川崎フロンターレがIAIスタジアム日本平で、清水エスパルスとのJ1リーグ第18節に臨んだ7月17日、静岡市の草薙総合運動場球技場では、東海学生サッカー選手権の3位決定戦と決勝が行われました。
すでに夏の大学サッカー日本一を決める総理大臣杯の出場権を得ている静岡産業大と東海学園大の顔合わせとなった決勝には、2人のフロンターレアカデミー出身の選手も出場しました。
【東海学生サッカー選手権決勝 静岡産業大 vs 東海学園大】
7月17日(土)午後2時キックオフ 草薙総合運動場球技場 晴れ
静岡産業大の先発は、GKキャプテンの16大西将亜、最終ラインは右から2長島武、3武藤圭亮、12馬場俊輔、6川原由斗、ボランチは10平林将弥、5鈴木凱人、右MF13日野仁太、左MF14東山達稀、前線には8佐田正舟、9服部功汰。
服部はフロンターレU-12を経て、多摩大目黒中、多摩大目黒高でプレーした3年生。
一方の東海学園大の先発は、GK1木佐貫峻矢、最終ラインは右から14清野英国、4舌古圭佑、24田中大渉、25安田正宗、ボランチはキャプテンの8山内彰、10小原基樹、右MF13常安澪、左MF11榎本啓吾、トップ下15井堀二昭、前線には9福田望久斗。
フロンターレU-18出身の2年生、常安が先発に名前を連ねました。
中京大が常葉大を2-1で下し、総理大臣杯の出場権を得た3位決定戦に続いての試合。この日は東海地方で梅雨明けが発表され、草薙総合運動場も厳しい暑さに。それでも開放されたメインスタンドには両チームの選手の家族らが集まるなか、試合は始まりました。
立ち上がり、先にゴールへ迫ったのは東海学園大。左サイド、榎本が斜めへ仕掛ける動きでボールを運び、左へ展開。下がり目で受けた小原がエリア左を突くパスを出すと常安がエリア左へ。折り返しは静岡産業大のGK木佐貫に対応されたものの、前線が流動的に動き、テンポよくパスを回していく東海学園大は、直後には右サイドからの攻めに。清野の浮き球に右サイドの高い位置へ流れた福田が切り返し、エリア外右でミドルシュート。サイドネットを叩き、決まらなかったものの東海学園大がいいかたちで試合に入っていきます。
3分には左サイドでのパス回しから、小原がエリア外左へ。ミドルシュートは枠をとらえますが、大西がセーブしていきます。
一方の静岡産業大は4分、フィードに長島がエリア右へ。ボールをおさめきることはできず、シュートには結びつかなかったものの、右SBながらいい飛び出しで、ゴールを脅かす動き。ボールを回していこうとする東海学園大に対して、服部や日野、佐田らが連動してプレスをかけ、ボールを奪い取ろうとしていきます。
それでも、ボールを東海学園大が握る流れは変わらず、6分には榎本とのパス交換から井堀がエリア左へ抜け出し、シュートを放つも右へ。さらに長短のパスと、左サイド、榎本のドリブルを起点にするなどしていく東海学園大。それに対して、静岡産業大もGK大西や武藤、馬場を中心とした守りで対抗。鈴木が正確な前へのパスを通すなどして、打開を図りに。
12分には右サイドでスローインを得ると、長島のロングスローにエリア内、武藤が合わせますが、左へ。
14分には、東海学園大にアクシデント。ファールを受けた左SBの安田がピッチの外へ。いったんはプレーを続行したものの、担架に乗せられ、再びピッチ外へ。
10人となった東海学園大でしたが、17分には左サイドのパス交換からエリア左へ井堀が抜け出し、折り返すなど攻勢は変わらず。18分には安田に代わり28楠本羽翼が入り右SB、清野が左SBに。
19分にはさらに東海学園大、小原の浮き球のパスに、榎本がエリア左へ進入。シュートは大西の好守が阻んだものの、チャンスをつくっていきます。
静岡産業大も、佐田が中盤に下がり、パス交換に加わり、回していくと、間で受けた鈴木の縦パスを、服部がおさめ、左へ展開。東山が高い位置へ上がり、クロス。これは東海学園大の守りに阻まれたものの、好連係を見せ、エリア前のきわどいルーズボールには、服部がひたむきに寄せていき、あわやマイボールに、という場面をつくるなどしていきます。
