川崎フロンターレが横浜F・マリノスとの神奈川ダービーを3-1で制した翌9月6日、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、開催が延期となっていたプリンスリーグ関東が開幕しました。プリンスリーグ関東は、本来ならばホーム・アンド・アウェー、2回戦総当たりで行われるところを、1回戦総当たり、昇降格なしという方式で9試合が行われます。
開幕戦は、川崎フロンターレU-18は、桐生第一と対戦。プリンスリーグでは初めて富士通スタジアム川崎での開催。無観客というかたちで行われました。
なお、この記事は、フロンターレの了解を得て、ゴール裏から写真やメモを取り、社会的な距離(ソーシャル・ディスタンス)をとるかたちで取材し、書かせていただいています。
【川崎フロンターレU-18 プリンスリーグ関東第1節 vs 桐生第一】
9月6日(日)午後3時キックオフ 富士通スタジアム川崎 くもり
フロンターレの先発は、GKゲームキャプテンの16川合我空、最終ラインは右から2高畠捷、13田鎖勇作、26高井幸大、6岡崎玄、ボランチは31大関友翔、8田中慶汰、右MF15入江流星、左MF7平田流衣、トップ下18五十嵐太陽、前線には9田中幹大。
フロンターレは怪我人が多く、キャプテンの10戸水利紀らはメンバー外。高井に、FC多摩ジュニアユースからフロンターレに加わった大関と、新1年2人が先発に入り、3年は川合、岡崎、平田という構成に。
桐生第一の先発は、GK51竹田大希、最終ラインは右から17箱田侑大、58丸山琉空、42蔵上忍、中盤は39金沢康太、その前にキャプテンの7落合遥斗、30浅田陽太、右MFに20松尾琉雅、左MFに45小林凌大、前線には5入澤祥真、53寶船月斗。
午後1時ごろには、激しい雨が降った富士通スタジアム川崎付近。しかし、選手がアップを始めるころにはすっかり上がり、やや蒸し暑さを感じる気候に。ピッチにたまった水を取り除いた上でのキックオフとなりました。
立ち上がり、フロンターレは桐生第一が前に入れてくるボールを高井が、田中幹大を走らせるようなかたちを見せるとともにラインを高めに。最終ラインの田鎖や高井、岡崎らがかかわりボールを後ろから回そうとしていきます。
しかし、なかなか中央でうまく前を向くことができず、セカンドボールを桐生第一が拾い、そこから右サイドの松尾が仕掛けていくなど、次第に押し込んでいく場面をつくりだしていきます。
3分には、右サイドの高い位置でボールをおさめた入澤がエリア右へ。仕掛ける姿勢を見せ、折り返すと、エリア内、寶船がシュートを打ちますが、これは右へ。さらに左サイドで前を向いた寶船が、エリア外左へ仕掛け、シュートを打ちますが、川合がセーブ。
4分には、左サイドでフリーキックを得た桐生第一。落合が右足でエリア右へ入れると、折り返しからエリア内、寶船がシュートを打ちますが、これはオフサイド。
フロンターレも、田中慶汰の縦パスを五十嵐がおさめ、左に展開し、平田が仕掛けていきますが、桐生第一も1対1で粘り強さを見せていきます。
7分には、フロンターレ、高井のフィードを田中幹大が競り、五十嵐がこれを拾い前を向きますが、桐生第一の寄せは速くカット。前にボールを入れると、右サイドで入澤がボールをおさめますが、高井が対応し、右サイドからのスローインに。桐生第一は右クロスに、寶船が頭で合わせますが、右へ。
桐生第一は、中央でボールをものにすると、右サイドに展開。松尾がうまくフリーで受けて、クロスを上げるなど、さらに攻めにつなげていきますが、フロンターレは岡崎が粘り強くブロックにいくなど最後のところで体を張り、しのいでいきます。
10分には、右コーナーキックを得た桐生第一。蔵上が左足でボールを入れると、左サイドに流れたボールを拾い、浮き球を入れ、最後はエリア右、蔵上がシュートを打ちますが、ここでもフロンターレはブロックしていきます。
13分には、フロンターレ、桐生第一がスルーパスに、寶船が抜け出そうとしたところ、高井がカットし、そこから攻めへ。左に展開すると、左サイド、平田のスルーパスに、田中幹大がエリア左へ抜け出し、シュートを打ちますが左へ。決定的なシュートとはなりませんでしたが、チャンスをつくっていきます。
フロンターレは、大関から右サイドの高畠へ展開。右サイドに流れた入江が空けたスペースを、高畠が使い、左の岡崎、平田とつなげていくなど、両サイドを使いながら、攻めの糸口をつかもうとし、うまく間で受けた大関が、五十嵐を走らせるように、縦パスを入れるなどしていきます。
