予選を勝ち抜いた全国の32チームが競う日本クラブユース選手権は、7月28日グループステージの第3戦を迎えました。
4チームずつ、8グループに分かれ、グループステージを戦うなかで、川崎フロンターレU-18は、カターレ富山U-18、FC東京U-18、サガン鳥栖U-18と同じAグループに。
第1戦は富山に5-0で勝利。第2戦はFC東京に0-3で敗れ、1勝1敗。Aグループは2連勝のサガン鳥栖が首位に立ち、ともに1勝1敗、得失点差で2位のフロンターレと3位のFC東京が追う構図に。フロンターレとしては、勝てばラウンド16へ進めるという状況で第3戦を迎えました。
【川崎フロンターレU-18 日本クラブユース選手権グループステージ第3戦 vs サガン鳥栖U-18】
7月28日(水)午前8時45分キックオフ 敷島公園ラグビーサッカー場 晴れ 35分ハーフ
フロンターレの先発は、GKキャプテンの1青山海、最終ラインは右から2高畠捷、15高井幸大、17浅岡飛夢、6田中慶汰、ボランチは18大関友翔、5田鎖勇作、右MF8秋葉拡人、左MF7入江流星、前線には10五十嵐太陽、9田中幹大。
鳥栖の先発は、GK1大石崇太、最終ラインは右からキャプテンの3安藤寿岐、4岡英輝、2戸田峻平、6中野伸哉、ボランチは5坂井駿也、27林奏太朗、右MF30増崎康清、左MF14福井太智、前線には16大里皇馬、9小西春輝。
心配された台風8号の影響は感じられず、まだ午前9時前というのに、この季節の群馬らしい、からっとした暑さのなか、始まった試合。立ち上がりは、鳥栖がエリア前に動き出す小西や大里を走らせるように、最終ラインから浮き球を入れてくる展開に。
しかし、フロンターレは高井や浅岡がしっかり競り、田鎖や大関もすばやい寄せからマイボールにするなど、コンパクトにして対応。高い位置でフリーキックを得て、セカンドボールも高井がものにし、鳥栖がGKの大石に戻して後ろから組み立てを図る場面では、五十嵐や入江が粘り強く寄せていき、フロンターレボールのスローインにするなど、高い位置でのプレーを試みていきます。
そして、8分、フロンターレは大関が右サイドを突くパスを出すと、田中幹大がうまく体を入れながら突破。これに対して、鳥栖はファール。エリア外右でフリーキックを得ます。
大関のニアを狙ったボールは、鳥栖がクリアし、右コーナーキックに。キッカーは秋葉。右足でボールを入れると、ニアで田中幹大が折り返したボールは、遠いサイドへ。これを五十嵐が頭で押し込み、1-0。フロンターレにとっては、大きな先制点。ピッチ上の選手はもちろん、ベンチから見守っていた控えの選手たちも大いに沸きます。
フロンターレは、ラインを高く保ち、浅岡や高井がときには高い位置へ。中央では大関や田鎖がボールをカットし、左サイドを突くパスに対しては、田中慶汰や浅岡が粘り強く体を入れていき、攻める場面をつくらせず。17分にはフィードに、大里がエリア前に抜け出そうとしますが、浅岡がここでも粘り強く対応していき、最後は大里のファールに。鳥栖も林や坂井がボールを動かしていくものの、攻め手を与えずに、試合は飲水タイムへ。
飲水タイム明け、田鎖が最終ラインの間に下り、高井や浅岡とかかわりあいながら左右にボールを動かしていくフロンターレ。入江や田中慶汰に加え、うまく五十嵐も左サイドへ流れ、仕掛ける姿勢を見せるなどしながら、ゴールへ向かっていきます。
鳥栖もラインを高め、坂井の左サイドを突くパスに、中野が抜け出しそうになりますが、高畠がしっかり寄せ、ゴールへは向かわせず。さらにボールを預けたところから最終ラインの戸田がエリア前に顔を出すなど、厚みのある攻めを見せてくる鳥栖。しかし、坂井のミドルシュートをブロックするなど、体を張ったプレーをフロンターレは続けていきます。
