川崎フロンターレがJ1リーグ第31節で柏レイソルを3-0で下し、2位サンフレッチェ広島との勝ち点差を7とした翌11月4日は、つくばエクスプレスみどりの駅から徒歩5分ほどの鹿島アントラーズつくばアカデミーセンターへ。
冬のU-15年代の日本一を決める高円宮杯全日本(U-15)サッカー選手権大会の予選、高円宮杯全日本(U-15)サッカー大会関東大会が3日に始まり、この日は準々決勝。Uスポーツクラブとの1回戦を、五十嵐太陽が2ゴール、石原央脩、田鎖勇作が1点ずつを決め、4-1で勝利した川崎フロンターレU-15は、鹿島アントラーズつくばとの準々決勝に臨みました。
高円宮杯全日本大会では、関東地区には7つの出場枠が与えられており、そのうち4つの枠は関東ユース(U-15)サッカーリーグ1部の1位から4位までのチームが獲得。残り3つの枠を争うのが関東大会で、1部リーグの5位以下の8チーム、フロンターレを含む2部リーグの12チーム、都県予選を勝ち上がった28チームの計48チームが出場。3つのブロックに分かれ、16チームが競うトーナメントの勝者3チームが全国大会に出ることになります。
【川崎フロンターレU-15 高円宮杯全日本(U-15)サッカー大会関東大会Bブロック準々決勝 vs 鹿島アントラーズつくばジュニアユース】
11月4日(日)午後2時キックオフ 鹿島アントラーズつくばアカデミーセンター くもり一時雨 40分ハーフ
鹿島アントラーズノルテジュニアユースがSC相模原ジュニアユースを1-0で下したのに続いての試合。
フロンターレの先発は、GK21青山海、DFは右から2高畠捷、23高井幸大、3田鎖勇作、25松長根悠仁、ボランチはキャプテンの10小室愛樹、8秋葉拡人、右MF22石原央脩、左MF18入江流星、FW11五十嵐太陽、9田中幹大。
雲か広がり、時折ぽつりぽつりと小さな雨粒が落ちる空模様のつくばアカデミーセンター。ピッチの脇には多くの両チームの家族らが集まり、メンバー外の鹿島アントラーズつくばの選手たちがにぎやかにチャントを口ずさんで声援を送り、盛り上げに。フロンターレの選手たちは「最初の5分しっかり入ろう!」「先に点取るぞ!」。声を掛け合い、試合は始まりました。
立ち上がりはアントラーズつくば。ラインを高め、中央から左に展開し、攻勢に。しかし、フロンターレは石原が厳しい寄せを見せるなど、こちらも人をかけて守りにいきます。
2分には右サイドの高い位置に右SBの2が上がり、エリアに向かって仕掛けていきますが、田鎖がブロック。右コーナーキックとなり、7が左足でボールを入れると、遠いサイドで4が拾うもここでもフロンターレは粘り強く守りに。最後は石原がクリアし、しのいでいきます。
フロンターレは前から田中幹大や五十嵐、入江らがプレスをかけ、ボールをものにしようとしていきますが、なおもアントラーズつくばが攻勢に。4分には左MFの10が斜めにエリア前に仕掛けるも高畠がすばやく戻り、シュートは打たせず。直後にはエリア正面でシュートを打つも、ここでもフロンターレは体を張った守りを見せ、枠へは飛ばさせず。
6分にはエリア右へ9が抜け出すも田鎖が寄せ、ゴールへは向かわせず。さらに左サイドの高い位置へ10が仕掛けていきますが、高畠に加え、石原も戻り、フロンターレはよく守っていきます。
8分、なおもゴールに迫るアントラーズに対して、フロンターレは秋葉がクリア。これを田中幹大がエリア外正面で競ると、ボールをおさめた入江が左サイドからエリア前に斜めに仕掛け、右に展開。五十嵐がシュートを打つと、これはアントラーズつくばが防ぐも、こぼれ球を拾った小室が放ったシュートがゴールネットを揺らし、1-0。守備から攻撃へ、切り替えの良さが実った見事なゴールでフロンターレが先制点を得ます。
アントラーズつくばは、直後には2が右サイドの高い位置に上がるも、松長根が厳しい寄せを見せ、さらに左サイドから右の7を狙った横パスを、入江がカットするなど、出足の良い守備を見せ、攻撃の芽を摘みに。アントラーズつくばのフリーキックに対しても、田鎖が競ったボールを小室が拾い、入江にパスを入れ、攻撃へつなげていきます。
フロンターレは、14分には秋葉から右へ展開。高畠が高い位置へ上がり、リターンを受けた五十嵐が切り返してシュートを打つも、アントラーズつくばはブロック。しかし、ボールを再びものにして、松長根が縦へパスを入れ、そこからエリア前に上がるなど厚みのある攻めを見せ、アントラーズつくばの陣内でプレーする時間をつくっていきます。