15分に取られた飲水タイム明けには、左に開いた岡崎が、田中幹大を左サイドの高い位置へ走らせ、左サイドからのスローインに。スローインから田中幹大がボールをキープ。田中幹大から左サイドで受けた五十嵐が、桐生第一の守備をかわして、中央へ仕掛け、エリア外正面へ。シュートは、ワンタッチあり、枠へは飛ばせなかったものの、ゴールへ迫っていきます。
ボールを奪われても、田中幹大が自陣の右サイドで守備にいくなど、一体となって、プレーを重ねていくフロンターレ。22分には桐生第一、右クロスが左サイドへ流れたボールを入澤が拾い、折り返しますが、田鎖が対応していきます。
しかし、守りから攻めへ持ち込む速さでは、やや桐生第一が上回り、25分には、左サイドでボールを奪った入澤がエリア左へ仕掛ける姿勢を見せ、ミドルシュート。これは体を張り、左コーナーキックに。落合が右足でボールを入れると、セカンドボールを拾い右へ展開。松尾が折り返しますが、岡崎がクリアしていきます。
30分に、取られた2回目の飲水タイム明け、フロンターレは田中慶汰、大関に岡崎がかかわりながらボールを動かそうとしていきますが、桐生第一はボールを奪い、入澤が正面へ仕掛け、シュート。これは川合がセーブし、最後は高井がクリア。
しかし、33分、中央でボールを奪ったのは桐生第一。入澤が前に持ち出し、スルーパスを出すと、寶船がエリア右へ。シュートを打つとこれが決まり、0-1。昨年の第8節でも決めている寶船のゴールで、先制点は桐生第一へ。
さらに38分には、落合がボールをカット。スルーパスを出すと再びエリア右へ抜け出したのは寶船。シュートには川合が反応するも、ボールはゴールヘ決まり、0-2。フロンターレは突き放されてしまいます。
フロンターレも、右サイドで前を向いた五十嵐が正面へ仕掛けていきますが、桐生第一も最後のところで寄せていき、最後は竹田がセーブしていきます。
44分には、さらに桐生第一。右クロスが左へ流れ、小林が折り返すと、浅田がシュートを打ちますが、田鎖がブロック。
ロスタイムに入り46分には、五十嵐のパスに入江がエリア外右へ。桐生第一にファールがありフリーキックを得ますが、シュートには結びつかず。前半は0-2でタイムアップとなります。
後半フロンターレは入江に代わり右MFに徳久翔大、岡崎に代わりフロンターレU-15から昇格した新1年の29浅岡飛夢が左SBに。
立ち上がり、フロンターレは大関、平田と左からの攻めに。平田の縦パスに田中幹大がエリア左へ抜け出しシュートを打つも、竹田がセーブし、左コーナーキックに。
平田が右足でボールを入れると、高井がヘディングシュート。これはワンタッチあり、決まらなかったものの、いいかたちをつくっていきます。
フロンターレはさらに2分、スローインから高畠が仕掛けて右コーナーキックに。平田が入れたボール、ニアで浅岡が合わせますが、桐生第一はブロックしていきます。
フロンターレは、桐生第一、入澤が中央でカットしたところを田中慶汰が奪い返すなどしてマイボールに。徳久翔大が右サイドの高い位置でうまくフリーで、抜け出そうとするなど、相手陣内で時間をつくっていきます。
9分には五十嵐から左サイドを突くパスが通ると、抜け出した平田が縦へ仕掛けていきますが、金沢がファール。金沢に警告が提示されます。
フロンターレはさらに、桐生第一が後ろから回していこうとする場面でも、高い位置でうまく連動してプレスをかけ、それをさせず。桐生第一が前線へ浮き球を入れ、寶船を走らせても、田鎖が川合につながるかたちで対応。左サイドの浅岡が、右サイドの高い位置、徳久翔大へサイドチェンジのボールを入れ、桐生第一がこれを奪いにいっても、大関が速い寄せでマイボールにしていきます。
10分には、右サイド寄りでボールを受けた大関に対し、金沢がファール。この際に遅延行為があり、2回目の警告が提示され、金沢は退場に。桐生第一は10人となります。
フロンターレはこれで得たフリーキック、平田がエリア内へボールを入れると、田鎖が頭で合わせますが、強いシュートとはならず。それでも前からプレスをかけにいき、次々にマイボールに。左に開いた浅岡の高い位置を突くパスに、平田が抜け出し、仕掛けていくなど、ゴールへ迫り、パス交換から大関がエリア右へ顔を出すなど、攻めに厚みを出せるようになっていきます。
15分には、左サイドを抜け出した平田が折り返すと、正面の大関がシュートを打ちますが、竹田がセーブ。ここで後半1回目の飲水タイムに。
フロンターレは、大関に代わり14秋葉拡人。桐生第一は小林に代わり、26吉田遥汰。寶船が左サイドに入り、前線に吉田を据えていきます。
