12月25日はJグリーン堺へ。高円宮杯全日本U-15サッカー選手権大会は準々決勝。京都サンガF.C. U-15との2回戦を3-0で制した川崎フロンターレU-15は、セレッソ大阪U-15を延長戦の末に下した青森山田中学校との試合に臨みました。
【川崎フロンターレU-15 高円宮杯全日本U-15サッカー選手権大会準々決勝 vs 青森山田中学校】
12月25日(火)午後1時20分キックオフ Jグリーン堺天然芝フィールドS1 40分ハーフ
FC東京U-15深川が試合終了間際のゴールで、湘南ベルマーレを3-2で下したのに続いての試合。
フロンターレの先発は、GK21青山海、最終ラインは右から2高畠捷、23高井幸大、3田鎖勇作、25松長根悠仁、ボランチは8秋葉拡人、キャプテンの10小室愛樹、右MF22石原央脩、左MF18入江流星、FW11五十嵐太陽、9田中幹大。
青森山田中の先発は、GK1内田将弘、最終ラインは右から2磯部翔、3福田南波、4三輪椋平、5齋藤隆仁、中盤の底に6宇野禅斗、その前にキャプテンの10松木玖生、18長阪椎真、右に9藤森颯太、左に7小野暉、前線には11川口大空。
好天に恵まれ、穏やかな気候のJグリーン堺。平日とあって2回戦まではにぎやかに応援を繰り広げた青森山田の応援団こそいないものの、両チームの選手の家族らが見つめるなか、試合は始まりました。
立ち上がり、攻勢に出てきたのは青森山田。2分には右サイドの高い位置へ川口が流れ、スローインを得ると、藤森のロングスローからエリア右へ走り込んだ長阪がシュート。サイドネットに当たり、枠はとらえられませんでしたが、フロンターレのゴールをおびやかしていきます。
直後には、フリーキックのこぼれ球を拾った松木がエリア外正面からミドルシュート。これは青山がしっかりセーブ。さらに6分にはエリア右に藤森が進入。エリア内へ青森山田が折り返しのボールを入れますが、高畠が好カバー。シュートは打たせず。
さらに青森山田は、左サイドの小野をエリア左へ向かい、走らせにいきますが、高畠がカバー。厳しいプレスを受けながらも青山にしっかりつなげ、マイボールの時間をつくりにいきます。
しかし、8分、青森山田は右サイドの高い位置でボールを受けた藤森が左足で遠いサイドに向かってクロス性のシュートを放つとこれがゴールへ吸い込まれるようにして決まり、0-1。先制点は青森山田へ。
畳み掛ける青森山田は、川口がエリア外左からエリア前に向かって仕掛けたり、両サイドに藤森や小野を走らせ、長いボールを入れ、揺さぶりに。フロンターレは松長根が粘り強く対応したり、田鎖がエリア内に進入しようとする川口から、うまくボールを奪い取るなどし対峙していきます。
青森山田が出足の良さで上回り、なかなかエリア近くに行くことのできなかったフロンターレも、石原が自陣のエリア右でマイボールにしたところから一気に縦へ持ち上がり、秋葉、前の五十嵐とすばやく縦にパスを入れていきますが、青森山田の戻りが速く、シュートまでは持ち込むことはできず。
14分には青森山田、GK内田のフィードにエリア外右へ抜け出した藤森がエリア内に向かって仕掛けていきますが、田鎖が粘り強く対応。
17分にはフロンターレ、右サイドからの攻めに。エリア外右で石原がボールをキープ。人をかけ、攻めにいき、田中幹大のパスにエリア右に石原が抜け出ようとしますがクリア。
青森山田は、さらにロングボールで揺さぶりながら、松木や長阪が前線の選手とかかわって、ゴールに迫りに。フロンターレは、高井が松長根につながるようなかたちでクリアするなど、よく対応。18分にはエリア右に進入した藤森が、正面の長阪を狙い、折り返しますが、エリア内に戻った小室がクリア。青森山田の選手に当たり、フロンターレのゴールキックとなります。
小室が田鎖、高井の間に下り、高畠が高い位置取りになるなどして、攻めに出ていこうとするフロンターレ。23分には小室が中央を持ち上がり、五十嵐へ縦パスをつけ、そこから右へ。高畠からボールを受けた石原が粘り右コーナーキックに。
コーナーキックのこぼれ球を拾った高畠は、石原が右サイドの高い位置へ流れて空けたスペースを使い、エリア前に。スルーパスを狙いますが、ボールはカット。
