7月25日日本クラブユース選手権はグループステージの最終戦、第3節を迎え、川崎フロンターレU-18はサガン鳥栖U-18との試合に臨みました。
2試合を終えての、フロンターレのいるグループBの順位は以下の通り。
①サガン鳥栖 勝ち点3 1勝1敗 得点4 失点3 得失点差+1
②ヴィッセル神戸 勝ち点3 1勝1敗 得点3 失点3 得失点差0
③川崎フロンターレ 勝ち点3 1勝1敗 得点2 失点2 得失点差0
④ブラウブリッツ秋田 勝ち点3 1勝1敗 得点2 失点3 得失点差-1
今大会からノックアウトステージに進出できるのは各グループの1位のみ。
フロンターレとしては、求められるのは勝利。勝利したとしても、もうひとつの試合、ヴィッセル神戸U-18 vs ブラウブリッツ秋田U-18で、ヴィッセルが勝利し得失点差で並んだ場合は、総得点数で上回るほうが順位が上となるため、より多くのゴールが必要となるシチュエーションでの一戦となりました。
【川崎フロンターレU-18 日本クラブユース選手権第3節 vs サガン鳥栖U-18】
7月25日(木) 午後7時キックオフ ロード宮城総合運動場陸上競技場 雨 50人 35分ハーフ
フロンターレの先発は、GK16松澤成音、最終ラインは右から2柴田翔太郎、4林駿佑、キャプテンの5土屋櫂大、15関德晴、ボランチは10矢越幹都、23楠田遥希、右MF8知久陽輝、左MF11児玉昌太郎、前線には7加治佐海、17恩田裕太郎。
鳥栖の先発は、GK41エジケ唯吹ヴィンセントジュニア、最終ラインは右から5池末徹平、キャプテンの6山﨑遥稀、2古舘宗也、ボランチは20東口藍太郎、19古賀稜麻、右に27岩村淳之介、左に13柿本優空、2シャドーに9與座朝道、22山村チーディ賢斗、前線には10鈴木大馳。
フロンターレと鳥栖は、2022年プレミアリーグファイナルで対戦。2-3で鳥栖が勝利し、日本一のタイトルを獲得しています。
この前に予定されていたグループAの第3節、大宮アルディージャU-18 vs ジュビロ磐田U-18が雷のため、7月26日に延期となり、フロンターレU-18 vs サガン鳥栖U-18も一時は開催が危ぶまれる状況に。それでも午後6時ごろには雷は去り、時折地面を湿らす雨が降る中、選手たちは予定通りアップを開始。
多くのフロンターレサポーターが駆け付け、幕を出し、選手の家族らも加わって声援を送る中、キックオフの時を迎えました。
立ち上がり、浮き球をサイドに入れ、前に起点をつくろうとする鳥栖。しかし、フロンターレは関が寄せて、前に行かせず。
さらに左右にボールを動かし、右サイド、縦パスを入れ、背後を突こうとする鳥栖。しかし、フロンターレは関がカバー。ゴールキックにしていきます。
3分にはフロンターレ、中央でボールを奪うと、加治佐が左サイド、高い位置へ。加治佐が正面へ折り返すと、エリア外正面で矢越がミドルシュート。
これは鳥栖の守りに遭い、左コーナーキックに。
左コーナーキック、柴田は遠いサイドにボールを供給。これを土屋がおさめ、土屋から受けた知久は右クロス。エリア内でフロンターレにファールがあり、シュートにはつながりませんでしたが、求められるゴールを取ろうとする姿勢を見せていきます。
5分にはさらにフロンターレ、左サイドで児玉がボールをカット。そのパスに高い位置へ抜け出した関が折り返し。
これは鳥栖のクリアに遭い、左コーナーキックに。
柴田がニアに入れると、恩田がヘディングシュートを打ちますが、サイドネットに。ゴールとはなりませんでしたが、チャンスをつくっていきます。
セカンドボールを鳥栖が拾っても、すばやく楠田が寄せ、サイドに追い込んで、フロンターレのスローインにしていきます。
8分には、楠田や矢越がかかわってボールを動かし、左サイド、加治佐へつなげると、加治佐の縦パスに児玉がエリア内へ仕掛けていきますが、鳥栖の守りが阻んでいきます。
鳥栖も10分には、正面、間で山村が受け、右サイド、與座へ。與座はエリア右へ仕掛けていきますが、林がカバー。
さらに正面でセカンドボールを拾い、前に持ち込もうとしていきますが、恩田のプレスバックからボールをものにしたフロンターレ。加治佐が正面へ仕掛けていくと、鳥栖のファールがあり、フロンターレのエリア外正面でのフリーキックに。
キッカーは柴田。エリア内、遠いサイドへ合わせるようなボールを送りますが、これはシュートにはつながらず。GKのエジケが対応していきます。
