フロンターレU18 – アビスパ福岡U18 / 日本クラブユース選手権準決勝(監督・選手インタビュー)


7月29日、日本クラブユース選手権準決勝、アビスパ福岡U-18に1-1、PK9-8という末に勝利。7月31日に同じく味の素フィールド西が丘にて開催される、決勝進出を決めたフロンターレU-18。

試合後に長橋康弘監督、松澤成音、土屋櫂大、柴田翔太郎に話を聞きました。

 

● 長橋康弘監督

◯ 試合の総括をお願いします。

今日はとにかく、群馬県で苦しい思いをして勝ち抜いてきた選手たちなので、本当に素晴らしい環境の中で、川崎フロンターレらしいサッカーを展開しようと、思い切りやってこいということで、選手を送り出しました。
最後までしっかり戦って、なんとか決勝戦に進むことができたので、選手は本当に、最後まで頑張ってくれたなと思っています。

◯ 先制される厳しい展開でした。

ああいう展開になると、どうしても悪い記憶が蘇るというか。
やっぱり、ボールを大事にするチームに対して、相手の狙いっていうのはカウンターだったり、長いクリアミスだったりで生まれるようなところが多いので、そういったところでこう失点しまって。ただ、この子たちの素晴らしいところは、そこで下を向くんではなくて、さらにギアを上げて、
最後しっかり追いつけたっていうところで言うと、成長した姿を見られたなと思ってます。

◯ 何分ぐらいから土屋選手を上げる指示をしたんですか?

時間がなくて追いつきたいときに前に入れることは前にあったんです。
ただ、ゲーム展開で自分たちのサッカーでゴール前まで迫れるシーンもあったので、いつもよりかは我慢してました。で、本人はまた例のやつで、前に行くんでしょっていう感じではあったんですけど、ちょっとそこは我慢っていうところで。
ただ、もういよいよ時間ないなんていうところがきたので、ボランチの楠田を後ろに下げて行ってこいと。なんとか決めてくれてよかったですね。

◯ 柴田選手との連携で決まりました。期待の2人ですけど、どんな気持ちでしたか?

すごい嬉しかったですね。あの2人すごい仲いいんですよ。多分ああいう形になったときにどのへんに来そうだなっていうところが、入ってくる前に土屋はわかってたと思うんですね。
で、さらに上げる時にも柴田は多分このタイミングだったら土屋はこのへんに入ってくるんじゃないかというところは、多分彼らはわかってたと思います。
素晴らしいプレーでした。

◯ PK戦になりましたけど、蹴る順番ってのはどう決められたんですか?

浦上GKコーチにお任せしました。日頃からすごく選手を観察してくれて、迷いなく決めてくれたと思います。

◯ 昨日のPK練習では、外す選手もいたみたいですけど、そこは怖くはなかったですか?

怖かったです(笑) うちのチームは本当、とにかくこう、ゲームの内容で圧倒するっていうところ、トップに繋がるような選手を育てていくというところでやってますので、ああいう場面になると、PK練習をもっとやっておけばよかったなと、ちょっとよぎったんですが、自信を持って蹴ってくれたっていうのと、ゴールの裏からサポーターが力を貸してくれました。

◯ コイントスに勝ったんですかね。2回勝った?

ちょっと聞いてないんですけど。よかったです。

◯ やっぱりサポーターの目の前でできたっていうのは大きかったですか?

めちゃくちゃ大きかったと思います。ほぼほぼそこで、なんか行けるんじゃないかっていう気持ちになれました。

◯ 止めてくれた瞬間っていうのはどんな思いでしたか?

とにかく練習からすごい頑張る子で。何かいいことが起こってくれと、祈るような気持ちで見てたんですけど、最後よく止めてくれたと思います。日頃のトレーニングの成果だと。

◯ イレギュラーバウンドして、最後まで追いかけてましたけど、そういうとこも抜かりないなと。

危なかったですね。どこかの試合で見たことがあるので、大丈夫かなと思ったんですけど、しっかり反応してくれてましたね。

◯ クラブの歴史を塗り替えました。そこについてはいかがですか?

