川崎フロンターレが川崎駅前で優勝パレードを行った12月9日は等々力陸上競技場へ。プリンスリーグ関東は最終戦の第18節。前節の桐光学園戦を1-2で終えた川崎フロンターレU-18は、東京ヴェルディユースとの試合に臨みました。
プリンスリーグ関東の上のリーグ、プレミアリーグEASTの自動降格圏の9位にFC東京U-18がおり、このままシーズンが終われば、FC東京U-18と、プリンスリーグ参入戦を勝ち抜いた2チームの計3チームが来季のプリンスリーグ関東に加わることになります。3チームと入れ替わる形で、プリンスリーグ関東の8位から10位までの3チームが、都県リーグへ降格する可能性があるという状況での最終節。
フロンターレは5勝4分け8敗、得点30、失点32、得失点差-2、勝ち点は19の7位。
ひとつ上の6位には勝ち点21、得失点差-10の6位・桐生第一がおり、下を見れば、8位には勝ち点18、得失点差-5の三菱養和SCユース、9位には勝ち点18、得失点差-17の桐光学園、10位には勝ち点17、得失点差-18の山梨学院高校。
フロンターレを含めた6位から10位までの4チームが8位以下になる可能性があり、フロンターレとしては「自力で7位以上の座を確かなものにしたい」という一戦になりました。
また、東京ヴェルディユースにもプレミアリーグ参入戦に出場できる3位以内に入る可能性が残されており、互いに勝利が求められる試合となりました。
【川崎フロンターレU-18 プリンスリーグ関東第18節 vs 東京ヴェルディユース】
12月9日(日)午後1時2分キックオフ 等々力陸上競技場 くもり 1141人
フロンターレの先発は、GK19川合我空、最終ラインは右から3島崎元、キャプテンの4高吉正真、15道間雄生、2栗田悠巨、ボランチは32山内日向汰、25戸水利紀、右MF11有田恵人、左MF18宮城天、FW9山田新、10宮代大聖。
ヴェルディの先発は、GK1佐藤篤輝、最終ラインは右から4三浦雅斗、3綱島悠斗、2門倉捷人、7飯島蓮、中盤の底に23山下柊斗、その前に20石浦大雅、キャプテンの10森田晃樹、右に8村井清太、左に11松橋優安、前線には9荒木大輔。
冷たくやや強い風が時折吹き付け、冬がいよいよ本格的になってきたことを感じさせられる等々力陸上競技場。バックスタンドやゴール裏には選手の家族らや両チームのサポーターらが集まり、チャントやコールで選手たちに声援を送るなか、試合は始まりました。
立ち上がり、後ろからボールを動かし組み立てを図りにいくヴェルディ。フロンターレはそれに対して山田や宮代らが前から連動してプレスをかけ、スローインを得るなどしていき、攻撃へはつながせず。ヴェルディボールとなり、左サイドの高い位置へ松橋が迫っても有田がすばやく戻り、島崎との連係からボールを取り返すなど、いい対応を見せていきます。
3分にはエリア正面、森田の浮き球にエリア右へ三浦が抜け出そうとしますが、栗田がカバー。頭で中央に戻った宮城に落とし、フロンターレの攻めにつなげていきます。
すると5分、フロンターレは有田が右サイドの高い位置へ仕掛け、攻勢に。エリア右にパスが出ると抜け出したのは山田。GK佐藤もかわし、シュートを打つとボールはゴールの中へ。1-0。大きな先制点がフロンターレに入ります。
フロンターレは高吉や道間、戸水が後ろで組み立てを図りながら、さらに前へ。山内が高い位置へ持ち上がり、エリア左の宮代を狙ってパスを入れるなど、ゴールの前に迫りに。ヴェルディは中央で石浦や山下らがボールに触れながら中央からの攻撃を狙いにいきますが、フロンターレは、ヴェルディ陣内でうまくプレスをかけ、縦へ入れさせず。ボールを奪うと山内が宮代に縦パスを入れ、守備から攻撃へつなげようとしていきます。