さらにフロンターレは右サイドで柴田、知久、楠田がボールを動かしていき、そこからサイドを変えて左サイド、矢越へ、矢越は右サイドに展開。
柴田から知久へつながり、知久は高い位置へ持ち込んでいきますが、鳥栖は古舘がカバー。
さらに矢越や関、土屋がかかわり、土屋の左サイドを突くパスに関が高い位置へ。
鳥栖の守りも堅くなかなかシュートには至りませんでしたが、相手陣内へ入り込んでいきます。
鳥栖も、浮き球のパスに鈴木が正面への動き出し。しかし、林がカバー。
14分には、さらに鳥栖は最終ラインの古舘や山﨑がかかわって、うまく間につけていきますが、出足よくカットしたのはフロンターレ。
児玉から、関へつながり、関の折り返しから恩田がシュート。しかし、鳥栖の守りがここでも阻んでいきます。
一方の鳥栖も、17分にはフロンターレにファールがあり、右サイドでのフリーキックに。
岩村が遠いサイドに入れると、山村が合わせますが、これはオフサイド。
飲水タイムをはさんで、さらにボールを動かしていくのはフロンターレ。
矢越から左サイド、関につながり、間でうまく楠田が受けるなど、多くの人がかかわって組み立てていきます。
19分には林のフィードに、恩田がエリア右へ。恩田は右サイドに展開。柴田が高い位置から折り返しますが、鳥栖の守りがここでも対応。
しかし、フロンターレはさらに恩田がおさめ、左サイド、児玉へ。そのパスに正面へ抜け出した加治佐に対しても、鳥栖の対応があり、シュートにこそいけませんでしたが、セカンドボールをものにして、再び最終ラインへ。土屋から左サイド、児玉、関が連係するなどしていきます。
鳥栖も中央で厳しい寄せからボールを奪い、最終ラインの池末のパスに、與座が右サイド、高い位置へ仕掛けようとしていきますが、関が対応。
高い位置でボールを奪い返した鳥栖は、古舘がスペースを突くフィード。しかし、松澤が対応していきます。
恩田が正面でボールをおさめ、柴田がクロスを入れるななどしていくフロンターレ。セカンドボールをものに。
土屋が少し高い位置へ上がり、ボールを奪って左サイド、流れた恩田へつなげるなどしていきます。
鳥栖も、24分にはスローインの流れから右サイドからクロスを入れていきますが、柴田が対応。
さらに最終ラインでボールを動かし、池末が鋭い縦パスを間に入れていきますが、矢越がカット。
26分には、右サイドでスローインを得た鳥栖。東口がロングスローを入れる気配を見せながら、下がり目フリーの岩村にボールを預けると、岩村のクロスにエリア内左、山村がボレーシュート。しかし、これは枠はとらえられず。
するとフロンターレは恩田が下がり目でボールをおさめ、矢越・楠田がつながり、楠田から左サイドに展開。関から高い位置で受けた加治佐の仕掛けに対しては、鳥栖の山﨑のカバーがあり、加治佐のファールとはなりましたが、再び前に出る場面をつくっていきます。
鳥栖は29分、東口がボールをカット、左サイド、背後を突くパスに抜け出した山村がクロス。右サイドに流れたところ、セカンドボールを拾った鳥栖は、東口がクロス。
エリア内、飛び込んだ山村がヘディングシュート。しかし、フロンターレは体を張った守り。
鳥栖の左サイドでのスローインとなり、その流れから鳥栖はニアに正確なクロスを入れていきますが、土屋がブロック。
30分にはフィードの折り返しから、古賀が頭で合わせますが、これは上に。
31分にはフロンターレ、加治佐がプレスバックからボールを奪おうとしたところで鳥栖がファール。
フロンターレはすばやいリスタートから児玉が左サイド、高い位置へ。ここは鳥栖の戻りも速く、シュートにこそいけませんでしたが、切り替えの速さを見せ、ゴールへ向かう姿勢を見せていきます。
32分には林や土屋が触れて、間で知久が受け、知久から右サイド、開いて受けた柴田が恩田にボールを入れ、おさめた恩田の右サイドを突くパスに知久が抜け出しますが、ここでも鳥栖の守りが対応していきます。
さらにフロンターレは、知久や恩田、加治佐が連係。加治佐が高い位置へ持ち込もうとしていきますが、鳥栖の守備の対応に遭い、今度は鳥栖の攻撃に。
34分には、右サイドでスローインを得た鳥栖。岩村がロングスローを見せる姿勢を見せるも、下がり目、フリーで受けた古舘はエリア内へフィード。
しかし、松澤がセーブしていきます。
前半は0-0でタイムアップとなります。
この時点でもう1試合のヴィッセル vs ブラウブリッツは、1-0。このままならば、ヴィッセルが勝ち上がる、という状況でのハーフタイムに。