選手たちはまずそこ目標というか、これまでこう先輩たちが築き上げた記録を抜くと。ただ、チームで立ち上げから決めていたのは、優勝をするという目標を立てていたので、あと1試合なんとか頑張りたいと思います。

◯ 先制されてから、ピッチの選手たちに強調したのはどういうことですか?

時間が進むにつれて、どうしても攻め急ぐ。攻め急ぐと長いボールがどんどん出てくる。
ただ、そこで練習を積んできたチームではないので、そこはちょっとやらないでほしいなというような気持ちで見てたんですけど、選手が自信持って自分たちのサッカーをやり通してくれた。結果、ああいう点が生まれたのかなと思います。

◯ 相手が後半は明らかにプレッシャーの形も変えて、かなりこうアグレッシブに来たと思うんですけど、多少やりづらさが出た感じでしたか?

選手たちはものすごい弱気になってました。前線から来る守備、ギアを上げて前から来るっていう。そこで、繋ぐっていうより長いボールが増えちゃったのかなというふうに思います。ただ、選手たちにもトップ同様、相手を見ながらサッカーしようということでやってますので、長いボールが出たからといって対応できないチームにはなりたくない。長いボールが出るんだったら、そこに対してこうセカンドの目を合わせてやっていこうと。
敵陣でサッカーを起こしていこうっていう話はしてるんですけど、なかなかそういう展開には持ってこれませんでした。

◯ ベスト4っていうのがひとつ、今まで鬼門なってたと思うんですけど、やっぱり今日もなかなか簡単には勝たせてくれないなってイメージですか?

私もその当時コーチをしておりましたので、またかっていう気持ちはあったんですけど、ただ、なんか、今年の選手たちはなんかやってくれるっていうところが、すごくこう信じれる部分があってですね。群馬で起きたことも何かちょっとまだ信じられないとこありますし、彼らはすごい力持ってるなと思ってます。

◯ 後半、選手が弱気になってたという話もありましたけど、選手交代でうまく流れ変えたというか。例えば平塚選手がうまく間で受けて前を向いたりとか、香取選手が仕掛けたりとか、交代した選手が積極的にやったところで、ちょっと流れも変わったのかなって感じました。

はい、間違いないと思います。群馬にいたときもそうなんですけど、彼らが全国大会でものすごく成長してます。途中からとにかく自分のやれることを思いっきりプレーしてくれて、その結果、チームのギアを1つ上げるようなプレーを
自信を持ってやってくれているので、私としては本当にありがたい。選択肢が増えたというか。成長してる姿を見られるのでね。引き続きもっとやってほしいなと思ってます。

◯ なかなか試合ができなかったりとか、こういう勝ち方をしたりとか、かなり起伏のある今大会だと思うんですけど。この短い期間で、選手たちの成長を感じているところありますか?

ものすごく成長してると思います。やっぱり今日みたいなゲームでも、苦しい時にも自分たちだったら勝てるっていう自信がどこかこうプレーで見られますし。日程の変更だったり、キックオフの時間のずれだったり、もしかすると雷で中断してしまうのかなとか、選手たちもいろんなことを絶対考えるはずなんですよね。そういった中で、この短期間で選手たちがすごいタフになったなっていうふうに思います。

◯ グループステージも今日もサポーターの方がたくさん来てくれて、決勝はもっと来てくれるんじゃないかと思います。

ありがたい限りですね、本当、すごいんですよ。群馬でもまさかいるとは思わなかったんで、本当びっくりして。なんかね、サポーターの方の力で勝ててるところってすごく大きくて。私たちはとにかくプレイの内容と結果で応えていきたいなと思ってます。で、今日もPK戦、サポーターの力を借りて
勝たせていただくことができました。あと1試合、なんとか力を借りたいなと思ってます。応援をよろしくお願いいたします。

● 松澤選手

◯ PKストップのシーンを詳し目に振り返ってください。

PKですね。8本ぐらいまで行っちゃって。早く止めてあげないとフィールド側、蹴る側もきついと思って。止めなきゃ止めなきゃっていう部分と、冷静さを持ってしっかりボールを最後まで見ることができたのが止められた一番の要因かなと思います。

◯ PK戦もどんどん長くなってく中で、集中力やメンタルを保つために1番考たのはどういったことでしたか?

