな、というのを見ると、これまでのきついトレーニングというのはプラスになっているのかな、という風に思います。
〇先週(FC川崎栗の木との1回戦)、プレミアリーグではなかなか出ていない選手が出て。彼らのパフォーマンスはどうでした?
非常に良かったと思います。
今日は負けても、明日があるゲームでしたけど、先週は負けたら終わるという、そういうプレッシャーの中で経験のない選手たちがそのプレッシャーをもって、どういうふうにできるか、というところで、本当に1回戦も選手たちはしっかりやってくれたと思いますし。
プラスに変えて、成長してくれたと思います。
〇13番の増田君(増田陽太)、彼もそこからすごい声を出していた。すごいいい雰囲気だと思ってみていたんですけど、チーム全体でやっている感じがして。
そうですね。本当に今年の良さで。けがで出られない選手だったり、ここに来れない選手も含めてですね。
そういった選手のためにも、頑張ろうという気持ちが見える年というかですね。
特に3年生はなんとかこの年で、目標を一つでも多く達成しようという雰囲気が、練習からあるので。
非常に私ら、助かっていますけどね。はい。
〇全国大会に向けてやるべきことってどんなことですか?
やっぱり今日見えた課題。ああいう『食ってやろう』という、プレミアの上位を争っているチームを食ってやろうという、そういうマインドで対戦相手も来ると思うんですよね。
そこに対して、受けてしまったら、まずだめだな、と。
選手たちは本当に苦しい思いをして全国の切符をつかんだので。
そこをしっかり忘れずに、全国までにまず『かかって来いよ』と思えるぐらいの技術を身に付けるということと、最低限戦うということをやらないと、負ける可能性が出てくるということは身を持って知ったゲームだと思いますので。
そのへんのところを何とか強化していきたいと思います。
〇では、今日の試合は全国大会の切符も得て、たぶんジェフのプレミアのチームを食ってやろうと思ってきていて、全国大会に向けての貴重な経験にもなったと考えていいですかね?
そうですね。本当に全国大会に向けてイメージが。選手たちも『こういう戦いになってくるんだな』と。
すごい分かったと思うんですよ。
なので、すぐ忘れちゃうんじゃなくて。忘れないでほしいですね。せっかく苦しんで取った全国大会の切符なのでね。
〇クラブユースは相当去年悔しい思いをした大会だと思うんですけど、ここまで厳しいトレーニングも積んできて。
クラブユースは、どんな大会にしたいですか?
まずは毎年ベスト16で敗退している中で、連戦に弱い、暑さに弱い。試合環境、グランド状況含めてですね。
そういったところにも絶対に左右されないんだ、と。今年はそういったところでチームをつくってきました。
リーグ戦でいうと、11時キックオフのアウェイで、2敗しています。そういったところでまだ改善はされていないと思うんですけど。
まだ時間がある中で、今年は5時からキックオフとちょっと変わっていることがあるので。その辺のところも味方につけながらも、やっぱり去年までの経験を生かしてですね。
暑いからなんだ? というところで、準備していけたら、と思いますけどね。
〇また、サポーターが今日も多く駆け付けていましたけど、サポーターの方にメッセージなどをいただけますか?
今日も本当に勝たしていただいてありがとうございます。サポーター側でロスタイム、点も決まって。本当にサポーターがとらせてくれた得点だと思っています。
こういう点が本当に多いですけど、本当にサポーターのみなさんのおかげです。引き続き、すいませんが、力を貸してください。
よろしくお願いします。
〇セットプレーで決まったのは大きいですよね。
そうですね、本当に良かったです。
「全国行くまでに守備の基準を上げたり。できることを増やす。攻撃だったり。
練習とか試合を積み重ねながら、どんどん増やしていきたいと思います」
DF23 楠田遥希
〇お疲れさまでした。
お疲れ様です。
〇得点振り返ってどうですか?
いいボールが来たので、頭で合わせるだけでした。
〇どんなイメージしてました? 自分のところに来い、って?
自分のところに来たら絶対決めてやろうと思っていて。久しぶりに頭で決めたので。よかったです。
〇今日決めれば全国というところで、プレッシャーのようなものってありました?
そうですね、最初相手のほうが切り替えで上回っていて。なかなか自分たちの時間、つくれなかったんですけど。
後半入ってから自分たちがギアを上げて。序盤から押し込めたということがよかったのかな、と思います。
〇ジェフがガンガン前からきて、自由に蹴らせないというところがあって、ディフェンダーとしてやりづらさなどはありました?