サポーターたちの声援を受け、再びピッチへ入っていくフロンターレ。
知久に代わり28平塚隼人がピッチへ。鳥栖は岩村に代わり3内丸寛太。
立ち上がりにはフロンターレ、林のフィードを恩田がおさめると、エリア外正面、受けた加治佐がミドルシュート。しかし、エジケのセーブに遭い、左コーナーキックに。
左コーナーキック、柴田がボールを入れると、こぼれ球を土屋が拾いますが、これにはエジケが対応していきます。
鳥栖も直後には、下がり目で受けた與座が浮き球のパス。しかし、エリア内で林がカバー。
すると5分にはフロンターレ、土屋から左サイドに展開。関から中央、間で受けた楠田につながり、楠田の縦パスに加治佐が斜めの動き出し。
加治佐から矢越へつながり、矢越から正面の恩田へ。恩田から受けた加治佐がエリア外正面でミドルシュート。
しかし、鳥栖のブロックに遭い、右コーナーキックに。
柴田が入れたボールはシュートにはつながりませんでしたが、セカンドボールをものにしたフロンターレ。
最終ライン、土屋や林、松澤も加わって再び組み立てを図っていきます。
フロンターレは7分加治佐に代わり9香取武。
8分には鳥栖、最終ラインから池末が持ち上がり右サイドを突くパス。しかし、関がカバー。
鳥栖は9分柿本に代わり18水巻時飛、山村に代わり11渡邊翔音。
鳥栖は10分、左コーナーキックと流れからエリア左で水巻がシュートを打とうとしますが、フロンターレはクリアしていきます。
前に出ようとする鳥栖に対し、コンパクトに対応していくフロンターレ。下がり目に下りた恩田がカット。恩田は左サイドに展開、関が高い位置へ仕掛ける場面をつくっていきます。
鳥栖も、13分には、左サイド、渡邊が背後を取りますが、これはオフサイド。
さらに14分には、右サイド、内丸のパスに與座がエリア右へ。しかし土屋がカバー。
こぼれ球を拾った鳥栖は内丸が高い位置へ。しかし、関がブロック。
右コーナーキックを得た鳥栖。セカンドボールを拾い、古舘がフィードを入れていきますが、松澤がセーブ。
再び恩田や関、児玉がかかわって左サイド、高い位置でボールを動かしていくフロンターレ。
15分には、エリア正面左、矢越が抜け出しシュート。しかし、上に。
さらに17分には土屋が自陣でボールをカット、スルーパスに恩田が正面へ。恩田はシュートを打ちますが、これは左に。
さらに17分には、楠田から右サイド、柴田へ。柴田がクロスを入れると香取が飛び込みシュートを打つもこれは右に。
飲水タイムをはさんで、フロンターレはさらに交代。矢越に代わり14八田秀斗。児玉に代わり25平内一聖。平内は3戦目でこの大会初出場。
20分には鳥栖、右サイドからの攻めに。背後を突く浮き球に、渡邊がエリア右へ抜け出しますが、これはオフサイドに。
八田が間で受け、左サイド、関につなげ、関から受けた平内のパスに高い位置で受け直した関が折り返し。セカンドボールは楠田がものに。
再び関につながり、関が折り返すなどしていくフロンターレ。平塚や香取がエリア内へ飛び出すなど、攻勢を続けていきます。
鳥栖も体を張った守りから高い位置へ持ち込む場面をつくりますが、土屋が前に出て、阻んでカウンターは許さず。
再びフロンターレが松澤も加わって後ろからボールをしっかりつないでいきます。
24分には恩田から平塚とつながり、平塚のパスに柴田が右サイド、高い位置へ。柴田に対しては、鳥栖が体を張った守り。
右コーナーキックに。キッカー、柴田がボールを入れると、エリア内、こぼれ球に反応。シュートを打ったのは林。ボールはゴールの中へ。1-0。ついに先制したのはフロンターレ。選手たちはゴールを喜びながらも、すぐさまボールを拾い上げ、センターサークルへ。この時点でヴィッセルは2-0。フロンターレに必要なのはあと2点。
直後には、ボールを奪い、カウンターに持ち込んだフロンターレ。恩田、平塚、香取がエリア前に迫りますが、鳥栖は体を張り、ブロック。
しかし、再び左サイドから持ち込んだフロンターレは、平内が仕掛けて、クロス。これにエリア正面、頭で飛び込んだのは平塚。ボールはゴールの中へ。2-0。
交代で入った2人の選手がかかわった、素晴らしいゴール。立て続けのゴールでさらにフロンターレは加速していきます。
直後にも、フロンターレは恩田がボールをおさめ、左サイドに展開。平内がクロスを入れますが、鳥栖はブロック。