敵と戦うっていうより、しっかり自分自身と戦って、止めるってことだけに集中してやったことです。

◯ 止めた瞬間って最初率直にどういうこと思いましたか?

止めたボールに回転が掛かっていたので、それも入らないように頑張ってケアしました。結局入らなかった。よかったです。

◯ 入らないように行ったっていうイメージ。冷静でしたね。

YouTubeとかで、止めたあとに入っちゃったりしてる動画をよく見てたので、そういうのもしっかり参考にしました。

◯ 今までの公式戦でPK戦は経験したことはありましたか?

1年生のときの国体とかしかなくて、そんなに練習もしていなかったです。

◯ PK戦になるって決まったとき、自信はあったんでしょうか。

止める自信はあったけど、フィールド(キッカー)が外さないから、自分自身も自信を持っていました。

◯ PK戦に入る前、みんなでの声がけなどありましたか?

思いっきりやってこいっていうことと、止めてこいと声を掛けられました。

◯ 浦上GKコーチから、事前に情報などは?

ただヒーローになってこい、としか言われてないです。

◯ ヒーローになっちゃったなって感じですね。

そうです。

◯ フロンターレの選手が蹴るときに、逆を向いていました。

小学校からキーパーやってて、小学校からずっとそれでやってきたので、そのまま高校でもやっています。

◯ 見ていられないってことじゃなくて、ゲン担ぎ? 結構各選手が蹴る前に、多分聞こえてないんだろうけど、独り言みたいなことをつぶやいてました。あれは各選手向けに?

いや、そんなことはないです。独り言です、ほんとに。

◯ もちろんあと1勝が大事だと思うんですけど、クラブとして初めて決勝に行ったってところはどうですか?

単純に嬉しいです。でも、まだ何も成し遂げていないので。勝って優勝したいです。

◯ 先制されてしまったけど、どういうことを思いましたか?

時間はまだ15分くらいあったので、決めてくれるのを信じて、追加点を許さないことと信じること。その気持ちだけでした。

◯ ディフェンスライン2人で結果を出してくれましたね。

さすが。やっぱ土屋さんなんで。なんでもできる。頼りにしています。

 

● 土屋選手

◯ 今日の試合、感想を聞かせてください。

今までみんなでやってきたことが今日の勝利に繋がったので、素直に嬉しいです。

◯ 後半入って先制されました。土屋選手でチームの輪になって声をかけてましたが、どのような声がけでしたか?

グループステージの鳥栖戦、最後15分で4点決めてひっくり返して、そのことがみんなの自信になってたといいますか、まだまだ全然やれるっていう声がみんなから飛び交ってたんで、別に僕からはそんな何も言うことなく、みんながまだ笑顔でやれてたので、みんなが自信持ってやれてたかなと思います。

◯ 終盤、土屋選手が同点ゴールを決めました。あのシーンを振り返ってもらっていいですか。

柴田がサイドでボールを持ったときは必ずいいクロスが来るって、練習からでも普段の生活からでもわかってたんで、もう柴田を信じて中に入ってきたら、ほんとにドンピシャでボールをくれたので、ほんとに柴田のゴールだと思いますし、たまたまあそこにいたのが自分であって、ここまでみんなで来れていたので、みんなのゴールかなって思います。

◯ この2人もこのホットラインっていうのは結構いろんな試合でありますよね。代表でも一緒にやってました。相性みたいなところはどう思ってますか?