東海学園大は、榎本を前線、福田を左サイドと位置を入れ替えながら、さらに攻めに。21分には、エリア左を突くパスに、福田が抜け出しシュートを打ちますが、大西がセーブしていきます。
飲水タイムをはさんで、23分には東海学園大、左サイドを榎本が仕掛け左コーナーキックに。キッカーの井堀はショートコーナーを選択。受けた榎本がエリア左へ抜け出していきますが、静岡産業大の守りに、シュートまではいけず。
静岡産業大は、ここから攻めに転じ、鈴木の左サイドを突くパスに、東山が抜け出していきますが、舌古がしっかり体を入れ、対応していきます。
25分には東海学園大、清野のフィードに、福田がエリア内へ。シュートは馬場がブロックするも、セカンドボールをものにし、縦パスを入れていく東海学園大。エリア内へ抜け出した福田に対し、静岡産業大にファールがあり、PKを得ます。
キッカーは福田。ゴール左へ決めて、0-1。先制点をものにしたのは東海学園大。
32分には静岡産業大、武藤のフィードに服部が正面へ。ボールをおさめ、1対1という局面となりますが、オフサイド。それでも隙あらば、という場面をつくりに。
さらに左サイド、東山のいい動き出しで迫る静岡産業大。37分には、小原から右へ展開。楠本の右クロスに、エリア内、うまく抜け出した福田が合わせますが、シュートは上に。
直後には、鈴木が間で受け、最後は正面で平林がミドルシュート。枠をとらえますが、木佐貫がセーブ。
東海学園大も42分には、下がり目で福田が受けて右へ展開。常安が一気に斜めに仕掛け、折り返しますが、静岡産業大はブロック。
43分には静岡産業大、鈴木の左サイドを突くパスに、川原が高い位置へ抜け出し、そのパスに、佐田がエリア左へ。シュートを打ちますが、木佐貫がセーブ。
アディショナルタイムに入り、46分には福田の縦パスに、常安がエリア左へ。しかし、大西の守備が阻み、得点とはならず。全体として、東海学園大がボールを保持、チャンスの量でも上回ったものの、ここぞというところで静岡産業大も決定機をつくっている、という印象で前半はタイムアップ。
0-1でハーフタイムへ。
後半、静岡産業大は日野に代わり7高城葵羅を右MFに入れ、東海学園大はメンバー交代はなし。立ち上がりには、武藤の左サイドを突くフィードに、東山が抜け出し、そのパスに服部がエリア正面へ。再び左へ展開し、受けた川原がクロスを入れていきますが、精度を欠いてシュートにはつながらず。
それでも選手間の距離感が良くなった静岡産業大がギアを高め、東海学園大のエリア近くで時間をつくっていく時間に。しかし、東海学園大もすばやい寄せを見せ、しのいでいくと、5分には山内の縦パスに福田が正面へ。しかし、シュートは静岡産業大がブロック。さらに自ら拾った福田がシュートを打ちますが、右ポストを直撃。
たたみかける東海学園大、直後にはスルーパスに、福田がエリア内へ。これに対して、静岡産業大はファール。再び東海学園大がPKを得ます。
キッカーは福田。この日2度目のPKも決めて、0-2。東海学園大が突き放します。
2点を追いかける展開となった静岡産業大も12分にはエリア右へのルーズボールに、東山が迫りますが、東海学園大の体を張った守りに、得点ならず。
東海学園大も直後には常安が右サイドを仕掛け、いったん静岡産業大にボールが渡ったところを奪い返し、エリア前に仕掛け、そのスルーパスに榎本がエリア左へ。オフサイドとはなりましたが、チャンスメーク。
静岡産業大も服部がおさめ、佐田が左サイドに流れるなどしながら、前に起点をつくりにきますが、シュートには至らず。東海学園大が、正面でボールをカットした山内がエリア内へ進入するなど、ゴールに迫る場面をつくっていきます。
18分には、静岡産業大は服部に代わり11早川諒佑、佐田に代わり17内山田大輝。19分には東山に代わり25加藤政哉。立て続けに選手を交代しますが、なおもうまく間を突き、技術の高さも見せていく東海学園大。小原の右サイドを突くパスに、楠本が高い位置へ抜け出し、その折り返しに常安が迫るなどしていきます。
