12月13日は矢板中央高校東泉グラウンドへ。プリンスリーグ関東は最終節となる第9節。川崎フロンターレU-18は、矢板中央との試合に臨みました。
前節のホーム最終戦、山梨学院高校戦を2-2で引き分けた川崎フロンターレU-18は、ここまで3勝3分け2敗、得点12、失点8。一方の矢板中央は4年連続11回目の全国高校サッカー選手権大会出場を決め、プリンスリーグでは4勝4敗、得点17、失点15という戦績でこの日の試合を迎えました。
この記事は、取材の了解を得たうえで、マスクをつけ、距離に気を配ったうえで写真やメモをとり、書かせていただいています。
【川崎フロンターレU-18 プリンスリーグ関東第9節 vs 矢板中央】
12月13日(日)午後1時キックオフ 矢板中央東泉グラウンド くもりのち晴れ
フロンターレの先発は、GK1青山海、最終ラインは右から2高畠捷、26高井幸大、29浅岡飛夢、25松長根悠仁、ボランチは8田中慶汰、13田鎖勇作、右MFゲームキャプテンの11鈴木大登、左MF7平田流衣、前線には18五十嵐太陽、9田中幹大。
前節に先発した5神橋良汰はベンチスタート。3松永竜之介、U-16日本代表候補に選出された31大関友翔が不在。CBの田鎖が初めてボランチで先発するという構成に。
矢板中央の先発は、GK1藤井陽登、最終ラインは右から25山越結平、3島崎勝也、ゲームキャプテンの4新倉礼偉、5小出勇翔、ボランチは6大畑凜生、16只友大輔、右MF29黒澤光成、左MF8唐橋玖生、前線には15鷹箸浩輔、10多田圭佑。
ちょうど選手たちがアップを始めたころに、降り始めた氷もまじった冷たい通り雨を降らせた雲は去り、次第に青空も広がり始めた東泉サッカーグラウンド。12月らしい寒さも感じるなか、試合は始まりました。
立ち上がり、前線の鷹箸や多田を走らせるように浮き球を入れ、ラインを高めながら押し込んでくるのは矢板中央。スローインを得ると、エリア内に新倉も上げ、島崎のロングスローからゴールを狙いにいきますが、フロンターレもしっかり寄せにいき、シュートは打たせずにしのいでいきます。
フロンターレも5分には、左サイドの高い位置へ平田が抜け出し、シュートがブロックされたところ、エリア外正面でセカンドボールを拾った田鎖がすぐさま右へ展開。高畠のクロスはシュートにはつながらなかったものの、次第にボールを握れるように。8分には、松長根の浮き球を田中幹大が競り、中央でおさめた五十嵐のパスに、平田がエリア外左へ。エリア前に持ち出し、シュート。矢板中央のGK藤井がセーブしたものの、チャンスをつくっていきます。
フロンターレは右サイドで受けた高畠が中央へ斜めに持ち出し、左の松長根に展開するなど、ピッチの左右中央をうまく使いながら、ボールを動かし、矢板中央にボールが渡っても、鈴木がすぐさま寄せにいき、マイボールに。球際でも厳しさを見せ、前から圧力もかけてくる矢板中央に対峙。田中慶汰や田鎖、高井や浅岡がかかわり合いながら、ボールを動かし、攻めの糸口をさぐっていきます。
14分には、浅岡から右サイドを突くパスが出ると、高畠が高い位置へ。高畠のパスに鈴木がエリア右へ。シュートまではいけませんでしたが、いい連係を見せていきます。
一方の矢板中央も直後には、唐橋が仕掛けて左クロスを上げると、遠いサイド、大畑が飛び込みますが左へ。15分には、矢板中央は只友に代わり7升田大成がピッチへ。直後には、右サイドのスローイン、島崎のロングスローのこぼれ球を正面で拾った升田が、エリア前に動き出す多田を狙い、浮き球を入れていきますが、青山がセーブ。矢板中央もフロンターレのゴールを、持ち味を活かして揺さぶっていきます。
それでもフロンターレは、平田や五十嵐、鈴木も中央でボールにかかわり合いながら、ボールを動かしていくと、16分には、浅岡から中央、田中慶汰につながり、田中慶汰の縦パスを受けた五十嵐がエリア内に動き出した田中幹大にスルーパス。これを矢板中央がブロックしたところ、こぼれ球を拾った鈴木がエリア外右でシュート。矢板中央の体を張った守備に遭い、得点とはなりませんでしたが、たたみかけていきます。
20分には矢板中央も高い位置で多田がカット。エリア外右へ仕掛けていきますが、松長根がブロック。攻撃の芽を体を張って摘んでいくと、21分には、高井が持ち上がり右へ展開。受けた高畠が斜めに中央へ持ち上がり、エリア右へスルーパスを送ると、抜け出した田中幹大がシュートを打ちますが、藤井がセーブしていきます。
