川崎フロンターレがクラブの初めてのタイトルを懸け、埼玉スタジアム2002で行われたセレッソ大阪とのルヴァンカップ決勝に臨んだ翌11月5日は、JR大宮駅から歩いて七五三を祝う家族連れでにぎわう氷川神社の参道を抜けて、NACK5スタジアム大宮へ。
Jユースカップは準々決勝。大宮アルディージャユースとの3回戦を3-1で制した川崎フロンターレU-18は、2013年以来2回目の準決勝進出を懸け、セレッソ大阪U-18との試合に臨みました。
【川崎フロンターレU-18 Jユースカップ準々決勝 vs セレッソ大阪ユース】
11月5日(日)午後2時キックオフ NACK5スタジアム大宮 晴れ 389人
ガンバ大阪ユースが後半終了間際に追いつき、延長戦では怪我でプレーができなくなった選手も出て9人となりながらも、湘南ベルマーレユースをPK戦の末に下す、どちらにも拍手を送りたくなるような好ゲームとなった準々決勝の第1試合に続いての第2試合。
フロンターレの先発は、GK1早坂勇希、DFは右から5小川真輝、34高吉正真、3新井秀明、11デューク・カルロス、ボランチはゲームキャプテンの15池谷祐輔、7桝谷岳良、右MF37有田恵人、左MF24宮城天、トップ下10村田聖樹、FW18宮代大聖。
セレッソの先発は、GK21林祥太郎、DFは右から34吉馴空矢、40林田魁斗、33西尾隆矢、19鈴木冬一、ボランチは30山口和樹、36松本凪生、右MF32奥村仁、左MFキャプテンの8有水亮、FW9山田寛人、27根木洸希。
フロンターレのサポーターはもちろん、多くのセレッソのサポーター、さらには選手の家族らが集まったNACK5スタジアム。好天に恵まれ、青空が広がったもののメインスタンドは屋根で日陰となり、やや肌寒さを感じるなかでのキックオフとなりました。
立ち上がり、山田や根木、有水らの連係からゴールヘ迫ってくるセレッソの攻勢をしのいだフロンターレ。2分には宮代のリターンを受けた池谷がミドルシュートで狙うもボールは左へ。枠をとらえることはできず。
するとセレッソが西尾や林田に松本や山口がかかわって後ろで組み立てつつ、フロンターレのゴール前に。4分には西尾のフィードに、右サイド高い位置へ抜け出した奥村が右サイドからエリア前に切れ込んでミドルシュートを打ちますが、新井がブロック。さらにセレッソの時間帯は続き、5分には吉馴の右クロスをエリア内、根木がうまくおさめるも、高吉がねばり強く寄せ、シュートにはつなげさせず。さらに右サイド、吉馴のパスにエリア右へ奥村が抜け出すも、デュークが体を寄せてボールを奪い取る好守。さらに右サイドからの攻勢を続けるセレッソ。スローインからエリア右へ山口が抜け出しますが、デュークがここでもうまく寄せて最後はクリア。
セレッソは山田、根木、有水がよく連係して、フロンターレのゴールヘさらに迫る時間帯が続き、10分には山田、根木とエリア前でうまくパスを回して、最後はエリア左へ有水が抜け出すも、新井がクリア。さらに松本、山口の両ボランチに山田や根木が交互に下り、組み立てにもかかわって、うまく前を向いてセレッソがゴールヘ迫っていきます。12分には最終ラインのフィードのこぼれ球を拾った根木のパスにエリア右へ山田が抜け出してシュートを打つも、これは右へ外れてゴールとはならず。
なかなかセレッソのゴール前に入ることのできなかったフロンターレでしたが、12分を過ぎるとラインを高く上げ、池谷や桝谷、村田がかかわって次第にボールを回せるように。13分には池谷から右サイドの小川真輝へ展開。小川のサイドチェンジを左サイド高い位置で受けた宮城がエリア左へドリブル。これは吉馴にボールを奪われてしまうものの、フロンターレはここから人数を割いて、攻勢に出られるようになっていきます。
14分には宮代のパスにエリア外左へ桝谷が抜け出しクロスを上げると、エリア外右、小川真輝にボールが渡ってシュートに持ち込むもこれはブロック。さらに桝谷、宮城とつないで、宮城のパスにエリア右、宮代が抜け出しシュートに持ち込むもここもセレッソの体を張った守備で左コーナーキックに。小川真輝が右足で速く地を這うようなボールを入れていきますが、これはシュートには結びつかず。