23分には東海学園大、田中に代わり23和田侑樹。少し間を置いて清野に代わり12嶋津柚杏が入り、最終ラインは右から楠本、嶋津、和田、舌古に。
26分には静岡産業大が左コーナーキックを得て、ニアに入ったボール、加藤が合わせますがこれは上に。さらに加藤が斜めに仕掛けていく静岡産業大。しかし、小原がうまく体を入れマイボールに。小原は右の楠本へ展開。そこから攻めに転じる切り替えの良さも見せていきます。
29分には東海学園大、榎本に代わり18信太英駿。32分には、高い位置でボールをカットした井堀のパスに、福田がエリア右へ。シュートは馬場がブロックし右コーナーキックに
コーナーキックのセカンドボールを拾った東海学園は、エリア外正面、福田が枠をとらえたシュートを打ちますが、大西がセーブ。
33分にはさらに、楠本から右に開いた福田に展開。そのパスに、エリア内正面、うまく常安が抜け出す決定機。シュートは上に外れたものの、うまく連係し、スペースを突く動きでチャンスメークしていきます。
37分、静岡産業大は馬場に代わり19田島千弘、東海学園大は常安に代わり20半田ゲンヤ。静岡産業大はコーナーキックを得るも、それをしのいだ東海学園大がカウンターに持ち込み、抜け出した福田に田嶋がファール、イエローカードを受けるなど、なおも切り替えの部分で東海学園大が上回っていきます。
41分には縦パスに、エリア内へ福田が抜け出しそうになりますが、トラップがやや流れ、大西が最後はセーブ。
42分には静岡産業大、左サイドでスローインを得ると、長島がロングスロー。セカンドボールを拾った平林がエリア外右へ。ここで東海学園大にファールがあり、キッカー平林は右足で直接狙いますが、東海学園大の体を張った守りに阻まれ、決定的なものとはならず。
なおも静岡産業大がサイドに展開し、クロスからゴールを狙う場面が続いていきますが、最後のところの精度を欠き、シュートには結びつかない場面が続いていきます。
アディショナルタイムは4分。48分には東海学園大、嶋津の右サイドを突くパスに、楠本が高い位置へ。右サイドから楠本が入れたボール、うまく間で受けた福田がエリア左へ進入しますが、シュートはブロック。セカンドボールを拾った半田のシュートはサイドネット。3点目とはなりませんでしたが、鋭い攻めを見せる東海学園大。
試合は間もなくタイムアップとなり、0-2。東海学生サッカートーナメントを制したのは東海学園大となりました。
プレーを目にするのは多摩大目黒高時代となった服部は、前線から献身的な守備と隙あらば、一瞬のスピードでゴールに迫る場面をつくり、また、技術力の高い選手たちがそろった東海学園大のなかで、常安も周囲とうまくかかわりあい、さらに個の力でもチャンスをつくりだしていったことにうれしくなるものがありました。
全国の強豪がつどう総理大臣杯でさらにもまれていき、静岡産業大、東海学園大に欠かせないような選手となりますように。
東海地方でそれぞれの道を進む2選手のこれからの活躍をとても楽しみにしています。
前半0-1 後半0-1 計0-2
得点:福田望久斗2=PK2
静岡産業大の先発:16大西将亜(c)、2長島武、3武藤圭亮、12馬場俊輔、6川原由斗、10平林将弥、5鈴木凱人、13日野仁太、14東山達稀、8佐田正舟、9服部功汰
交代:日野→7高城葵羅 服部→11早川諒佑 佐田→17内山田大輝 東山→25加藤政哉 馬場→19田嶋千弘
控え:1稲葉亜我志 23森勇斗 29元田陸 21木原大器
東海学園大の先発:1木佐貫峻矢、14清野英国、4舌古圭佑、24田中大渉、25安田正宗、8山内彰(c)、10小原基樹、13常安澪、11榎本啓吾、15井堀二昭、9福田望久斗
交代:安田→28楠本羽翼 田中→23和田侑樹 清野→12嶋津柚杏 榎本→18信太英駿 常安→20半田ゲンヤ
控え:16岩島巧 22武田幸樹 19金城アンドレ泰樹
(文中敬称略)
This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International License.