もう抜群です。彼がボール持ったときには絶対もうここにボールが来るっていうのが自分の中でわかるので、もう柴田を信じて中にいただけなので。柴田はボール持ったら必ずいいボールが来るので、ほんと彼だけを信じていました。

◯ そんな中で、PK戦で勝利を収めることができました。ご自身2本目を蹴ったあとはどういった気持ちだったんでしょう。

PK戦自体、始まる前もそうですけど、始まってから勝つ自信しかなかったので、(松澤)成音が止めることを信じて、みんなには楽しんで蹴ってこいって伝えました。みんな楽しんでPKも蹴れてたので、それが勝利という結果につながって良かったです。

◯ 大事な決勝が待っていますが、どんなパフォーマンスをしたいですか。

そうですね。ここまでみんなで来れましたけど、まだ何も成し遂げてられないので、最後に全員でいいパフォーマンスして、優勝で終われるように、今日の夜から準備して、明後日のゲームに向けてやっていきたいなと思います。

◯ あの時間帯で同点ゴール決めましたね。

柴田がボールを持ったときに、絶対ここにボールが来るなって思ってたので、やっぱり柴田のボールが良かったとしか言えないです。自分がボール触ったときはほんとに無意識でした。

◯ 簡単なヘディングじゃなかったと思うんですけど、入ってく流れと自分の中で見えてた景色を教えてもらえますか。

柴田が左足に切り替えたときは、うもう絶対ニアのあそこにボールが飛び込んでくるって思ってたんで、すらしてファーにゴール決めるイメージがありました。それは準々決勝の大宮戦もそうですし、そういったイメージで自分の中で日頃から持っていたので、それが今日こういう形で結果に繋がってよかったかなと思います。

◯ 珍しく相当派手なガッツポーズをしてましたね(笑)

もうめちゃくちゃ嬉しかったです。

◯ センターバックとか高い選手がね、最後リードされてる時に前線に残るってのはよくあるパターンだけど、成功することって少ないですよね。土屋選手は、そういう成功体験だったり、自信だったりっていうのはありましたか?

ありました。自分自身もこうやって終盤駆け上がってゴール決めるってことは、今までサッカーやってきたかなかでなかったんですけど、なんか今日は、まだ追いつけるなっていう感覚があったので、自身はありました。それがゴールっていう形に繋がったのかなって思います。

◯ そういう感覚が今日あったのは、なんか理由があるんですか?

ないです。自分は鈍感なので、気持ちで押し込みました。

◯ PK戦、なかなか決着がつかない中で、センターサークルに並んでる中ではどんな声を掛けていましたか?

2年生もいた中で、自分がもし2年生のときに、3年生になんて声をかけられたら心を落ち着かせてられるかなって考えました。外していいから楽しんでこいって言われたら自分は嬉しいなって思ったので、2年生が多く蹴ってたので、まず楽しんでこいと、外してもいいんで楽しんで蹴ってこいってことは伝えられました。

◯ 9人全員が決めたことに関しては?

昨日少しPKの練習をしたんですけど、結構な人数が外していて。PK戦の前に決着をつけようってことはみんなで話してたんですけど。でもいざPKってなってみると、追いついたっていうのもありましたし、ベンチも含めて自信に満ち溢れていたので、それがああいう結果につながったのかなって思います。

◯ 群馬ラウンドは、なかなかどのチームも試合するのが難しくて、ほとんど試合ができないような状況でした。そんなラウンドから抜けてきたチームとして、やっぱり負けられないな、みたいな気持ちはありましたか?

多少ありました。雷とか大雨もあった中で、やっぱりそのグループステージで戦ってきた相手もそうですし、今日この試合にみんなの気持ちをぶつけようという話はしてたので、それがもう本当、1人1人欠けることなくピッチで、フロンターレらしいサッカーを表現できたっていうのはありました。

◯ 失点のあと円陣になりましたね。

自分がみんなを集めました。プレミアでもそうですけど、失点したあとは1回チーム集めて話し合うっていう形を持っています。失点した後でも円なって、1回落ち着いて話し合って、まだひっくり返せるぞっていう自信が、日々の積み重ねでありました。それが、今日ここでひっくり返して、最後勝ちで負われた結果につながったのかなって思います。

◯ さきほど、何も成し遂げてないと話されましたけど、ひとまずクラブとしてはこの大会で初めての決勝というのはどう考えていますか?

