8月27日、川崎フロンターレU-18は、延期となっていたプリンスリーグ関東の第6節に臨み、前橋育英と対戦しました。
第6節は、本来5月9日にフロンターレのホームで行われる予定だったのが、延期に。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、10月9日の第15節をフロンターレのホームゲームとして開催し、前橋育英高崎グラウンドで行われることになりました。
なお、この記事は前橋育英に取材を依頼、了解を取ったうえで書かせていただきました。取材を承諾していただき、ありがとうございました。
【川崎フロンターレU-18 プリンスリーグ関東第6節 vs 前橋育英】
8月27日(金)午前9時半キックオフ 前橋育英高崎グラウンド 晴れ
ここまで8試合を終え、7勝1敗、得点16、失点7、得失点差は+9、勝ち点21で首位に立つフロンターレ。先発は、GKキャプテンの1青山海、最終ラインは右から2高畠捷、15高井幸大、20松長根悠仁、6田中慶汰、ボランチは5田鎖勇作、18大関友翔、右MF8秋葉拡人、左MF7入江流星、前線には9田中幹大、10五十嵐太陽。
6勝1分け1敗、得点28、失点6、得失点差+22、勝ち点19、2位につける前橋育英。先発はGK1渡部堅蔵、最終ラインは右から2岡本一真、5柳生将太、キャプテンの4桑子流天、6岩立祥汰、ボランチは7根津元輝、14徳永涼、右MF11渡部亮平、左MF23小池直矢、前線には24高足善、9守屋練太郎。
日差しが照りつけ、厳しい暑さの前橋育英高崎グラウンド。例年のように、クイーンのウィー・ウィル・ロック・ユーや、ボーン・トゥー・ラブ・ユーといった耳になじんだ歌が流れるなか、選手たちはアップを速め、そして、キックオフの時を迎えました。
立ち上がりは、前橋育英が前から厳しいプレスをかけていく展開に。4分には左サイドでのスローインを得た前橋育英、守屋が一気にエリア内に仕掛けていきますが、高井がブロック。5分にはエリア前への浮き球に、守屋が1対1になりそうになりますが、青山が前に出てクリア。
なかなかセカンドボールをものにできず、いい形で動かすことができないフロンターレに対して、ダイレクトで浮き球を入れるなどして、揺さぶりにくる前橋育英。7分にはさらに、岩立がダイレクトで入れた浮き球に、エリア前にうまく守屋が抜け出しそうになりますが、ここでも松長根がカバー。前にいけないなかでも集中力を保ち、対応していきます。
さらに前橋育英は、根津がボールをカットしたところから縦につけたり、マイボールにした徳永涼が、前線へ動き出す守屋を狙い、きわどい浮き球を入れるなどしていきますが、フロンターレは松長根や高井らがカバーしたり、最後のところで体を張ったりして、しのぎ、田中慶汰も前橋育英、小池の右サイドを突くパスに対して、カバーリングを見せるなど、決定的なシュートは打たせずに16分、最初の飲水タイムを迎えます。
飲水タイム明け、コンパクトにし、田中幹大や五十嵐もうまく守備で対応していくなど、前橋育英の攻めに向き合っていくフロンターレ。
すると20分、フロンターレは、左サイドで入江がボールをカット。入江は前橋育英のファールを受けながらも、主審はアドバンテージを取り、粘り強く運び、ボールは五十嵐へ。五十嵐はエリア左へ仕掛けていき、前橋育英のGK渡部が前に出て阻もうとしたところを見て、角度のないところからシュートを打つと、これが決まり、1-0。最初のチャンスをものにしたのはフロンターレ。大きな先制点をものにします。
追いかける展開となった前橋育英は、岩立、岡本がそれぞれ高い位置取りで、ラインを高め、クロスを入れていきますが、シュートにはつながらず。
立ち上がりから続いた前橋育英のプレスをしのいでいったフロンターレは、大関や田鎖、最終ラインの高井や松長根がボールを動かす場面をつくれるように。
23分には田鎖、大関と中央でつなぎ、大関がエリア左を突くパスを送ると、抜け出した入江が仕掛けて、左コーナーキックを得ます。
キッカーは秋葉。右足でボールを送ると、遠いサイド、頭で合わせたのは高井。ボールは、手を伸ばした渡部の頭上を抜くかたちでゴールへ決まり、2-0。フロンターレが突き放します。
直後には前橋育英、徳永涼がボールを奪い、浮き球を入れるも、高井や松長根がエリア内で対応。さらにセカンドボールを拾った守屋がエリア右でシュートを打ちますが、田中慶汰の体を張った守備で右コーナーキックに。
岩立が右足で入れたボールに、渡辺亮平が合わせますが、枠はとらえられず。