フロンターレがゴールへ迫る場面は続き、17分にはエリア右へ抜け出した秋葉が折り返すと、正面へ走り込んだ平田がシュート。これは桐生第一に阻まれ、左コーナーキックに。
左コーナーキック、平田が入れたボール、高井が頭で合わせ、ゴール前左へこぼれたボール、詰めた田鎖がシュートを打ちますが、ここも桐生第一の粘り強い守備が上回り、惜しくも決まらず。
さらに20分、左サイドに開いた浅岡がエリア右を突くフィードを入れると、徳久翔大が飛び出しますが、触ることはできず。桐生第一は、吉田を前に走らせて、機を見て得点を狙っていきますが、田鎖と高井が落ち着いて対応していき、田中慶太もかかわり、ボールを回していきます。
田鎖がエリア左へ飛び出す浅岡を狙い、フィードを入れるなどしていくと、27分には、田中慶汰がスルーパス。エリア外右から折り返すと、左サイドで拾った浅岡からエリア外左の五十嵐に渡り、五十嵐のパスに徳久翔大がエリア右へ抜け出しますが、竹田が阻んでいきます。
30分に取られた飲水タイム。ゲームキャプテンの川合が「声を出せ! ベンチ含め全員で!」と声をかけ、再びピッチへ戻っていくフロンターレ。右サイドの高畠が中央へ仕掛ける姿勢を見せ、正面の五十嵐へ縦パスを入れ、そこから人をかけた攻めにつなげれば、田中慶汰の縦パスを受けた秋葉が、うまく相手をはがし、エリア右へ持ち込むなど、攻め手を強めていきます。
36分には、左サイドで平田がファールを受け、フリーキックに。ここでフロンターレは平田に代わり35五木田季晋、高畠に代わり34吹田航晟。U-15から昇格した五木田、東急SレイエスFCから加わった吹田の両選手にとって、これがフロンターレU-18での最初の試合となります。
フリーキックのキッカーは吹田。右足でボールをエリア内に入れると、頭で合わせたのは田鎖。これはボールのなかへ。1-2。ついにフロンターレが1点差に。
直後にはさらにフロンターレ、左サイドに開いた浅岡がエリア内へ浮き球を入れると、徳久翔大が飛び込みますが、竹田と交錯。徳久翔大のファールに。さらに39分には、今度は右SBに入った吹田が浮き球をエリア内へ入れると、田中幹大が競り、エリア左へ五木田が走り込みますが、ハンドがあり、シュートには持ち込めず。
フロンターレは、最終ラインの高井を前線へ上げ、両サイドなどから浮き球を入れ、さらに得点を狙っていきます。
43分には右サイド、吹田が浮き球を入れると、五木田、高井が走り込みますが、触ることはできず。桐生第一はここで寶船、箱田、浅田に代わり、14長澤一冴、15中谷優太、4五十嵐健太。直後には桐生第一、入澤にボールが渡り、入澤が前に仕掛けていますが、田鎖がボールを奪い、五十嵐へつなげるかたちで対応。右へ展開し、吹田のフィードに、エリア内へ高井が走り込み、頭でシュートを打とうとしますが触ることはできず。
ロスタイムに入り、高い位置でボールをものにした入澤が抜け出そうとしたところを、川合が止めるなど好プレーを出しながら、同点を目指していくフロンターレ。47分には田中幹大が正面でおさめ、エリア内、吹田を狙いスルーパスを出しますが、吹田は触ることはできず。
試合はタイムアップとなり、1-2。桐生第一が勝利することになりました。
5カ月遅れの待ちに待った開幕戦は、望んだようないいかたちでのスタートとはならなかったと思います。それでも、うまくいかなかった前半から盛り返し、後半は自分たちの時間帯をつくりだし、相手を追い込んでいったことも、印象に残る試合となりました。この日は出場できなかった選手たちも含め、どんなプレーを見せていくのか。これからを楽しみにしています。
前半0-2 後半1-0 計1-2
得点:田鎖勇作(フロンターレ) 寶船月斗2(桐生第一)
フロンターレの先発:16川合我空(c)、2高畠捷、13田鎖勇作、26高井幸大、6岡崎玄、31大関友翔、8田中慶汰、15入江流星、7平田流衣、18五十嵐太陽、9田中幹大
交代:岡崎→29浅岡飛夢 入江→20徳久翔大 大関→14秋葉拡人 平田→35五木田季晋 高畠→34吹田航晟
控え:1青山海 25松長根悠仁 30川口達也 23久保田大吉
桐生第一の先発:51竹田大希、17箱田侑大、58丸山琉空、42蔵上忍、39金沢康太、7落合遥斗(c)、30浅田陽太、20松尾琉雅、45小林凌大、5入澤祥真、53寶船月斗
交代:小林→26吉田遥汰 寶船→14長澤一冴 浅田→4五十嵐健太 箱田→15中谷優太
控え:21小池優斗 2阿部教範 10武馬陸人 18町田圭吾
(文中敬称略)
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