過去に2大会でベスト4で敗れてたっていうのは知ってたんで、それをなんとしても塗り替えようって。新しい歴史を作ろうっていうことは、試合前からみんながみんな力強く思っていたので、それは率直に嬉しいです。けど、まだほんとに、さっきも言いましたけど、何も成し遂げてないんで、優勝して、最後まみんなで笑顔で終わりたいなっていうのが自分の率直な気持ちです。

◯ ユースの先輩の高井幸大選手がパリ五輪に出てますけど、ああいう姿を見て刺激を受けたりしますか?

自分が高1のときに高3に高井選手がいて、そんときからレベルが違うっていうのは思ってたんですけど、そういう先輩が世界で戦ってるのを見るとやっぱり刺激にもなりますし、憧れでもあります。でも、自分がああいう選手を追い越せるようになっていかなきゃいけないとも思ってますし、いつか日本代表で高井選手と一緒にプレーしたいっていう強い思いがあるので、憧れであり、いつかその憧れを追い越せるようにやっていきたいなと思ってます。

◯ とりあえずこっちは銀メダル以上ですね。

いや、まだですね。あと1つ勝って金メダルで終わりたいです。

◯ 最後に、サポーターに向けて一言お願いします。

群馬のときも延期になって、(変更になった)中日に来てくださったサポーターもいますし、今日ベンチに入れなかったメンバーもサポーター含めて来てくださっていたので、そのサポーターたちの前で今日勝てたっていうことは本当に嬉しいです。
最後優勝して、サポーターのみんなと喜びを分かち合えるように、今日から準備してやっていくだけだと思うので、最後優勝して終われたらいいかなと思います。

● 柴田選手

◯ お疲れ様でした。得点シーンのクロスを振り返ってください。

前半から右足でクロスあげていて、右足は自信持ってあげてるので。その中で後半が始まってからだいぶ警戒してきてたなって感じて。それでも何回も縦にはいけたんですけど、最後はもう完全に縦を切ってきたんので、切り返して。左足でも自分は自信を持って(クロスを)あげられるので、ありがとうございますって感じで切り返して。中に(土屋)櫂大がいたんで、決めてくれてよかったなと思います。

◯ 狙い通りでしたか?

そうですね。(土屋)櫂大が前に行ってるのは分かっていたので。でも、(土屋)櫂大にというよりは、とりあえず中に引っかけないようにいいボールをあげるだけでした。

◯ 土屋選手は、柴田選手がそこから(クロスを)上げるならここに来る、みたいなイメージがあったと言っていました。

左足に切り替えた時にゴールに向かっていくボールを、そっちの方がキーパーも嫌だと思うので、そういうボールを左足でも蹴れるので、自信を持って、あのぐらいの時間があったら余裕であげられる、という感じでした。

◯ 入った瞬間どんな思いでしたか?

興奮しました(笑) でも、こういう勝ち方をして何回もしてきて。
いつもだったら諦めてるところがあると思うんですけど、最後まで何かあるんじゃないかっていうふうに思いながらやってましたし、入ったときはまたかみたいな感じで。この大会を象徴するようなゴールだったかなと。

◯ じゃあ、割と苦しい展開でも余裕があったというか、勝てる自信があった?

そうですね。失点したときに、1回センターサークルで集まったんですけど、(土屋)櫂大が、あと17分あるから、俺たちは鳥栖戦15分で4点取ったから、全然下向く必要ないし、笑ってサッカーしようっていう言ってくれたんで、もうそこで気持ちがポジティブになったというか、難しく考えなくゴールに向かっていくだけだと思ってました。

◯ PKは一人目だったけど、緊張しませんでしたか?

浦上GKコーチから言われたんですけど、蹴る前に周りを見てたら、ほかに蹴れそうな人がいなかったんで、俺かなって思いながら行ったんすけど、そしたら俺だったんで、うわぁって思ったんすけど、でも意外と緊張しなかったというか、なんか楽しんでたというか。昨日、(松澤)成音とPK練習してたんで、自信を持って蹴りました。

◯ 土屋選手曰く、昨日のPK練習では結構みんな外していたということでしたが。

僕は5本中5本決めたんですけど。(加治佐)海とか(土屋)櫂大が蹴ってたんですけど、彼らはすごい外してて。本当か… と思ったんすけど、今日は決めてくれたんで、よかったです。

◯ 本番に強い感じなんですかね?

