川崎フロンターレが、エディオンスタジアム広島で行われたJ1リーグ第23節で、首位にたつサンフレッチェ広島を2-1で下した翌8月20日は、等々力陸上競技場へ。
川崎市と、韓国の富川市のサッカー選手たちによる川崎市・富川市青少年サッカー交流試合があり、川崎フロンターレU-15が韓国Kリーグチャレンジ(2部)の富川FC1995のU-15との試合に臨みました。
富川市はソウル近郊にあり、川崎市とは1996年に友好都市提携を結んでいます。交流試合は提携20周年を記念した2016年に始まり今年で3回目を迎えました。
【川崎フロンターレU-15 川崎市・富川市青少年サッカー交流試合 vs 富川FC1995 U-15】
8/20(月)午後3時2分キックオフ 等々力陸上競技場 くもり一時雨 40分ハーフ
フロンターレの先発は、GK16宮地健輔、DFは右から2高畠捷、23高井幸大、3田鎖勇作、28浅岡飛夢、ボランチは6田中慶汰、8秋葉拡人、右MF18入江流星、左MF11五十嵐太陽、トップ下キャプテンの10小室愛樹、FW9田中幹大。
富川FCの先発は、GK1キム・イウォン、DFは右から14パク・ジョン、4キム・リョウォン、9ジョン・ミンチョル、12チョ・ホクン、中盤の底に7リ・ウンジェが入り、その前に8キム・ギュミン、キャプテンの10キム・ヒョンス、右に11ヒュン・ジェ、左に3ソ・ジェウォン、前線には6キム・デヒュン。
時折雨が濡らす芝は、夏の暑さの影響もあってか、やや荒れた感じもみられるこの日の等々力。スタンドからは選手の家族らが見つめるなか、試合は始まりました。
前半の10分ほどは、ラインを上げ、いい距離感でフロンターレが攻勢に出る展開に。1分には、秋葉の縦パスを受けた田中幹大が小室とのパス交換からエリア右へ抜け出し、いい形での立ち上がりに。田鎖や高井に、秋葉や田中慶汰がかかわり、組み立てを図っていきます。
高畠の縦パスを受けた入江が田中幹大を経由して右サイドの高い位置へ上がったり、高畠がエリア右にスルーパスを通し、田中幹大が抜け出したり、5分には右サイドから入江がエリア正面へ入れたボール、受けた五十嵐がシュートを打ったりと、富川FCの陣内でのプレーを続けていきます。
しかし、富川FCも10分に迫る辺りに、前線のキム・デヒュンがボールをおさめ、中盤に戻し、最終ラインにリ・ウンジェが下りて、後ろからボールを動かせるように。11分にはエリア外正面でボールをうまく受けたキム・ヒョンスがミドルシュート。これには宮地が反応。こぼれ球を高井がクリアし、しのいでいきますが、さらに左サイドの高い位置でチョ・ホクンが折り返し、エリア左にうまく走り込んだキム・デヒュンがシュートを打つなど、ゴールに迫る時間をつくっていきます。
フロンターレは、なおも高い位置へうまく抜け出していくチョ・ホクンに対して、高井がうまく対応し、入江に縦パスを入れるなど、守備から攻撃へつなげに。
ボールを奪うと、田中慶汰と秋葉が中央でつなぎ、エリア左へパスを入れ、五十嵐が抜け出したり、五十嵐の縦パスを、左サイドに開いて田中幹大が受け、エリア前の小室へパスを通そうとするなどしていきますが、富川FCもゴールの前でキム・リョウォンやジョン・ミンチョル、リ・ウンジェがうまくボールをカットしたり、シュートをブロックしたりとなかなか決定的な場面には至らず。
21分には秋葉の縦パスを受けた小室が前を向いて、エリア右にパスを通すと、田中幹大がゴール左をとらえたシュートを打ちますが、富川FCのGKキム・イウォンが横っ飛びで弾き出す好セーブを見せ、ゴールとはならず。
24分には富川FCもボールをカットしたチョ・ホクンが左サイドからエリア前に持ち込んでシュート。しかし、宮地もまたしっかりボールを抑え、こちらもゴールにはならず。