アントラーズつくばは、左サイドでのスローインから12が高い位置へ仕掛けていくも小室が戻り、エリア内へは近づかせず。直後には、青山が送ったボールを田中幹大が競り、左に展開。入江が五十嵐との連係からエリア内に仕掛けていくも、GK1が阻み、シュートは打てず。
アントラーズつくばは、そこから10にボールを入れていくも、フロンターレは石原が守備に戻り、前を向かせず。左サイドの高い位置へ展開し、ゴールへ向かおうとする12に対しても、高畠と高井がうまく連係。アントラーズつくばのコーナーキックをしのいだところから、小室が右サイドを駆け上がる石原に展開し、カウンターに持ち込むなど、攻めの姿勢を続けていきます。
23分には、小室から左サイドへパスを入れると、入江がエリア前に仕掛け、右に。五十嵐がシュートを打つも右に。さらに五十嵐から左に展開し、開いた田中幹大がエリア前に動き出し、入江も中央から縦へ仕掛けていくなど、ポジションを入れ換えながら追加点を狙いに。アントラーズつくばの10を狙ったスローインに対しても、松長根がボールをカットし、そこから縦につけていきます。
27分には、入江が中央でボールをカット、エリア左にパスが出ると田中幹大が切り返して、シュート。枠をとらえますが、GK1が好守を見せ、ゴールとはならず、右コーナーキックに。こぼれ球を拾い、アントラーズつくばの陣内でのプレーを続け、入江が左サイドからエリア前に仕掛け、最後はエリア右から秋葉がシュートを打つもブロック。
さらに畳み掛けていくフロンターレ。小室が中央から縦へ仕掛け、田中幹大がエリア前でボールをキープ。リターンを受けた五十嵐のシュートがアントラーズつくばの選手に当たり、軌道を変えたボールはゴールの左へ入りそうになりますが、ここでもGK1がすばらしい反応を見せ、ゴールとはならず。
アントラーズつくばは前線の9が中央や右サイドに下りて、打開を図りに。ボランチの5や15がボールを持つ場面が増え、パス交換からエリア前に5が顔を出すなどしていきますが、フロンターレは田中幹大が守備に戻り、エリア前では高井がクリアするなどして、しのいでいきます。
36分には、小室のスルーパスにエリア右に抜け出した五十嵐がシュート。しかし、ワンタッチあり、決まらず。一方のアントラーズつくばは38分、左サイドから攻めに出ると左クロスに9が頭で合わせますが、青山がセーブ。得点は許さず。
しかし、アントラーズつくばは、さらに15が右サイドの高い位置へ仕掛ける2にパスを入れるなど、ゴールへ迫っていくと39分、左サイドの高い位置からの折り返しを、15がエリア前でシュート。ゴール左に決まり、1-1。アントラーズつくばが追い付きます。
前半は1-1でタイムアップ。同点でハーフタイムとなります。
後半、立ち上がりには10が右に流れ、2の攻め上がりを促したところからエリア前に人を集め、攻勢に出てくるアントラーズつくば。しかし、フロンターレもエリア前に多くの選手が戻りコンパクトに。粘り強くしのいでいきます。
すると再び攻めに出られるようになったフロンターレは、3分左サイドの高い位置で田中幹大が仕掛け、エリア左で五十嵐がニアを狙いシュート。GK1が阻み、左コーナーキックに。秋葉が右足でボールを入れるとニアで合わせたのは田鎖勇作。ボールはゴールの中へ。2-1。
得点が決まり、田鎖を先頭にピッチの横でアップをしながら戦況を見守っていた控えの選手たちのもとへ駆け出す選手たち。次々に選手たちが折り重なり、全員で勝ち越しのゴールの喜びを分かち合います。
フロンターレは浮き球を入れ、攻撃の糸口を探るアントラーズつくばに対し、エリア内にしぼって高畠がカバーしセカンドボールも石原が拾い、そこから田中幹大へつなげ、さらに攻めに出ていこうとしていきます。
8分にはアントラーズつくば、フリーキックのこぼれ球をエリア右で拾った15がミドルシュートを打つも枠はとらえられず。
さらに中盤の15の縦への仕掛けや左SBの17が高い位置に上がり、攻めに出てくるアントラーズつくば。しかし、フロンターレは五十嵐が自陣に戻り、高井もうまく寄せ、シュートには持ち込ませず。
12分フロンターレは石原に代わり13山田新己。直後には山田が中央でボールをものにして、秋葉から右へ。右サイドの高畠のスルーパスにエリア右に抜け出した五十嵐がニアを狙ってシュートを打ちますが、アントラーズつくばはブロック。
コーナーキックとなり、センターライン付近に残り、こぼれたボールを拾った小室や入江に対して、アントラーズつくばは高い位置からのプレスでボールを奪いにいきますが、判断よく青山へボールを戻して、流れは渡さず。
なおも田中幹大が浮き球のパスに抜け出そうとしたり、左サイドに流れた田中幹大から入江がボールを受け、高い位置へ仕掛けるなどしていくフロンターレ。中央でも小室や入江が連動して厳しい寄せからボールを奪い、五十嵐へつなげ、守備から攻撃へ転じていきます。