フロンターレはさらに田鎖や大関、高井や松長根がボールに多く触れ、松長根のサイドチェンジを右サイドで秋葉がおさめ、駆け上がった高畠を狙い縦パスを入れるなど、うまく連動しながら攻めを試みていきます。
30分には、エリア左でルーズボールをカットした田中幹大がシュートに持ち込むも、前橋育英はブロック。さらに再びマイボールにした田中幹大のパスに、エリア正面へ走り込んだ入江がシュート。渡部のセーブに阻まれたものの、高い位置からの守備でフロンターレは決定機をつくっていきます。
32分には、さらにフロンターレ。大関が中央でボールをカット。そのパスを受けた五十嵐がエリア正面やや左へ仕掛けて、シュートを打つもポストに。
これで得た左コーナーキック、秋葉が右足でボールを入れると、正面へこぼれたボールを拾った田中慶汰がミドルシュート。枠をとらえますが、渡部がセーブしていきます。
33分にとられた2度目の飲水タイム明け、前橋育英は、根津の右サイドを突くパスを受けた守屋が、エリア外右でミドルシュートを打ちますが、左に。さらにラインを高め、高足が縦にうまく仕掛けていくなどしてくる前橋育英。それでもフロンターレは、大関がファールを取られずにうまくボールを奪い取ったり、徳永涼のエリア左を突くパスに対しては、高畠や高井がうまくカバーしたりするなど、攻撃の芽を摘んでいきます。
前橋育英が、岩立の仕掛けや、コーナーキックなどからゴールに迫る場面は続き、43分には右サイド、岡本がボールをカットし、そのスルーパスに、守屋がエリア右へ。しかし、青山がカバー。さらに拾った渡辺亮平が仕掛けていきますが、これをブロック。アディショナルタイムには、前橋育英、岡本のスルーパスに守屋がエリア内へ抜け出しますが、高畠が中へしぼり、カバー。前半は2-0。フロンターレがリードして、ハーフタイムとなります。
後半、立ち上がりはうまく小池が間で受け、縦に仕掛け、さらには岩立も高い位置からドリブルでエリア内への進入を試みるなど、前橋育英がゴールの前に迫りますが、フロンターレはコンパクトに。秋葉がエリア内に戻り、カバーしていくなどし、チャンスはつくらせずに対応していきます。
すると3分、フロンターレは大関の縦パスに五十嵐が正面へ。前橋育英の寄せをうまくターンで剝がし、主審のアドバンテージも得て、エリア内へ。シュートを打つとボールはゴールのなかへ。3-0。さらにフロンターレが突き放します。
秋葉のスルーパスに、田中幹大がエリア内へ抜け出しそうになるなどチャンスをつくり、前橋育英の岩立のエリア内への左クロスに対しては、田中慶汰ががしぼって対応するなど、攻守にプレーを重ねていくフロンターレ。
8分には田鎖から左へ展開。受けた入江が斜めに仕掛けて、エリア内へ。最後は前橋育英の守りに阻まれたものの、4点目を狙う姿勢を見せていきます。
前橋育英も柳生、桑子が開いて、時には渡部がエリア外へ出て、ボールにかかわり、ラインを高めて攻めを試みていきますが、右サイドのスローインに縦に仕掛けようとした高足に対して、田中慶汰が粘り強い守りを見せ、エリア前への浮き球に、抜け出しそうになった守屋に対して、高井がうまく寄せていき、最後は青山がボールを抑えるなど、集中して対応していきます。
13分には、フロンターレに最初の交代。大関に代わり、14大瀧螢。
ここから前橋育英がサイドに展開し、斜めにエリア前に仕掛ける動きで迫り、ボールをおさめた小池がエリア外左へ持ち込んでクロスを入れるなどしていきますが、田鎖が1対1でボールを奪い取ったり、エリア内で高井や松長根がしっかりクリアにいき、しのいでいきます。
マイボールにすると、大瀧も高い位置へ飛び出していくなど、切り替えの良さを見せていくフロンターレ。17分には、五十嵐がやや左サイドを仕掛け、中央の田中幹大へパス。田中幹大は右へ展開し、ボールは秋葉へ。しかし、秋葉の折り返しは前橋育英がブロック。直後には高畠が右サイドでボールをカット。そのパスに、大瀧がエリア右へ仕掛けていき、折り返すと、最後は秋葉がミドルシューを打つも、これは上に。
後半最初の飲水タイムが明けた21分には、前橋育英。岡本が高い位置へ仕掛けてクロス。遠いサイド、小池が迫りますが、高畠が寄せにいき、マイボールにしていきます。
24分にはフロンターレ。高畠から秋葉とつなぎ、五十嵐が右サイドの高い位置へ。そのパスに、入江がエリア内へ飛び出しますが、前橋育英はクリア。
直後には、秋葉のエリア左を突くパスに抜け出した入江が仕掛け、前橋育英がブロックしたところ、セカンドボールを正面で拾った田鎖がミドルシュート。ここでも前橋育英の体を張った守備に遭い、右コーナーキックに。