フロンターレは25分、入江に代わり13山田新己が右MFに。直後には小室のスルーパスにエリア右に田中幹大が抜け出すも、シュートはサイドネットへ。田中慶汰のカバーリングなどで、富川FCの攻勢を防いで、攻撃へつなげていくフロンターレ。28分には小室のパスから右サイドの高い位置で高畠が折り返すも、富川FCのブロックに遭い、右コーナーキックに。
29分秋葉が右足で入れたボールを遠いサイドで高井が競り、こぼれ球を浅岡が蹴り込むと、ゴールネットがついに揺れ、1-0。先制点はフロンターレへ。
しかし、直後には富川FC、右サイドから攻勢に出ると、エリア右からの折り返しをエリア正面でキム・ギュミンがシュート。ボールはゴールの中へ。1-1に。
五十嵐や山田も中央でボールを受けに下がり、秋葉や浅岡が高い位置へ動き出すなど、揺さぶりにいくフロンターレ。富川FCもGKキム・イウォンが正確にフリーになっている選手にパスを通すなど、技術の高さをうかがわせる場面をつくっていきます。
38分にはエリア右にソ・ジェウォンが抜け出すもシュートは田鎖がブロック。右コーナーキック、リ・ウンジェが左足で入れたボールはニアをとらえますが、宮地がセーブ。フロンターレも39分には、小室のパスをエリア右で山田が受け、エリア前に展開すると、秋葉がミドルシュートを打つも、GKキム・イウォンが反応し、最後はクリア。
ともに次の1点には届かず、1-1でハーフタイムとなります。
後半、フロンターレはGK宮地、DFは右から高畠、高井、田鎖、浅岡、ボランチは田中慶汰、小室、右MF山田、左MF秋葉、FW五十嵐、田中幹大と、メンバーはそのままに、位置を入れ換えてのスタートに。
後方で田鎖や高井や田中慶汰、小室がボールを回し、前線の五十嵐を狙って田鎖がフィードを入れるなど、長短のボールを交えて、攻撃を試みていきます。
3分には山田がやや中央に下り、エリア前でボールを受けた秋葉がスルーパスを出すと、エリア右に抜け出したのは高畠。シュートを放つとこれが決まり、2-1。フロンターレが再びリードを奪います。
田中慶汰に加えて、時折浅岡も中へ絞り、セカンドボールをものにしていくフロンターレ。ボールを失っても高井がすぐさま奪い返すなど、流れは渡さず。
7分には富川FCもリ・ウンジェがエリア外右にパスを通すと、パク・ジョンが右クロスを上げますが、高井や田鎖がエリア内のキム・デヒュンにしっかり対応。シュートは打たせず。
フロンターレは田鎖の縦パスを起点に、五十嵐、田中慶汰を経由して小室のパスに高い位置へ秋葉が上がったり、スローインからエリア右に山田が入り込むなど、さらにゴールに迫っていくと、9分には左サイドから秋葉がエリア前に仕掛け、エリア外の右に展開。高畠がスルーパスを出すと、エリア右に抜け出した田中幹大のシュートが決まり、3-1。好連係で突き放します。
富川FCはここからサイドをうまく使い、パク・ジョンの右クロス、ソ・ジェウォンのボールカットからエリア右にヒュン・ジェが抜け出すなど、攻勢を強めていきますが、宮地がしっかりボールをキャッチしたり、浅岡がブロックし、シュートにはつなげさせず。
12分には右コーナーキック、リ・ウンジェが左足で入れたボールは直接ゴールをとらえそうになりますが、クロスバーを叩き、決まらず。
フロンターレもマイボールにすると、浅岡や高畠が高い位置取りに。田鎖が田中幹大を狙い、フィードを入れたり、秋葉の浮き球を田中幹大がおさめ、受けた五十嵐がエリア右へ動き出す田中幹大を狙ってパスを出すなど、次の1点を狙いにいきます。
14分には、フロンターレは浅岡に代わり4佐々木輝大、高井に代わり5安江海ラウル、田中幹大に代わり15南暖。
リ・ウンジェのフリーキックやパク・ジョンの右クロス、中盤の選手もよく縦パスを入れ、ゴールに迫る富川FCに対して、田鎖や安江、田中慶汰らがうまく対処ししのいでいくフロンターレ。17分には秋葉がボールを奪い、エリア前にパスを出すと、南が左サイドの高い位置へ流れ、リターンを受けた佐々木がエリア外左からシュートを打つも左に。