そうですね、SBを切りながら寄せてきたりとかして、ちゃんと周りを見ながらやることを意識していました。
〇先制されても焦りみたいなものはなかったですか?
正直あったんですけど、『1回で全国決める』という目が合っていたので。最終的に追いついて、そして勝てたのは良かったと思います。
〇ハーフタイムで監督やみんなと話し合っていましたけど、どんなああことを話し合っていましたか?
もっと切り替えとか。『もっと行こうよ』とかそういう声掛けがありました。
〇プレミアリーグとは違う雰囲気というのは感じました?
一発勝負だったので。また違った緊張の仕方をしました。
〇全国へ向けて自分で積み上げていきたいことってどんなことですか?
全国行くまでに守備の基準を上げたり。できることを増やす。攻撃だったり。そういうところを練習とか試合を積み重ねながら、どんどん増やしていきたいと思います。
〇クラブユースは初めてになると思うんですけど、どんなイメージがありますか?
そうですね、グループリーグでは勝ちあがっているんですけど、そのあとがなかなか、近年上がれていないっていうのは知っているので。
さらに上に行けるように自分たちが頑張りたい、と思います。
〇連戦になると思うんですけど、それに向けて。イメージとかできていますか?
そうですね、連戦で体とかきつくなるかもしれないんですけど、もっとタフさをつけて、頑張りたいと思います。
〇今日はああしてゴールも決めて、喜ぶこともできましたけど、“バラバラ”は初めて?
はい。
〇どうでした?
ちょっと興奮していたので。勢いでできたと思います。
〇じゃあ、また全国の舞台でもできるように。
はい。
〇では、サポーターに向けてメッセージをいただけますか?
クラブユースの前のプレミアリーグだったり、全国大会でも応援よろしくお願いします。
「一発勝負っていう雰囲気に吞まれないために、もっと自分らが技術を磨いて。
自信つけて、やっていかなきゃいけない、と思います」
FW7 加治佐海
〇まずは全国大会出場を決めてどんな思いですか?
すごいほっとしていますね、はい。本当に今日の試合、絶対に勝つ気持ちで来ていたので。
明日のことは考えていなくて出た中で、先制点許してしまって。絶対に逆転するっていう気持ちはあったんですけど。
やっぱり、勝ててほっとしています。
〇プレミアリーグとは違う雰囲気、感じました?
そうですね、一発勝負なので。ちょっと違う雰囲気というのはあったと思いますね。
〇フロンターレとしてもここで負けられないという気持ちは当然あって、それでちょっとプレッシャーというものはありました?
はい、相手はプリンス2部で。自分らプレミアの2位を走っている中で、絶対負けちゃいけないですし。
すごいプレッシャーというのはあったんですけど、逆に前半はそのプレッシャーがよくない形で出たかな、と思います。
〇それでPKで同点ゴールでしたけど、あれはどんな気持ちでした? 蹴る前とかは?
始まって5、6分ぐらいだったと思うんですけど。
時間帯的にも、そこで追いつけばチーム状況的にも楽になる、というので。結構大事なPKだな、っていうのは考えたんですけど。
PKは、危なかったですけど、得意なほうなので。思い切って真ん中に蹴りました。
〇加治佐君が足かけられて、そこは狙い通りというものがありました?
左足に切り替えたときに、足出してくるなっていうのは見えたので。多分PKを取れるなというのは。
日頃からああいう形は意識したりしているので。狙い通りだったかな、と思います。
〇後半開始早々恩田君の惜しいシュートだったりとか、いきなりチャージをかけてきたという印象があったんだけど、そこは狙い通り?
ハーフタイムで、チーム、監督も含めて、入り、全部行くぞっていう話もあって。
自分らも入り、全部行くぞって。恩田が開始早々、ああいうプレーを見せてくれて。すごい逆転ムードっていうのは、そこから流れたかなって思います。
〇前半うまくいかなかった要因はどんなこと?
そうですね、相手にとって怖いプレーができていなかったかな、っていうので。
背後何本かあったと思うんですけど、どちらかというと相手がコンパクトに持っている中で、横回しが続いちゃっていて。
相手にとって一番やなことっていうのを選択できないまま、やな形で失点してしまって。
自分たちで、やな状況をつくってしまいましたね。
〇相手が前から守備してきたので、なかなか前にボールが来なかった印象があるんですけど、そのへんはどうでした?