エリア前に浮き球を入れながら、起点をつくろうとする矢板中央に対して、中央へしぼった松長根がカバーをするなどして、対応していくフロンターレ。松長根から右サイド、高畠へ正確なサイドチェンジを入れるなどしていくと、23分には、高井から右へ展開。高畠から鈴木とつながり、鈴木のパスに五十嵐がエリア右へ。五十嵐からエリア左へパスが通ると、抜け出した高畠がシュートを打ちますが、矢板中央はブロック。
田中慶汰や田鎖がボールをものにし、浅岡や高井も時には前に持ち出し縦パスを入れながら前に出ていくフロンターレ。高畠が右サイドから斜めに持ち出す動きでアクセントをつけるなどしていくと、28分には、田中慶汰から左へ展開。左サイドに開いた松長根がエリア正面の田中幹大に縦パスをつけると、おさめた田中幹大が切り返して、エリア右へパスが通り、鈴木が抜け出しますが、矢板中央も粘り強くカバーしていきます。
28分に取られた飲水タイム明けも、フロンターレが人数をかけてボールを動かすのに対して、矢板中央はサイドに展開し、前線の選手がいい動き出しを見せる展開に。30分には、矢板中央右サイドの高い位置で受けた黒澤が後ろに戻したボール、受けた山越がクロスを上げると、エリア左へ飛び込んだ鷹箸が頭で合わせますが、左へ。さらに左サイドの高い位置でスローインを得た矢板中央。島崎のロングスローにエリア内へ大畑が飛び込みますが、右へ。
矢板中央の攻めをしのいだフロンターレは、32分には高畠のフィードに右サイドの高い位置へ田中幹大が抜け出すと、田中幹大のパスから鈴木がエリア右へ。折り返しがブロックされたところ、平田が中央に寄って、ボールを拾い、最後はエリア外正面で五十嵐がミドルシュートを打ちますが、クロスバーに。さらに田中幹大のパスに、鈴木がエリア右へ。矢板中央も体を張ってよく守り、得点とはなりませんでしたが、多くのセカンドボールを高い位置でものにし、ゴールに迫っていきます。
鈴木が中央に顔を出し、高畠や高井、青山、浅岡らがサイドをうまく変えながら攻めていくフロンターレ。矢板中央も新倉のフィードに、多田が高い位置へ動き出していきますが、青山がエリア外に出てクリア。集中した守りを見せていきます。
38分にはフロンターレ、浅岡のパスに松長根が左サイドの高い位置へ。粘って折り返すと、エリア右へ鈴木が迫りますが、矢板中央もカバーにいき、シュートまではいけず。
39分には高畠のパスを田中幹大がおさめて右へ展開。鈴木が高い位置へ仕掛けて右コーナーキックに。高畠が右足でボールを入れると、松長根が頭で合わせ、最後はゴール前に走り込んだ田中幹大がシュートを打ちますが、上に。
さらにボールを動かしていくフロンターレ。五十嵐が下がり目でボールにかかわり、中央でボールを動かし、高畠がエリア右へ動き出す田中幹大を狙い、スルーパスを出すなどしてゴールを狙っていきます。
41分には、矢板中央は鷹箸に代わり24林廉人、黒澤に代わり9星景虎。
多くの人がかかわり、フロンターレがボールを動かす時間帯は続き、44分には田鎖の浮き球を鈴木がおさめ、正面の田中幹大へつけて、エリア内へ抜け出そうとしますが、矢板中央はカバーしていきます。
44分には、矢板中央は唐橋に代わり21小川心。
交代で入った小川は縦パスをカットしエリア内へ抜け出そうとしていきますが、高畠が中央へしぼりクリア。攻めを許さず、高い位置でのプレーも重ねて前半はタイムアップ。0-0でハーフタイムへ。
ともに交代はなく、始まった後半も、後ろからしっかり組み立てながら、フロンターレが相手陣内で時間を重ねる立ち上がりに。田鎖や田中慶汰がボールを左右に動かしたり、縦に鋭いボールを入れたりし、右サイドでは、鈴木や高畠がテンポよくボールを動かし、さらに平田がエリア右へ抜け出す動きを見せるなど、位置も入れ替えながら、ゴールをうかがっていきます。
矢板中央も、左サイドでの島崎のロングスローからゴールを狙いにいきますが、フロンターレはエリア内でしっかり対応。最後は矢板中央のファールとなり、シュートには結びつけさせず。さらに右サイドでも島崎がロングスローを入れ、こぼれ球を正面で拾い、エリア内へ浮き球を入れてくる矢板中央ですが、フロンターレはここでもシュートは打たせず。力強い攻めに向き合っていきます。