セレッソも根木がうまくボールを受け、ゴールヘ迫ってきますが、デュークがエリア前にしぼっていい守備を見せたり、村田が自陣の低い位置まで戻ってデュークとうまく囲い込み、連係してボールを奪い取って起点をつくらせず。21分には山田がエリア外右へ抜け出してきますが、ここでも新井とデュークが寄せてボールはカット。さらに宮城や有田も切り替えよく戻って、セレッソの選手からボールを奪い取るなど、フロンターレはいい距離感で攻守に良いプレーが続いていきます。24分には桝谷からパスを受けた左サイドの宮城から高い位置へ駆け上がったデュークへ。デュークがクロスを上げるとエリア内、村田が頭で合わせますが、ボールはポストを叩いて惜しくも決まらず。一方のセレッソも直後には縦パスにうまくエリア内へ抜け出した山田が早坂と1対1に。しかし、枠をとらえたシュートは、先に動くことなくしっかり対応した早坂が止め、得点とはならず。
フロンターレも26分には再びゴール前に。宮城のパスを受けた宮代がエリア右からシュートで狙いますが、セレッソのGK林に止められ、こちらも得点とはならず。中盤へ下りてうまくボールを受けていたセレッソの根木に対しては、デューク、新井がうまく連係して前を向かせずにボールを持つ時間帯を増やしていくフロンターレ。時には早坂がエリア外に出て、新井や高吉、池谷や桝谷とかかわって、小川真輝やデュークがそれぞれのサイドの高い位置へ。攻勢に出ていきます。28分には小川真輝のパスに、右サイドの高い位置へ有田が抜け出して仕掛けていくも、鈴木にうまくボールを奪い取られてエリア内へは持ち込めず。
さらにフロンターレがラインを上げてコンパクトに。ボールを回す時間帯は続き、29分には桝谷がうまくボールを前へ運び、パスを出すとエリア内、宮代が抜け出しますが、セレッソも西尾や林田がねばり強く寄せて最後は林がボールを抑えてシュートには至らず。直後にはセレッソも、山田の折り返しに、エリア外正面、松本が抜け出しますが、桝谷や有田が切り替えよく戻って前を向かせず。さらに根木のスルーパスにエリア右へ有水が抜け出そうとしますが、ボールはデュークがカット。
33分にはフロンターレ、村田がエリア右へ抜け出してシュートに持ち込みますが、西尾に阻まれて枠へは飛ばせず。セレッソも山田、松本とつないで最後はエリア左へ有水が抜け出そうとしますが、ここでは高吉がボールをカット。さらにスルーパスに、山田がエリア右へ抜け出してシュートを打ちますが、早坂がまたも好セーブを見せてゴールは許さず。畳みかけるセレッソは、さらに根木がエリア左へ抜け出そうとする山田を狙ってスルーパスを出すも、ここでは小川真輝がボールをカット。
セレッソの攻勢をしのいだフロンターレ。40分には有田が右サイドの高い位置に。最後は宮城がエリア右でシュートを打つもセレッソも体を張った守備で防いで枠へは飛ばさせず。41分にはセレッソ、山田がエリア右へ抜け出すもここでも高吉とデュークがうまく連係して守りコーナーキックに。セレッソは右コーナーキック、有水がエリア内へ良いボールを入れていきますが、桝谷がエリア内でボールをうまくカット。前を向いて右へ展開すると、有田、小川真輝と右サイドの高い位置へボールが渡り、最後はエリア内へ飛び出した桝谷がシュート、左へ外れたものの、切り替え良く、一気に攻撃へつなげていきます。
ロスタイムは1分。セレッソは鈴木の浮き球に山田がエリア前に。最後はエリア内へ松本が飛び出しますが、新井がうまく寄せ、最後は早坂がボールを抑えてシュートには持ち込ませず。前半は0-0でタイムアップとなります。
後半立ち上がりはセレッソ。左サイドで得たスローインから有水がうまく前を向いて、エリア前に。シュートに持ち込もうとしますが、フロンターレは宮城がよく戻ってこれをブロックする好守。攻撃の芽を摘み、流れをセレッソのものとはさせず。
4分にはフロンターレ、村田のパスに左サイド高い位置へデュークが抜け出し、6分には桝谷、有田、小川真輝が右サイドでパスを回し、最後はエリア外右へ小川真輝が抜け出すなど、シュートにこそつながらなかったものの、両サイドが機を見て、うまく選手がかかわりながら攻撃へ。