9分にはヴェルディが左からの攻めに出ようとしたところを、島崎が読みよくボールをカット。いったん左に展開し、中央の戸水へ。戸水がエリア前に動き出す宮代を狙い、浮き球のパスを出しますが、GK佐藤がボールはキャッチ。
直後にはヴェルディが最終ラインでパスを回し、左に開いた門倉にボールが入ったところを、宮代が寄せてマイボールにし、エリア右の宮城へ。ヴェルディの守備が阻みましたが、高い位置からチャンスをつくっていきます。
フロンターレはさらにコンパクトにいい距離感で試合を展開。宮代が中央に寄せ、ボールを奪い、コーナーキック直後で右サイドに残っていた宮城にパスを出すなどしていき、ヴェルディの左サイドにボールがわたっても宮城や戸水、島崎が囲い込み、攻撃へはつながせず。
15分には栗田がボールをカット。宮城、宮代と中央からの攻めに。宮代の浮き球にエリア外右に有田が抜け出し、最後は右から山田が折り返すもボールはGK佐藤がセーブ。
ヴェルディは村井が中央に下り、空いたスペースを狙い、右サイドの高い位置からエリア内へ三浦が動き出すなどし、攻めを試みに。17分には左サイドの高い位置からエリア内へ、飯島が仕掛けていきますが、高吉が寄せ、シュートは打たせず。
ヴェルディが左サイドからスローインを入れたところを、戸水がボールを奪い、そこから栗田が左サイドを持ち上がり、攻めの姿勢を見せていきます。
フロンターレはさらに高い位置で宮城がボールをカットし、タイミングよく栗田が駆け上がり、左サイドの高い位置へ仕掛けたり、ファールを受け、セットプレーの場面をつくったりするなど、ヴェルディ陣内でのプレーを重ねに。栗田が左サイドからエリア前に斜めに動き出す山田を狙ってフィードを入れるなど、変化も交えながら、追加点の機会をうかがっていきます。
29分、フロンターレは宮代がボールを中央でものにして、右へ展開。有田が駆け上がり、折り返すとエリア右の山田へ。シュートは阻まれたものの、エリア右でこぼれ球を拾った宮代がシュートを打つとこれが決まり、2-0。フロンターレは突き放します。
フロンターレはさらに宮代の寄せからボールを奪い、そこから攻めに転じて、山内がエリア前に動き出す宮代を狙い、スルーパスを送るなど、攻勢に。
32分にはヴェルディ、森田からボールを受けた松橋が縦へ仕掛けるも戸水が厳しく寄せ、最後はゴールキックに。フロンターレはさらに栗田がヴェルディの縦パスを読みよくカットするなどし、流れを渡さず。機を見て、島崎が高い位置へ上がり、折り返しのボールを入れるなど、ここぞというところで攻めの姿勢を見せていきます。
38分、ヴェルディは門倉に代わり15馬場晴也。
40分にはフロンターレ、右コーナーキックを得ると、セカンドボールを拾い、エリア右で宮代、宮城が連係して攻勢に。左にボールが渡ると、栗田の左クロスに遠いサイドで宮城が頭で合わせますが、GK佐藤がセーブ。
直後にはヴェルディ、エリア左で松橋が鋭い切り返しを見せ、ゴールに迫るも高吉が厳しい寄せを見せ、シュートは打たせず。さらに高い位置でボールをカットした松橋の折り返しから、エリア正面でヴェルディがシュートを打つも、川合がセーブ。体を張った守備でしのいでいきます。
直後にはフロンターレ、高い位置で宮代がボールをカットしショートカウンターに。山田のパスにエリア左に抜け出した宮城がシュート。しかし、右へ。
43分にはヴェルディ、飯島のマイナスの折り返しからエリア正面でシュート。しかし、ここでも川合がセーブ。栗田や道間もエリア前で粘り強さを見せ、フロンターレは守っていきます。