8分には、フロンターレ、松長根のフィードに、高畠がエリア右へ動き出しますが、矢板中央はクリア。さらに左に開いた松長根のパスに、平田がエリア左へ抜け出そうとしたり、エリア外右、五十嵐のパスに田中幹大がエリア内へ動き出すなど、矢板中央のエリア近くで時間を重ねていくフロンターレ。9分には、田中慶汰のパスに鈴木がエリア右へ。シュートは藤井がセーブ。フロンターレは右コーナーキックを得ます。
高畠が右足でボールを入れると、ニアで頭で合わせたのは高井。ゴール左にこぼれたボール、詰めたのは田鎖。頭で合わせると、ボールはゴールのなかへ。1-0。先制点はフロンターレへ。田鎖やピッチ上の選手たちに、ピッチ脇で試合の行方を見守っていた控えの選手たちも飛び込み、全員で喜びを分かち合います。
矢板中央はここで林に代わり19小森雄斗。
「取ったあと、取ったあと」。今季の公式戦、初めてメンバーに入ったチームキャプテンの戸水がピッチ脇から声をかけるなか、矢板中央の攻めに向き合っていくフロンターレ。エリア前への浮き球もしっかり跳ね返していくと、14分には、右サイドの高い位置へ抜け出した田中慶汰の折り返し、エリア内へ田中幹大が飛び込みますが、藤井がセーブ。さらに中央に寄った平田が鈴木とのパス交換からエリア右へ動き出すなど、フロンターレが相手陣内で時間をつくっていきます。
17分には、右サイド、高畠が持ち出し、エリア内へ動き出した鈴木を狙い、スルーパス。これを矢板中央の守備が阻み、右コーナーキックに。高畠が入れたボール、田鎖が合わせますが右へ。
矢板中央も大畑のパスに、小森が高い位置へ動き出し、拾った小川が前に仕掛けていきますが、松長根が対応。さらに左へ流れた小川が仕掛けていきますが、高井がブロック。19分には、さらに矢板中央、左サイド、小川のボールに、多田がエリア右へ。シュートを打ちますが左へ。
危ない場面、事なきを得たフロンターレ、直後には、松長根が左サイドを仕掛け、平田がエリア左へ。シュートを打ちますが、矢板中央はブロック。
さらにフロンターレは、田鎖がボールをものにし、流れのなかで、平田が中へ寄り、鈴木が左サイドに顔を出すなど、位置を入れ替えながらゴールの前に迫っていきます。
25分には矢板中央、大畑の右サイドを突くパスに、小森が抜け出し、フロンターレはこれに対してファール。矢板中央のフリーキックに。ここで矢板中央は、山越に代わりキャプテンの2坂本龍汰がピッチへ。キッカーの升田はニアに鋭いボールを入れていきますが、田中慶汰がクリア。
さらにセカンドボールを拾い、矢板中央は左サイドからの攻めに持ち込んでいきますが、田中慶汰がボールをカット。五十嵐を右サイドの高い位置へ走らせるボールを入れると、矢板中央はこれに対して、ファール。フロンターレのエリア外右でのフリーキックに。飲水タイムを挟んで、高畠がボールを入れると、田鎖が頭で合わせますが、左へそれていきます。
矢板中央も、29分には下がり目で前を向いた多田から左に展開すると、左サイドから仕掛けた小川がミドルシュートを打ちますが左へ。さらに升田の浮き球のパスを正面やや左でおさめた多田がシュート。右にそれたものの、チャンスをつくっていきます。
矢板中央の左サイドからの攻めに対して、高畠や鈴木の連係でマイボールにするなど、コンパクトにして対応していくフロンターレ。31分には、浅岡から左へ展開。松長根につながり、松長根から受けた平田がエリア外左へ。折り返していきますが、矢板中央はエリア内でクリア。さらに正面でボールを拾い、五十嵐のスルーパスに田中幹大が左サイドの高い位置へ抜け出していきますが、これはオフサイドに。
34分には、今度は矢板中央、自陣の左サイドでフリーキックを得ると、GKの藤井はエリア内に浮き球を入れ、正面へうまく小山が入り込みますが、青山がセーブ。さらに右サイドを突くパスを入れていきますが、平田がカバー。矢板中央の右サイドでのスローインに。島崎がニアにロングスローを入れていきますが、フロンターレはクリア。右コーナーキックとなります。キッカーの小川が左足でボールを入れると、左サイドに流れたボールを拾った矢板中央はエリア外左でミドルシュート。青山がいったんはセーブするも、こぼれ球を新倉が押し込み、1-1。試合は同点に。