18分には小室から五十嵐へつなげ、エリア右へスルーパス。山田が抜け出し、ニアを狙い、シュート。アントラーズつくばの選手に阻まれましたが、ゴールに迫りに。
コーナーキックをしのいだところからカウンターに出ようとするアントラーズつくばに対しても、切り替えよく戻り、再びボールをものにして、入江が左サイドを縦へ仕掛け、攻めに出ていきます。
22分には、右サイドでのフリーキック、7が左足でボールを入れると青山がパンチング。こぼれ球がエリア内に入りますが、田鎖がカバーしシュートは打たせず。さらにロングスローからゴールを狙うアントラーズつくばでしたが、エリア内でファールがあり、シュートにはつなげることはできず。25分には交代でボランチに入った8からエリア右に。10がシュートを打つも上に浮き、枠はとらえられず。
アントラーズつくばがラインを高め、前に人をかけて攻めに出る場面が続きますが、フロンターレは高畠や田鎖、高井がそれぞれ粘り強く寄せ、カバーにいくのに加え、五十嵐らにつなげ、攻めの姿勢も見せながら対峙していきます。
28分には9からエリア左に。18のシュートのこぼれを拾い、エリア右でシュート。ニアをとらえるも、青山がすばらしい反応で阻みゴールは許さず。さらにショートコーナーからゴールを狙いにくるアントラーズつくば。しかし、クロスは青山がしっかりキャッチ。30分には最終ラインの6が持ち上がり、エリア内に浮き球を入れると9が迫るも、ここでもボールは青山がキャッチ。
直後にはフロンターレ、五十嵐からパスを受けた田中幹大がエリア右へ。ニアをとらえたシュートを打ちますがGK1がセーブ。32分には高井のパスをエリア外左で田中幹大がおさめ、エリア前に仕掛けるとエリア外から秋葉がシュートを打つも右へ。
さらに何度も出足の良い守備を見せていた入江が、終盤に入ってもボールをカットし縦へ仕掛け、小室や田中幹大がかかわってゴール前での場面をつくっていきます。
アントラーズつくばは、最終ラインのキャプテンの4を、マイボール時には前線に上げ、高さを加えて同点のゴールを狙いに。34分には交代で左MFに入った18がエリア前に運んで右へ展開。エリア右にアントラーズつくばが迫るも、松長根が倒れ込みながらも足を粘り強く出し、しのいでいきます。
37分にはフロンターレ陣内でのフリーキック、田鎖がエリア前にボールを入れると、エリア外正面でこぼれ球を拾った田中幹大がループシュート。しかし、クロスバーを叩き惜しくも決まらず。さらに入江がボールを左サイドで奪い、一気にエリア前に。シュートを打つもGK1が好守。こぼれ球に摘めた田中幹大のシュートは左のサイドネットへ。
フロンターレはさらに田中幹大がボールをおさめ、そこから左サイドを駆け上がる秋葉へつなげたり、五十嵐のパスを受けた田中幹大がエリア正面でシュートを打ったりするなど、追加点を狙っていきます。
40分には入江に代わり15南暖が入り左MFへ。
ロスタイムに入り、41分にはアントラーズつくば、左サイドを仕掛けた18がエリア左へ。折り返しからエリア正面でシュートを打つも青山がセーブ。危ない場面でしたが、落ち着いた守りを見せ、しのいでいきます。
フロンターレはそこから田鎖が縦パスを入れ、左サイドの高い位置でのプレーに。松長根が高い位置でボールをものにし、南もアントラーズの選手の寄せに遭いながらもうまくボールをキープし、秋葉が右サイドの高い位置へ山田を走らせたりするなど、相手陣内でのプレーを続けていき、試合はついにタイムアップ。2-1。
選手それぞれのコンディションのよさをうかがわせる見事な戦いぶりを見せたフロンターレ。準決勝への進出を果たしました。
前半1-1 後半1-0 計2-1
得点:小室愛樹、田鎖勇作
フロンターレの先発:21青山海、2高畠捷、23高井幸大、3田鎖勇作、25松長根悠仁、10小室愛樹(c)、8秋葉拡人、22石原央脩、18入江流星、11五十嵐太陽、9田中幹大
交代:石原→13山田新己 入江→15南暖
控え:16宮地健輔 4佐々木輝大 5安江海ラウル 17レオニ楓真 28浅岡飛夢
準決勝は11月10日午後1時半、栃木SC宇都宮フィールドにて。対戦相手はGRANDE FC。勝利すれば、翌11日午前11時、栃木SC宇都宮フィールドで、鹿島アントラーズノルテジュニアユースか、横浜F・マリノス追浜と全国大会の出場権を懸けて対戦することになります。
(文中敬称略)
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