ヴェルディの中央からの攻めに対しても山内や有田、宮城が寄せにいき、いい対応を見せていくフロンターレ。45分には右サイドの高い位置へ上がった三浦がクロスを試みるも、宮城がブロック。直後のコーナーキックもしのいで、前半は2-0。タイムアップとなります。
後半立ち上がりにはヴェルディ、左サイドに松橋が開き、リターンを受けた飯島がエリア前に斜めに仕掛けにいくも、島崎がボールをカット。さらにヴェルディは、松橋が左サイドからエリア前に仕掛け、右へ。山下がセカンドボールを拾い、エリア正面右へパスを出すと、荒木がシュートを試みるもフロンターレは体を張り、これをブロック。
さらにカウンターに持ち込んだヴェルディ。エリア左へ松橋が抜け出しますが、高吉がカバー。セカンドボールを拾い、ヴェルディは右サイドからの攻勢に。最後はエリア正面やや右で森田がシュートを打ちますが上に。
5分には馬場が持ち上がり、エリア外右に縦パスを入れると、荒木が折り返すも道間がクリア。ヴェルディの攻めは続き、左サイド、飯島、松橋との連係からゴールへ迫ると、エリア右の森田へ。しかし、高吉がまたも寄せ、最後にはラインを割り、ゴールキックに。決定的な場面はつくらせず。
フロンターレはファールを受けてのリスタート時には、有田を高い位置へ走らせるなど、ゴールをうかがう姿勢を見せながらも、ヴェルディボール時には、宮代や宮城が中央に寄せ、マイボールにするなどして、流れを渡さず。ヴェルディがエリア正面にボールを入れても飯島のシュートをブロックするなど、体を張った守備を見せていきます。
14分にはエリア左から松橋がエリア内に仕掛けようとするも、島崎が寄せにいき、最後は高吉がクリア。そこから攻撃へ切り替え、山田が左サイドからエリア前に斜めに仕掛け、エリア正面へ動き出す宮代を狙い、パスを試みるも、ヴェルディの守備も粘り強くボールはカット。
ヴェルディは攻めに切り替え、左サイドから松橋が迫るもフロンターレは有田がエリア右に戻り、クリア。さらに中央でボールを回し、村井が持ち上がるも有田がすばやい寄せを見せ、うまく体を入れ、ボールをものに。
17分にはフロンターレ、栗田の左クロスのこぼれ球を拾い、山内がエリア外正面へ。ミドルシュートを試みるもブロック。
そこからヴェルディも再び左サイドの松橋が高い位置へ仕掛けていきますが、シュートは高吉がブロック。セカンドボールを拾い、ヴェルディが左に展開しさらに前に出ていきますが、島崎がうまくボールをカット。有田につなげ、有田が左サイドの高い位置へ動き出す宮代を狙い、ボールを入れ、隙あらば攻めに、という姿勢を垣間見せていきます。
21分には高吉のフィードに宮代がエリア外左、高い位置へ。山田がエリア左へ抜け出し、GK佐藤の股を抜くパスを出し、右へ展開。エリア右、有田のリターンを受けた宮代がエリア正面でシュートを打つもボールはクロスバーへ。
ヴェルディはここで村井に代わり33権田陽大。そこからヴェルディが人数をかけ、ゴールに迫るもフロンターレは有田が中央に寄り、エリア正面での森田のシュートは高吉がブロック。最後はエリア外正面、荒木がシュートを打つも川合がセーブ。
さらにエリア前に縦パスを入れるヴェルディ。しかし、フロンターレは戸水がボールをカット、宮代へつなげ、そこから後ろへ戻し、マイボールの時間をつくりに。27分には再びヴェルディボールとなり、右クロスにニアで松橋が合わせるも枠はとらえられず。
さらに松橋が左からエリア前に仕掛けるもシュートは島崎がブロック。こぼれ球を有田がエリア近くで拾っていきます。フロンターレは好守でしのぎ、川合が左サイド、高い位置の宮代へ正確にボールをつけるなど、追加点も狙いにいくと、29分には高吉が高い位置でボールをカット、中央の山内がエリア前に動き出す宮城を狙い、スルーパスを出すも惜しくも通らず。