8分にはエリア外左へ抜け出した桝谷のスルーパスからエリア内、宮代が入り込むもセレッソの選手はクリア。小川真輝がセカンドボールを拾い、さらに押し込んでいくフロンターレ。9分には右サイドのスローインから宮代がエリア右へ抜け出すもクリアされてコーナーキックに。右コーナーキック、桝谷が左足で直接ゴールヘ向かっていくボールを入れるも、GK林が弾き出し、クリアボールを前線に残っていた根木に正確につなげ、カウンターへ移ろうとしますが、フロンターレは池谷、セレッソのエリア前から自陣にすばやく戻った有田が囲い込んで攻撃へはつなげさせず。
ここからセレッソも左サイドからは有水がクロスを入れ、右サイドの高い位置へ出た奥村がエリア内へ縦パスを入れてきますが、新井がクリアし、縦パスは高吉がインターセプト。さらにセレッソは12分、エリア左へ山口が抜け出しシュートに持ち込もうとするも、早坂が先にボールをキャッチ。早坂はすばやく左サイドへボールを送り、これを受けた村田のパスにエリア内、宮城が抜け出すも、セレッソの西尾がクリア。シュートにこそ持ち込めないものの、守備から攻撃へ切り替えよくつなげていきます。
12分にはフロンターレ、桝谷のパスを受けた宮代が、エリア外正面で前を向いて右へ展開。有田、小川真輝と右サイドでパスを回して、エリア内へ小川真輝がボールを入れると、村田がボールをおさめるもセレッソの寄せも速く、シュートには至らず。それでもいい距離感で池谷、桝谷に村田がかかわってボールをよく回していくフロンターレ。
15分、右サイドの小川真輝からエリア外正面でパスを受けた桝谷がスルーパスを出すと、エリア内へ抜け出したのは宮代。うまく切り返してマークを振り切り、左足でシュートを打つとゴールネットを揺らします。1-0。先制点はフロンターレへ。メインスタンド右で声援を送っていたフロンターレのサポーターのもとへ駆けていく宮代、そしてフロンターレの選手たち。
畳みかけるフロンターレは19分、桝谷の縦パスにエリア前やや左で、宮城が前を向こうとしますが、ファールを受け、ゴールに近い位置でフリーキックを得ます。キッカーの小川真輝が右足を振り抜くと、枠左をとらえたシュートがまたもゴールネットを揺らして、2-0。ピッチ脇で出場に備えながら試合の行方を見守っていた選手のもとへ駆け抜け、そしてスタンドの家族やサポーターへ誇らしげに笑顔を向ける小川ら選手たち。一緒に喜びを分かち合います。
セレッソはここで根木に代えて24谷本駿介が入り左MF、有水が前線へ。直後にはエリア前に有水が抜け出すもこれはブロック。22分には山田から左サイド高い位置の鈴木へ。鈴木がエリア内へ進入し折り返しますが、新井がこれによく対応し、最後は早坂がボールを抑えてシュートにはつなげさせず。ここからフロンターレも切り替えよく前にボールを送り、左サイド高い位置からデュークがクロスを送ると、右サイドへ流れたボールを有田が拾って折り返すも、セレッソはエリア前に戻った松本がクリア。2点差にもセレッソも気持ちが切れることはなく、シュートにはつなげることはできず。23分にはセレッソ。有水を起点にエリア前に迫り、コーナーキックを得ると、左から有水がいい軌道のボールを入れていきますが、早坂がパンチング。最後は高吉がクリア。しのいでいきます。
26分、フロンターレは有田に代わって13大曽根広汰が右MFへ。セレッソも奥村に代わって37下川太陽が入り左SB、鈴木が右MFへ。選手交代直後の最初のプレーはセンターサークルやや手前からのセレッソのフリーキック。エリア内へボールを入れると、エリア内、高く舞い上がったこぼれ球に合わせた山田のシュートがゴールネットを揺らします。2-1。
松本や山口もよく前に出て、分厚い攻勢に出てくるセレッソ。フロンターレは宮城や大曽根も自陣の低い位置へ戻り、エリア内へのボールには高吉や新井がよく対応ししのいでいきます。しかし、34分、セレッソは谷本から右サイドへ展開。吉馴のエリア右へのボールを、うまく入り込んでおさめた鈴木が右足でシュートに持ち込むと、ゴールネットを揺らして、2-2。ついにセレッソが同点に。
追いつかれたフロンターレも直後には、右サイドからの攻勢へ。小川真輝のクロスのこぼれ球を右サイドの高い位置で大曽根が拾い、クロスを上げると村田がエリア内へうまく入り込み、頭で合わせるもシュートは左へ。36分にはセレッソ。エリア外左から山田がパスを出すと、エリア外右へ抜け出した有水がシュートを打つも、早坂がしっかりボールを抑えて勝ち越しとはならず。