秋葉が入れたボール、ニアで田鎖が合わせますが、上に。4点目とはならずも、フロンターレがエリアまでのプレーを重ねていきます。
前橋育英は、26分、根津に代わり17大竹駿、渡辺亮平に代わり8鈴木太智、高足に代わり13鈴木楽維夢、守屋に代わり20池田風真と一気に4人を交代。
すると28分、前橋育英は岡本が中央を持ち上がり、スルーパス。これにエリア内へ抜け出した小池のシュートが決まり、3-1。点差は2点に。
直後には鈴木太智が間で受け、リターンを受けた徳永から左へ展開。岩立のスルーパスに池田がエリア左へ飛び出しますが、高井が対応していきます。
フロンターレはここで入江に代わり、32岡野一恭平。
さらに前橋育英がエリア前へ縦につけるなどして、迫る時間は続き、31分には、鈴木楽維夢がボールをキープ。リターンを受けた鈴木太智がシュートを打ちますが、松長根がブロック。
後半2回目の飲水タイムが明け、34分には前橋育英、スルーパスに、小池がエリア内へ。シュートは青山が防ぐも、セカンドボールを拾った前橋育英がさらに迫る時間に。それでもフロンターレは、松長根や高井らを中心にしのいでいきます。
なかなかフロンターレがボールを握ることができないのに対して、前橋育英が両サイドを使い、セカンドボールを拾い、きわどいスルーパスなどから迫る時間は続き、38分には右クロスからエリア左で決定的なシュート。しかし、松長根に加え、田中慶汰がゴール前をカバー。
39分には、前橋育英、小池に代わり18早川凌介。40分にはフロンターレ、右サイドで五十嵐がボールをカット。シュートに持ち込みますが、渡部がセーブ。
すばやく攻めに転じた前橋育英は、早川が一気にエリア左へ。しかし、ここでも最後のところで体を張った守りを見せ、青山がセーブしていきます。
フロンターレは高畠に代わり24吹田航晟が右SB、秋葉に代わり13久保田大吉を入れ前線、田中幹大を右に。岡野一が自陣のエリア近くをカバー。吹田も右サイドで体を張り、コンパクトに。また、前橋育英が最終ラインからの組み立てを図る場面では、久保田が厳しいプレスをかけていきます。
アディショナルタイムに入り、前橋育英の攻めをしのいで、右サイドでマイボールにしたフロンターレ。大瀧から受けた久保田が運び、うまくキープ。最後は高い位置で時間を使えるようになり、試合はタイムアップ。3-1。フロンターレは8勝1敗に。計18試合が行われるプリンスリーグ関東の前半戦を、首位で折り返すことになりました。
前半2-0 後半1-1 計3-1
得点:五十嵐太陽2、高井幸大(フロンターレ) 小池直矢(前橋育英)
フロンターレの先発:1青山海(c) 2高畠捷 15高井幸大 20松長根悠仁 6田中慶汰 5田鎖勇作 18大関友翔 8秋葉拡人 7入江流星 10五十嵐太陽 9田中幹大
交代:大関→14大瀧螢 入江→32岡野一恭平 高畠→24吹田航晟 秋葉→13久保田大吉
控え:菊池悠斗 17浅岡飛夢 26溝田大和 30由井航太 34岡崎寅太郎
前橋育英の先発:1渡部堅蔵 2岡本一真 5柳生将太 4桑子流空(c) 6岩立祥汰 7根津元輝 14徳永涼 11渡辺亮平 23小池直矢 24高足善 9守屋練太郎
交代:根津→17大竹駿 守屋→20池田風真 渡辺→8鈴木太智 高足→13鈴木楽維夢 小池→18早川凌介
控え:31須永大進 3徳永崇人 6秦英志
試合後には、五十嵐の来季のトップチーム加入内定、高井の2種登録が発表になりました。
五十嵐は、苦しい時間帯を打開する先制点、加入内定のコメントにもあるように、特徴であるボールを受けてからのターンが結びついた2点目について、「うまくキーパーが前に出ているところを確認して決めることができた」「2点目も靴がひっかかってしまって、脱げてしまったけどうまく入ってよかった」。
3-1での勝利にも、「試合内容的には、あまり良くなかったけど、みんなで守り、自分と高井が決めることができて良かった」「押される時間も多かったけれど、交代で入った選手も走ってくれて、勝利することができました」と振り返ってくれました。
なかなかサポーターが観戦することのできない今シーズンについては、「結果で示すしかない。見に来てくれる試合も制して、絶対にプレミアリーグに昇格したい。今年しかないと思っているので」と、語ってくれました。
上位対決を制した大きな勝利にも、喜びをあらわにすることはなかった様子が、印象的だったフロンターレの選手やスタッフ。苦しい試合を制したことを通して、さらにこれからどんなチームをつくりあげていくのか、とても楽しみです。
(文中敬称略)
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