31分にはヴェルディ、右サイド、三浦がパス交換からエリア右へ。しかし、フロンターレはここでも人をかけ、体を張った守り。最後は飯島が中央を仕掛け、エリア正面へ。シュートを打つも上に。
フロンターレは32分、栗田に代わり22松永竜之介が入り右SB、島崎が左SBへ。
ヴェルディは松橋の左サイドからの仕掛けや、最終ラインの馬場や綱島もセンターラインより前の高い位置へ上がり、縦パスを試みるなどしていきますが、フロンターレは、右サイドでは松永が松橋に粘り強く寄せ、ゴールキックにしたり、中央では高吉が縦パスをカットしたりするなどしていきます。ヴェルディは、エリア前で荒木や森田がパスを回し、左へ流れた権田に展開しようとするも、フロンターレは有田がエリア近くに戻り、先に体を入れ、フロンターレのゴールキックに。
39分、フロンターレは宮城に代わり24鈴木大登、ヴェルディは荒木に代わり18坂巻日向。
フロンターレは左サイドのスローインを受けた山田がファールを受け、フリーキックを得ると、左コーナー付近に運びボールキープを図りにいき、時間を使いに。ヴェルディにボールは取り返されますが、42分フロンターレは宮代が左サイドの高い位置でボールを奪い、エリア前に仕掛けると、最後はこぼれ球を拾った鈴木がシュート。これがゴールへ決まり、3-0。鈴木のプリンスリーグ初ゴールで、フロンターレは突き放します。
ヴェルディは飯島がエリア前に仕掛けていき、エリア右に三浦が顔を出すなど、人をかけ、ゴールを目指しにいきますが、フロンターレはコンパクトにいい距離感で守りに。飯島のシュートをブロックし、右コーナーキックとなり、石浦が左足で入れたボールは川合がしっかりキャッチ。
ロスタイムに入り、道間がクリアボールを宮代につなげようとするなど、判断よくプレーを重ねていくフロンターレ。47分にはエリア右に森田が抜け出すもシュートは打たせず、右コーナーキックに。セカンドボールを拾い、ゴールに迫るヴェルディでしたが、フロンターレの守りはそれを最後まで上回り、試合はタイムアップ。3-0。
前半2-0 後半1-0 計3-0
得点:山田新、宮代大聖、鈴木大登
フロンターレの先発:19川合我空、3島崎元、4高吉正真(c)、15道間雄生、2栗田悠巨、32山内日向汰、25戸水利紀、11有田恵人、18宮城天、9山田新、10宮代大聖
交代:栗田→22松永竜之介 宮城→24鈴木大登
控え:21青山海 20澤田泰大 30岡崎玄 6小川達也 7中島大成 13古屋雄帆 8上野綜太
ヴェルディの先発:1佐藤篤輝、4三浦雅斗、3綱島悠斗、2門倉捷人、7飯島蓮、23山下柊斗、20石浦大雅、10森田晃樹(c)、8村井清太、11松橋優安、9荒木大輔
交代:門倉→15馬場晴也 村井→33権田陽大 荒木→18坂巻日向
控え:25小原諒万 13藤田譲瑠チマ 17遠藤海斗 5杉本紀人 19三枝新汰 32廣野零二
フロンターレは6勝4分け8敗、得点33、失点32、得失点差は+1に。この結果、山梨学院高校との試合を1-1で引き分けた桐生第一を抜き順位は6位に浮上。最後の等々力での試合を、今季リーグ戦では初めての無失点での勝利で飾り、そして、自分たちの力で、プリンスリーグへの残留を勝ち取ることに。ずっと見守ってきた家族や、サポーター、友人やかつてのチームメートにも大きな喜びをもたらすものになりました。
「団結」をチームの目標に、戦ってきたフロンターレU-18の選手たち。今季最後の試合は目指してきたものを、おおいに体現した、すばらしい試合となりました。
(文中敬称略)
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