勝ち越しを目指すフロンターレ。平田や鈴木も中央に寄ってマイボールにしていくと、38分には、五十嵐がエリア外正面へ。シュートを打ちますが、矢板中央はブロック。さらに左サイド、松長根がクロスを入れていきますが、藤井がセーブ。すぐさま藤井は前線へボールを送っていきますが、フロンターレは鈴木がカット。右サイドに流れた五十嵐へ展開。五十嵐が仕掛けて右コーナーキックに。高畠がボールを入れると、セカンドボールを拾った平田が正面へ仕掛けていきますが、矢板中央の寄せも速く、最後はファールに。それでも、守備への切り替えの速さを攻めに結びつけていきます。
田鎖や田中慶汰がセカンドボールを拾い、そこから攻めに持ち込んでいくフロンターレ。41分には、正面で田中幹大がおさめ、田中幹大のパスに平田がエリア内へ。シュートはワンタッチあり、右コーナーキックに。高畠が入れたボールをセーブした藤井はすばやくスロー。小川を走らせていきますが、田中慶汰がカバー。
さらに矢板中央が、前線の多田や小山の動き出しを使い、浮き球を入れる場面が続いていきますが、フロンターレは高井や浅岡が対応。しっかりつなげる姿勢を見せていきます。
44分には、左に開いた平田から中央へ。田中慶汰の縦パスに、五十嵐が正面へ。切り返してシュートを打ちますが、藤井がセーブ。さらに正面で五十嵐がカット。右へ展開し、鈴木が正面へボールを入れると、走り込んだ田中慶汰がミドルシュートを打ちますが上に。
ロスタイム、左サイドから攻めに持ち込んでいく矢板中央に対して、浅岡が厳しい寄せからボールをカットし、そこから細かくパスを高い位置で回しながら攻めていくフロンターレ。47分には鈴木のパスに、平田がエリア右へ。シュートを打ちますが、藤井がセーブ。一方の矢板中央も48分には右に開いた多田がエリア右へ持ち込み、シュートを打ちますが、左へ。
「まだ時間はある」。ピッチ外で見守る選手たちが声をかけるなか、攻めに持ち込んでいくフロンターレ。しかし、試合はタイムアップとなり、1-1。勝ち点1を分け合うことになりました。
フロンターレは3勝4分け2敗、得点13、失点9、勝ち点は13、4位でプリンスリーグ関東を終えることに。新型コロナウイルスの影響を受けて、短くなったリーグ戦のなか、試合を重ねるごとに、攻守に切り替えの良さを増し、相手が上回る場面があっても、粘り強い戦いぶりを見せたことが心に残るものがありました。選手が入れ替わっても、今季のフロンターレがつちかったものは、必ず受け継がれていく、と思います。
難しいシーズンを送ったチームを支え、この試合を最後に卒団していく3年生も、これからのチームを担っていく1、2年生も大きな可能性を秘めていると思います。2021年に向かっていく川崎フロンターレU-18のこれからも、さらにフロンターレアカデミーを離れ、新たなチームでプレーすることになる3年生たちがどんな選手になっていくのかも、とても楽しみにしています。
練習試合を重ねていた2月。活動休止を経て、プリンスリーグが始まった9月から12月まで、チームとしても選手としても進化していくフロンターレのことを、記していくことができたのは、とてもしあわせなことでした。ありがとうございました。
前半0-0 後半1-1 計1-1
得点:田鎖勇作(フロンターレ) 新倉礼偉(矢板中央)
フロンターレの先発は、GK1青山海、最終ラインは右から2高畠捷、26高井幸大、29浅岡飛夢、25松長根悠仁、8田中慶汰、13田鎖勇作、11鈴木大登(c)、7平田流衣、18五十嵐太陽、9田中幹大
控え:16川合我空 4内海太瑚 5神橋良汰 22徳久湧大 10戸水利紀 30川口達也
34吹田航晟 15入江流星 35五木田季晋
矢板中央の先発:1藤井陽登、25山越結平、3島崎勝也、4新倉礼偉(c)、5小出勇翔、6大畑凜生、16只友大輔、29黒澤光成、8唐橋玖生、15鷹箸浩輔、10多田圭佑
交代:只友→7升田大誠 鷹箸→24林廉人 黒澤→9星景虎 唐橋→21小川心
林→19小森雄斗 山越→2坂本龍汰
控え:12高田翔太 13三河和矢 26太田爽志
(文中敬称略)
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