相手、切り替えだったりとか球際だったりとか、戦うっていうのは自分らよりも前半に関しては本当に、すごい優れていて。
自分らがそれを受けてしまったっていう印象で。
自分のところにボールが来なかったのもそうですし。相手に、受けちゃったのかなと思います。
〇全国大会、ちょっと先ですけど、どんな準備をしていきたいですか?
全国大会までにプレミア4連戦があるので。まずはそこで4連勝する。いいかたちで全国大会迎えるっていうのと、一発勝負っていう雰囲気に吞まれないために、もっと自分らが技術を磨いて。自信つけて、やっていかなきゃいけない、と思います。
〇流経戦の悔しい敗戦を踏まえて、取り組んできていることってあるんですか?
流経戦で本当にたくさんあったんですけど。反省っていうのは。そのなかで、二つぐらい挙げると、チームとして目を合わせるっていうので。
背後に蹴るのか、つなぐのかっていうのと。あともう一つは奪ったあとにつなぐのか、前に蹴るのかっていう判断のところで、そこでもチームの目が合っていなかったので。
やっぱりそこを、『自分らならもっとやれるんじゃない』っていう話が監督のほうからもあったので。
奪った後はつなごうというのは思っていました。
〇今日は前半はそういう目がそろわなかった部分があるんですか?
目はそろっていたと思うんですけど。
単純な質だったり、あとはグラウンドのコンディションにまだ慣れていなかったのかなって思います。
〇個人的にはクラブユース、どんな大会にしたいとか、どんなプレーにしたいとかそういったものってありますか?
チームとしては絶対、全国制覇したいですし。個人としては、プレミアでは自分はまだ結果あまり残せていなくて。ゴールという形で。
クラブユース、特別な思いも持っているので。得点、アシストっていう結果にこだわって、やっていきたいと思います。
〇クラブユースまでにチームとしてこういうことをやっていこうというものって頭に浮かんでいたりします?
ゴール前の精度だったりとか、あとはゴール前での守備。両方なんですけど、流経戦で出たのがゴール前、軽くなっちゃったっていうのがあって。
そういうところと、今日で言うと中央で崩してのゴールっていうのが、あんまりなくて。
クロスからの得点が自分らは多いので。それは本当にいいことなんですけど。
もっと自分ら中央から、練習では崩せているので。クラブユースではそれを見せられたら、と思います。
〇今日はセットプレーのキッカー、いつもは柴田君がやっていたと思うんだけど、今日は矢越君が前半蹴ったりとかしていて。あれはチームとして話し合ってやっているんですか?
1本目、幹都(矢越幹都)が。自分後ろから入ったんですけど、デザインで。ストレートボールが上手なので。
ストレートに入って、自分が後ろから頭で合わせるっていう狙いで、矢越が蹴っていたんですけど。
矢越も柴田もすごい高い精度で蹴れるので。セットプレーはずっと可能性を感じていて。
今日は楠田がやっとセットプレーから決めて。よかったです。
〇では、サポーターの人にメッセージをいただけますか?
今日は足を運んでいただき、ありがとうございました。
先制されて、すごい苦しい時間帯が続いたんですけど、みなさんが本当にすごい背中を押してくれて。
自分らが逆転するっていう勇気を与えてくれて。苦しい時間帯があっても、みなさんの応援があったので。
頑張れて逆転までつながったと思うので。本当にありがとうございました。
◇
先制されたところから、後半自分たちで流れを引き戻し、苦しみながらも全国大会の出場権を得たフロンターレU-18。
試合後の言葉からは、この試合を通して、この先のプレミアリーグEAST、そして日本クラブユース選手権で戦うために、何が必要なのかを感じ取っているように思えました。
この試合も、また、これからフロンターレU-18が、選手たちそれぞれが、成長していくための大きなきっかけになる。
そう思います。
日本クラブユース選手権の出場権を得たことで、しばらく公式戦からは遠ざかるフロンターレU-18。その間にもトレーニングなどを通して、さらにさまざまなものを積み重ねて、プレミアリーグEASTなどに臨んでいくはずです。
次戦:プレミアリーグEAST第8節 vs 横浜FCユース
6月15日(土) 午後3時キックオフ 保土ケ谷公園サッカー場
(文中敬称略)
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