27分には鳥栖、坂井から右へ展開。仕掛けた増崎が折り返しますが、エリア内で田鎖がカバー。直後には、フィードに中野が左サイドの高い位置へ。折り返したボール、エリア内へ、大里が迫りますが、ここでも田鎖がカバー。集中力を保った守りを見せていきます。
さらに鳥栖がうまく前に持ち出す小西らを起点に、攻めていこうとするのに対し、フロンターレは五十嵐や田中幹大、中に寄った入江や秋葉もチェックにいき、しっかりそのプレーに向き合っていきます。
32分には、大関に代わり14大瀧螢が入りボランチに。早い時間での交代はアクシデントをうかなわせるもの。しかし、直後には右サイド、エリア内へ仕掛ける動きを見せた安藤に対して、カバーしたのは大瀧。しっかり試合へ入っていきます。
鳥栖はコーナーキックを得て、セカンドボールを拾い、中野が左クロスを入れると、エリア内、小西がバックヘッドで合わせるシュート。ボールはゴール右をとらえますが、青山が手を伸ばし、弾き出す好セーブ。さらにコーナーキックからゴールを狙う鳥栖でしたが、坂井が入れてきた際どいボールに対して青山が粘り強く手を伸ばしていき、こぼれ球には浅岡がしっかり対応していき、前半はタイムアップ。1-0でハーフタイムへ。
後半、鳥栖は右SBに中野、左SBに安藤と入れ替えてのスタート。立ち上がりから左サイドへ大里が流れ、前に起点をつくろうとする鳥栖でしたが、田中慶汰がカバー。
2分には右サイドからの攻めに。高畠が高い位置へ。ピッチ脇から見守っていたフロンターレの控えの選手たちの「上げちゃえ!」という声に背中を押されるように、切り返した高畠が右クロスを上げると、ニアで頭で合わせたのは秋葉。ボールはゴールのなかへ。2-0。突き放したのはフロンターレ。
鳥栖は裏を突くパスや浮き球を入れ、打開を図りにいきますが、田中慶汰や高井がうまく体を入れる粘り強いプレーでそれをさせず。6分には大瀧から右サイドへ展開。秋葉から高畠へつながり、高畠のクロスのセカンドボールを拾い、左へ展開。入江から田中慶汰とつないで、両サイドから厚みのある攻めを試みていきます。
鳥栖は、小西に代わり18鬼木健太。
流れを変えようとしてくる鳥栖に対し、ときには五十嵐や田中幹大も自陣の低い位置まで戻るなどし、コンパクトに対応していくフロンターレ。11分には中央、秋葉のスルーパスに正面へ田中幹大が抜け出し、エリア外から狙いますが、シュートはGK大石がセーブ。
さらに13分には、フリーキックのセカンドボールを高井が高い位置で拾い、右サイドを突くパス。攻め残っていた浅岡が右クロスを上げると、遠いサイド入江が折り返し、ゴール左で田中幹大がシュート。これは枠はとらえられませんでしたが、左右に翻弄するように、フロンターレは決定機をつくっていきます。
鳥栖は17分、増崎に代わり10中村尚輝。
飲水タイムをはさんで、縦にボールをつけてくる鳥栖に対し、浅岡が競ったボールを田鎖が拾い、そこから左へ展開するなど、しっかりつながりをもって対応していくフロンターレ。22分には鳥栖、右コーナーキックを得ると、セカンドボールを拾い、右クロスに戸田が頭で合わせますが、左へ。
ここで鳥栖はさらに交代。大里に代わり22木戸晴之輔。鳥栖は最終ラインからの組み立てを図りながら、攻めを試みていきますが、フロンターレは五十嵐や田中幹大が厳しくプレス。25分には、持ち上がった安藤の左サイドを突くパスに、鬼木がいい動き出しを見せますが、高畠が好カバー。守りで上回っていきます。
鳥栖にボールを持たれても、焦れずに対応、中央で五十嵐や大瀧の連係からマイボールにし、大瀧のサイドを突くパスを受けた入江が仕掛ける姿勢を見せるなど、守備から攻めへのつながりを持たせていくフロンターレ。相手にボールが渡っても、高井がしっかりカバーしカウンターを許さないなど、いい対応を続けていきます。