そうですね。自分の性格的にも本番の方が力を発揮できるというか。練習でうまくいかなくても意外と試合で力を発揮できるかと思います。こういう試合だからこそ楽しめたところはあります。

◯ コイントスで勝ったんですよね。

(土屋)櫂大が戻ってきたときに、こっちって言われたんで。サポーターの前に来たんで良かったです。やっぱもう絶対なんか勝てるなって思いながらやってましたし、楽しんでたので。もう外したらしょうがない、帰ろうって感じだったんで、PKになったからには楽しもうって感じでした。(勝って)良かったです。

◯ 土屋選手、今年は頭の怪我で欠場してました。久しぶりに帰ってきて頼れる存在ですか?

そうですね。彼が抜けたときに副キャプテンの自分と(加治佐)海、(林)駿佑でまとめながらやってきたんですけど、プレミアでは彼がいなくて勝てない時期があって。彼がいなかったから負けたっていうふうには言われたくなかったですけど、そういう結果になってしまって。彼が帰ってきて、後ろの厳しさだったり、緩さとかがなくなって、ほんとに頼もしいなと思いますし、自分としては左のセンターと右のサイドバックって関係ですけど、セットプレーでも頼りになりますし、彼の存在ほんとに大きいです。

◯ クラブ史上初という、その歴史を塗り替えたことになりますけど、それについてはどうでしょう。

1戦1戦勝ってきてここまできたっていう印象が強いので、今日ベスト4を決まったときも、決勝に行こう、じゃなくて、まずここを勝とうっていうふうに思ってて、みんなでそういう話をしてたので、1戦1戦戦ってここまで来た感じが強いので、素直に嬉しいです。けど、もうここまで来たからには優勝して帰りたいなと思います。

◯ 決勝に向けての意気込みは。

自分たちはチャレンジャーなんで、受けて立つんじゃなくて、自分たちからチャレンジャー精神をもってやって、勝ち切りたいなと思います。

◯ 連戦で身体が重たそうに見える時間もありましたが、そのあたりは。

意外と前半きつくて、ちょっと重いなと思ってたんですけど、後半は動けたんで。自分が走れなかったらこのチームは下向いてしまうと思うので、苦しくても走ってクロスあげてやろうっていう気持ちでした。

◯ 対面、結構スピードがある選手でした。結構しんどかったんじゃないかなと思いましたが。

相手の22番(アビスパ福岡 武本匠平 選手)、マッチアップした選手はスピードがあって、何回か自分のところで剥がされてしまうシーンがあったので、そこは対応を含めて今後の課題にしていきたいです。
相手のサイドハーフが前に来る分、自分が攻撃にかかったときに、サイドバックと2対1を作れるとも思ってるので、そこまで苦じゃないというか。逆に出てきてくれるなら自分も出てくるタイプなので、前の知久(陽輝)だったり、途中から入った平塚(隼人)とうまく2対1を作りながらやれるっていう感触を持ってました。

◯ 話は戻ってしまうけど、最後にはやっぱり余裕をもってクロスをあげられたと。

はい、そうですね。自分の武器はクロスなので、サポーターの人が、あいつのところにボール入ったらおってなるようなクロスをあげたいなって思ってますし、それでここまで自分は生きてきたと思ってるので、キックで違いを見せたいと思ってます。さっきも言いましたけど、だいぶ警戒してくれた中で切り返したので、ありがとうございますって感じでした。

◯ 去年からフロンタウンの施設が新しくなって、練習後に食事ができたり、食生活が変わったみたいなことを、長橋監督も話していました。暑い時期でもうちの選手は他のチームよりもご飯が食べられると。そういう部分で変わった面もあるんじゃないかって話してたんだけど、この暑い時期で感じるところはありますか?