フロンターレはさらに高畠のパスを中央で五十嵐が受け、右サイドの山田へつなげたり、右サイドに五十嵐が流れ、リターンを受けた秋葉がエリア前の南を狙い、パスを入れるなどしていきます。
やや湿気の感じられる気候を配慮してか、21分に取られた給水タイム明け、フロンターレは小室に代わり14山本蒼己、山田に代わり18レオニ楓真、秋葉に代わり22石原央脩。
一方の富川FCもキム・リョウォンに代わり13キム・ミンソク。前線のキム・デヒュンがCBに入り、ヒュン・ジェが前線、キム・ミンソクが右に入ります。
28分、次の1点を奪ったのは富川FC、リ・ウンジェが左へ展開し、エリア外左から折り返すと、エリア正面でキム・ヒョンスが放ったシュートが決まり、3-2に。
さらに30分にはエリア前でのパスをカットしたキム・ギュミンに対して、宮地が前へ出て阻みにいこうとしたものの、かわされ、ゴールに流し込み、3-3。試合は振り出しに。
追い付かれたフロンターレは34分には田鎖のフィードを南が競り、エリア外左で拾った五十嵐がエリア前に仕掛けていくもシュートはブロック。
直後には、エリア外右に仕掛けていくキム・ミンソクに対して
佐々木がファール。この日2回目の警告を受け、フロンターレは10人となってしまいます。
このプレーで得たフリーキック、エリア外右からリ・ウンジェがファーを狙って入れたボールは宮地がおさめ、しのいでいきます。
10人となったフロンターレは、最終ラインは右から高畠、安江、田鎖、山本、ボランチは田中慶汰、石原、右にレオニ、左に五十嵐、前線には南。
39分には左サイドを突破したヒュン・ジェが折り返し、得たら正面でキム・ミンソクがシュート。枠をとらえますが、宮地が足で止める好セーブ。
3分が提示されたロスタイム、フロンターレも高い位置でレオニがボールを奪い、縦へ仕掛けるなど、勝ち越し点を狙いに。42分にはスローインを受けた南がエリア右へ。折り返しにゴール正面で五十嵐がシュートを打ちますが、富川FCはゴールのライン手前でこれを防ぐ粘り強い守備で対抗。ゴールとはならず。
なおもフロンターレは五十嵐のボールカットからエリア前に抜け出す南にパスを遠そうとしていくも、富川FCの守備に遭い、ボールはカット。富川FCもヒュン・ジェが前線でボールをおさめ、左に展開しようとするもフロンターレは高畠がよく戻り、これをカバー。
試合はタイムアップ。3-3。引き分けとなりました。
前半1-1 後半2-2 計3-3
得点:浅岡飛夢、高畠捷、田中幹大(フロンターレ) キム・ギュミン2、キム・ヒョンス(富川FC)
フロンターレの先発:16宮地健輔、2高畠捷、23高井幸大、3田鎖勇作、28浅岡飛夢、6田中慶汰、8秋葉拡人、18入江流星、11五十嵐太陽、10小室愛樹、9田中幹大
交代:入江→13山田新己 浅岡→4佐々木輝大 高井→5安江海ラウル 田中幹大→15南暖 小室→14山本蒼己 山田→17レオニ楓真 秋葉→22石原央脩
富川FCの先発:1キム・イウォン、14パク・ジョン、4キム・リョウォン、9ジョン・ミンチョル、12チョ・ホクン、7リ・ウンジェ、8キム・ギュミン、10キム・ヒョンス(c)、11ヒュン・ジェ、3ソ・ジェウォン、6キム・デヒュン
交代:キム・リョウォン→13キム・ミンソク
突き放されながらも、追いついた富川FCの戦いぶりも、一人少なくなっても好機をつくり、諦めることなく、勝ち越し点を狙いにいったフロンターレの選手たちのプレーも心に残る試合になりました。フロンターレとしては、8月26日に再開される関東ユース(U-15)サッカーリーグに向けて、いい実戦の場にもなったと思います。
また、海を隔てて友好関係にある川崎市と富川市の親善を、両都市のサッカーチームが担うということも素晴らしいことと感じさせられました。いつの日か、大人になった両チームの選手たちがまた等々力などで対戦する機会が巡ってくることを願っています。
(文中敬称略)
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