27分には、入江に代わり、32岡野一恭平。直後には鳥栖、左サイドでのスローインに、斜めに木戸がエリア内へ抜け出そうとしますが、高井が対応。シュートは打たせずにゴールキックに。
フロンターレはさらに田中幹大が競ったボールを拾った秋葉がエリア前に仕掛けていくなど、攻めの姿勢も見せながら、鳥栖がボールを動かしていこうとする場面でも、崩れずに対応を続けていきます。
鳥栖は右SBに安藤、左SBに中野と再び入れ替え。中野が高い位置で受けてクロスを上げる場面こそつくりますが、なかなか決定的なものにはならない場面が続いていきます。
32分には、フロンターレ、五十嵐に代わり13久保田大吉。高い位置で久保田が厳しいチェックを見せるなどしていくフロンターレ。33分には、ルーズボールを中央で拾った大瀧が浮き球をエリア前に入れると、これをおさめた久保田が正面でシュート。上に外れてしまいましたが、ここぞというところでチャンスをつくっていきます。
アディショナルタイムに入り、右サイドで秋葉や田中幹大がボールをキープ。久保田や岡野一が高い位置でプレスにいくなどしていき、高畠も自陣の右サイドでしっかりカバーを続け、試合はついにタイムアップ。2-0。FC東京vsカターレ富山は2-1で終わったため、フロンターレは1位でグループステージ突破を決めることになりました。
前半1-0 後半1-0 計2-0
得点:五十嵐太陽、秋葉拡人
フロンターレの先発:1青山海(c)、2高畠捷、15高井幸大、17浅岡飛夢、6田中慶汰、5田鎖勇作、18大関友翔、8秋葉拡人、7入江流星、10五十嵐太陽、9田中幹大
交代:大関→14大瀧螢 入江→32岡野一恭平 五十嵐→13久保田大吉
控え:33濱﨑知康 20松長根悠仁 24吹田航晟 34岡崎寅太郎
鳥栖の先発:1大石崇太、3安藤寿岐(c)、4岡英輝、2戸田峻平、6中野伸哉、5坂井駿也、27林奏太朗、30増崎康清、14福井太智、16大里皇馬、9小西春輝
交代:小西→18鬼木健太 増崎→10中村尚輝 大里→22木戸晴之輔
控え:41長瀬太陽 17竹内諒太郎 21山本楓大 26堺屋佳介
「FC東京に0-3で敗れた時に、いま変えられること、時間をかけないと変えられないことを整理し、FC東京さんから、技術の前に戦う気持ちが大切だと。大切なものを見失ってはいけないと学んだ」(長橋康弘監督)というフロンターレ。
試合が終わったあとには、「ナイスベンチ!」。さらにはスタンドから戦況を撮っていた選手たちに、「ナイスビデオ係!」といった声もかけられるような、チーム一体となっての戦いぶりが心に残る試合となりました。
「無観客でやっていますけど、たくさんの方々が試合を見ていることを選手たちは知っている。いろんな人の想いを感じてやっています。引き続き応援よろしくお願いします」と長橋監督。
「2試合なかなか出せなかった一体感を、ベンチも含めて出すことができました。ベンチの選手たちにはもっともっとやってもらいたいくらい。連戦できついけど、しっかり引き締めていきたい」とキャプテンの青山。
「映像でしか応援できないけれど、結果で、優勝という結果でサポーターの方々と喜び合えるように。一発勝負なので、フロンターレらしくというよりも、結果にこだわって、やっていきたいと思います。応援よろしくお願いします」と次戦へ向け、意気込んでくれました。
フロンターレのラウンド16の対戦相手は名古屋グランパスU-18。この日のような戦いぶりを、さらには、この日を上回るような素晴らしい試合ぶりをフロンターレが見せていきますように。多くのサポーターが楽しみにしています。
(文中敬称略)
This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International License.