鳥栖は東口に代わり24池田季礼。
サポーターの声援、ピッチ脇の選手たちの声も受けて、加速するように前に出ていくフロンターレ、28分には平塚のパスに恩田がエリア左へ。
これをカットした鳥栖は、與座が高い位置へ持ち込もうとしますが、フロンターレは奪い返し、前には行かせず。
さらに中央でボールを奪った鳥栖は、右サイドからクロスを入れていきますが、フロンターレはこれに対応。
浮き球のパスに、恩田が正面へ動き出しますが、オフサイド。しかし、ゴールへ向かう動きを続け、エリア前に迫っていきます。
31分には平塚のパスに柴田が右サイド、高い位置へ。柴田が相手をうまく引き付け、剝がしてクロスを入れると、香取がヘディングシュート。しかし、右に。
ピッチ脇の選手たちからの「まだ時間はある」「次が必ずある」。声にも背中を押されるように、フロンターレは攻勢を続けていきます。
すると32分フロンターレは、楠田から左サイド、恩田に展開。恩田がクロスを入れると、エリア内、左足でシュートを打ったのは香取。
3-0。突き放したのはフロンターレ。ヴィッセルはこの時点でまだ2-0。公式戦では5月12日のプレミアリーグEAST第6節、市立船橋戦以来の香取のゴールで、フロンターレが一歩前に出ます。
鳥栖はロングスローやGKのエジケのフィードからゴールを狙おうとしますが、フロンターレはこれを跳ね返し、さらに最終ラインからのフィードは、松澤がセーブ。
守りに入るのではなく、さらに攻勢に出ていくフロンターレは、34分左サイドからの攻めに。平内から関とつながり、関がエリア左から折り返すと、正面で香取がシュート。
しかし、鳥栖はブロック。
35分には、楠田のスルーパスにエリア内、抜け出したのは恩田。シュートを打ちますが、鳥栖の好守が阻んでいきます。
アディショナルタイム。セカンドボールを八田がものに。八田から受けた柴田がサイドを変え、左サイド、平内につなげるなどしていくフロンターレ。
平内が高い位置へ持ち込んでコーナーキックを得るなどしていきます。
37分には平内から中央の八田、柴田とつながり、柴田から右サイド、高い位置へ顔を出した平塚へ。平塚は折り返すも、ブロック。
浮き球をしっかり競り、相手陣内でプレーする時間を重ねるフロンターレ。
39分には、柴田がエリア外正面へ浮き球を送ると、ボールを粘り強くおさめたのは恩田。恩田が左足を振りぬくと、ゴールネットが揺れます。4-0。
素晴らしい一撃でさらに突き放したのはフロンターレ。
突き放されても長いボールを入れ、ゴールに迫る鳥栖の攻撃にもしっかり対応していき試合はタイムアップ。4-0。
ヴィッセル vs ブラウブリッツは、アディショナルタイムにヴィッセルが追加点を決めて、3-0でタイムアップ。
フロンターレは2勝1敗、勝ち点6、得点6、失点2、得失点差+4。ヴィッセルは2勝1敗、勝ち点6、得点6、失点3、得失点差+3。
この結果、フロンターレは得失点差でヴィッセルを上回り、ノックアウトステージ、準々決勝への進出を決めました。
試合後にはサポーターたちから「ミラクル川崎」のチャントで送り出されたフロンターレ。
まさに奇跡のようなこの試合は、まぎれもなく最後まで点を取ってもさらに点を狙い続け、そして集中した守りでゴールを守り抜いた選手たちそれぞれの想いが結実したもの。
この勝利は、逆転でノックアウトステージ進出を決めたということ以上の、大きな意味を持つ勝利になるはずです。
前半0-0 後半4-0 計4-0
得点:林駿佑、平塚隼人、香取武、恩田裕太郎
フロンターレの先発:16松澤成音 2柴田翔太郎 4林駿佑 5土屋櫂大(c) 15関德晴 10矢越幹都 23楠田遥希 8知久陽輝 11児玉昌太郎 7加治佐海 17恩田裕太郎
交代:知久→28平塚隼人 加治佐→9香取武 矢越→14八田秀斗 児玉→25平内一聖
控え:1山本健翔 3山中大輝 29藤田明日翔 6齊名優太 38奥田悠真鳥栖の先発:41エジケ唯吹ヴィンセントジュニア 5池末徹平 6山﨑遥稀(c) 2古舘宗也 20東口藍太郎 19古賀稜麻 27岩村淳之介 13柿本優空 9與座朝道 22山村チーディ賢斗 10鈴木大馳
交代:岩村→3内丸寛太 柿本→18水巻時飛 山村→11渡邊羽音 東口→24池田季礼
控え:1井本航太 8森夲勢那 14櫻田琉 15新川志音
(文中敬称略)
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