フロンターレは、勢いに乗るセレッソに呑まれることはなく、マイボールにすると池谷や村田、桝谷に時折宮代が下りて落ち着いてボールを回していき、小川真輝やデュークも機を見て高い位置へ上がって攻撃へ。37分には池谷、村田、宮代と中央から縦へパスを入れて、宮代から右サイドの高い位置の小川真輝へ。小川のクロスはエリア内でカットされてシュートにはつながらなかったものの、エリア前高い位置で宮代がボールをカットしエリア内へ。宮代のシュートはブロックされ、こぼれ球を拾った桝谷のシュートもブロックされたものの、多くの選手がかかわって、勝ち越しの1点を狙っていきます。
セレッソも39分、エリア左へ山田が抜け出してシュートに持ち込むもこれは右へ。直後にはフロンターレ。エリア前の宮代へボールを送ると、クリアボールはエリア左へ。こぼれた球に向かって、宮城がスピードに乗って進入。飛び出してクリアしようとしたセレッソのGK林と交錯すると主審の笛が鳴り、判定は林のファールに。フロンターレにはPKが与えられます。キッカーは宮城。右足を振り抜くと、ゴールネットが揺れて3-2。フロンターレが再びのリード。
セレッソはここで山口に代わって14佐々井大輝が入って前線へ。一方のフロンターレも43分、宮城に代わって4伊従啓太郎が入り、最終ラインへ。前に人数を増やして攻勢を強めていくセレッソに対して、最終ラインは右から小川真輝、高吉、伊従、新井、デュークと5バック気味に。44分にはセレッソの左からのコーナーキック、ニアで佐々井が合わせますが右へ。
ロスタイムは3分。46分には左サイド、下川が高い位置へ仕掛けエリア内へボールを入れると山田がうまく前を向いてシュートに持ち込もうとしますが、早坂が前に出て、最後は伊従がクリア。さらに続くセレッソの攻勢。右サイド高い位置へ鈴木が抜け出してエリア内へボールを送ろうとしますが、デュークが体を張ってブロック。さらに松本がエリア正面から浮き球を入れてくるも新井がこれに対応し、こぼれ球を拾ったエリア外右からの鈴木のシュートは早坂がしっかりキャッチ。
48分、最後は足をつりながらもプレーを続けていた小川真輝に代わって、27森璃太がピッチへ入った直後、主審の試合終了を告げる笛が鳴り、試合はタイムアップ。3-2。
2点差をつけられてもあきらめることなく、猛攻を仕掛けていったセレッソの執念もすばらしく、どちらが勝利しても納得のできるような試合を、たくましく制したフロンターレ。ゴールを決めると控えの選手はもちろん、スタンドで応援していた人々にも笑顔を向け、胸のフロンターレのエンブレムを誇らしげに叩く姿は、タイトル獲得の夢に届かずにどこか沈んでいたサポーターたちの心を、大きく揺さぶってくれるものともなりました。
前半0-0 後半3-2 計3-2
得点:宮代大聖、小川真輝、宮城天=PK(川崎)山田寛人、鈴木冬一(セレッソ)
フロンターレの先発:1早坂勇希、5小川真輝、34高吉正真、3新井秀明、11デューク・カルロス、15池谷祐輔(c)、7桝谷岳良、37有田恵人、24宮城天、10村田聖樹、18宮代大聖
交代:有田→13大曽根広汰 宮城→4伊従啓太郎 小川→27森璃太
控え:16安福祐一 20上野綜太 30山内日向汰 9山田新
セレッソの先発:21林祥太郎、34吉馴空矢、40林田魁斗、33西尾隆矢、19鈴木冬一、30山口和樹、36松本凪生、32奥村仁、8有水亮(c)、9山田寛人、27根木洸希
交代:根木→24谷本駿介 奥村→37下川太陽 山口→14佐々井大輝
控え:1光藤諒也 3横山旭 43西村真祈
準決勝は11月12日午後2時、キンチョウスタジアムにて。初めての決勝進出を懸け、ガンバ大阪ユースとの一戦に臨みます。2013年、同じキンチョウスタジアムで行われた準決勝は、来季加入内定の脇坂泰斗が主将を務め、板倉滉らが出場。サンフレッチェ広島ユースと延長戦までもつれこむ激闘を演じた末に3-4。果たして、今回はどんな試合になるのか、多くのサポーターはとても楽しみにしています。
(文中敬称略)
写真は、かんちさん、とめさんからもいただきました。ありがとうございます!
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