それはもう間違いなくて、去年できたときから長橋監督が毎日の練習の締めの挨拶があるんですけど、そこでご飯をいっぱい食べるようにって。毎日ほんとにそれでみんなが食べれる量が増えてたと思いますし、この大会期間中も連戦なので、馬鹿にできないぐらいご飯の量で差がついてしまうっていう、そういう経験もしました。ご飯をいっぱい食べて、いっぱい寝て、もうほんとに基礎的なとこですけど、いい睡眠、いい休養を取ったものが、こういう連戦は勝ち上がっていけると思うんで、そこの重要性はチーム全員が感じてると思います。

◯ すごく暑いけど、みんな結構食べられてる感じですか?

群馬からほんとにいい食堂さんでご飯を作ってもらって、ほんとにみんなお腹いっぱいになるぐらい食べて。体重増えすぎたなんて言ってる人もいましたけど、でももう連戦はそれぐらいでいいと思ってて。それじゃないと戦えないと思いますし、そこの重要性、全員がご飯っていうのには意識高く持ってやってると思います。

◯ 食事もあるかもしれないけど、胸筋、すごくなりましたよね(笑)

これはもう完全にフロンタウン生田ですね(笑) 筋トレがすぐできて、器具もいっぱいあって、うちの選手に見てもらったらわかると思うんですけど、みんな意外とがっしりしてて。自分と同じぐらいの身長で加治佐海がいるんですけど、彼もちっちゃいながらに体つきも力強くて、それも絶対に施設ができてから成長したと思ってるんで。あれが当たり前じゃないので、ほんとに感謝しながらやっていきたいなと。

◯ フロンタウン生田ができて、体重とか増えたんですか?

自分はあんま増えてないですけど、どっちかっていうと筋肉に変えていくというか、使えるような筋肉に変えていくっていうのをこの3年間でやってきたんで、多少は体重増えましたけど、みんなみたいに増えてなくて、あまり変動なくやってきました。

◯ 当たり負けしないような強さを身につけたっていう実感はある?

去年ワールドカップを経験して、ああいう選手たちに負けたくないっていう思いを人一倍持ったので、そこから体重を増やすっていうよりも、どういう使い方をするのかであったり、どういう筋肉の活かし方をするのかみたいなのには、フィジカルコーチとたくさん話してやってきたつもりではあります。

◯ グループリーグからたくさんのサポーターが駆けつけてくれました。メッセージをお願いします。

群馬ラウンド、ああいう奇跡的な勝ち上がり方をしてきて、それは自分たちだけの力じゃなくて、試合日程が変わったり、そういう中で、平日にあるにも関わらず毎日サポーターが足を運んで声を出し続けてくれて、その方々たちの声援がなかったらここまで来れたと思ってないです。
得点を取ってサポーターとゴールを分かち合うところが、自分は本当に最高の瞬間なので、それを決勝でも分かち合いたい。絶対勝つので、足を運んで声を枯らし続けてほしいなと思います。

 

一進一退の試合展開の中、終盤に先制され、観るものはもう駄目かと思っていたアディショナルタイムに同点ゴール。そして9人目という長い長いPK戦の最後に松澤の見事なシュートストップで、鬼門だった西が丘での準決勝に勝利した川崎フロンターレU-18。

歴史を塗り替えたことに満足する様子もなく、まだ何も成し遂げていない、というところを監督、選手ともに口にしました。このチームにはミラクルがあるように見える。しかしそれは、日々の練習や生活で培われた、揺るぎない自信が起こさせている必然なのかもしれないと思わされます。

簡単に行くはずもない決勝戦、再び西が丘で選手たちを強く後押ししましょう!

 

次戦:日本クラブユース選手権ノックアウトステージ決勝 vs ガンバ大阪ユース

7月31日(水) 18時キックオフ 味の素フィールド西が丘

(文中敬称略)

 

写真はまゆげカワウソさんに撮影いただきました。いつもありがとうございます!

CC BY-NC-ND 4.0 This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International License.

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