決定的な場面にはなかなか至らないフロンターレに対して、青森山田は24分、左コーナーキックを得ると、松木が左足で入れたボール、遠いサイドで宇野が合わせますが左へ。
直後にはフロンターレ、高畠や田中幹大、石原がかかわり、右サイドからゴールへ迫っていくと、エリア正面でボールを受けた秋葉が、エリア左へ動き出した入江を狙い、スルーパスを出しますが、青森山田はこれをカット。
そこから青森山田は、右サイドに展開し、藤森が縦へ仕掛け、エリア右へ。藤森が折り返すと、ゴール前に磯部が詰めますが、高畠がここでも好カバーを見せ、右コーナーキックに。
青森山田は、コーナーキックのこぼれ球を拾った松木のクロスに、福田が飛び込みますが、触ることはできず。フロンターレはしのいでいきます。
セットプレーを糸口にして何とか決定的な場面をつくろうとするフロンターレ。しかし、高畠のフリーキックを高井が折り返すなどするものの、ゴールをおびやかすことはできず。
30分には、青森山田。松木がエリア外正面やや右でこぼれ球を拾い、ミドルシュートを打ちますが、青山がよく触り、追加点とはさせず。
さらに川口が縦へ仕掛けるなどしてくる青森山田。フロンターレはそれでも田鎖が松長根につなげにいき、最終ラインから打開を図ろうとしていきます。
36分には青森山田は長阪に代わり8田澤夢積。
フロンターレはラインを高め、高畠や石原が右サイドの高い位置へ。エリア正面で秋葉が前を向き、エリア右にパスを出そうとしますが、ここも青森山田の出足の良さが上回り、ボールはカット。
さらに松長根、高井の連係から青森山田の長いボールに対応し、ボールを拾った石原が縦へ。五十嵐にわたり、五十嵐がエリア左、秋葉を狙い、パスを出そうとするも青森山田はクリア。39分には左サイドでのスローインから五十嵐が高い位置で粘り、左コーナーキックを得ると、秋葉が右足で入れたボール、ファーで折り返し、最後は押し込みますが、オフサイド。同点にはならず。
前半は0-1でタイムアップとなります。
後半、青森山田は川口に代わり25本田真斗が入り、小野を前線、左に本田が入ってのスタートに。
立ち上がりから、青森山田は時には最終ラインが磯部、福田、三輪の3人に。齋藤が高い位置取りで3バックのような形に。サイドからの攻めを強めていくと、2分には、小野がエリア左から折り返し、ゴール前、田澤がシュートに持ち込みそうになりますが、秋葉がカバー。直後にはエリア左、抜け出した小野が今度はシュートに持ち込みますが、青山がセーブ。
さらに松木が高い位置でボールをものにして、本田の左クロスにつなげたり、右から藤森がゴールへ向かって仕掛けていくなど、青森山田が迫っていくも、フロンターレは松長根がクロスや藤森の仕掛けに対して、よく対応。
5分には、またも高い位置から青森山田、藤森が折り返しますが、これには青森山田の選手も誰も触ることはできず。
フロンターレも田中幹大が競ったボールを、五十嵐が右サイドで拾い、仕掛けていったり、中央に寄った入江がマイボールにするなどして攻めの時間をつくりに。9分には秋葉のスルーパスに、高畠が右サイドの高い位置へ。高畠とのパス交換からエリア右、石原がシュートに持ち込むも、GK内田がセーブ。
さらに秋葉や小室が中央でボールをものに。入江が左サイドからエリア前に仕掛けるなどして、ゴールへ向かっていくフロンターレ。小室がうまく間でボールを受け、ボールを持ち上がり、五十嵐や高畠が相手陣内でボールを奪って攻撃へつなげるなどしていきます。
13分には秋葉、入江、田中幹大と縦へつながり、右へ展開。エリア右でリターンを受けた田中幹大がシュートを打つも、青森山田のブロックに遭い、枠へは飛ばせず。
直後には青森山田。コーナーキックをしのいで攻勢へ転じると左クロスがエリア内へ。藤森と位置を入れ換え、右に移っていた本田がゴール前に入り込み、押し込んで0-2。フロンターレは突き放されてしまいます。
フロンターレはここで田鎖が前線へ上がり、田中幹大と並ぶかたちに。小室が最終ラインへ入り、その前に秋葉、二列目は石原、五十嵐、入江に。
しかし、なおもゴールへ迫るのは青森山田。17分には左サイドの高い位置へ抜け出した藤森からエリア右へ。本田がシュートを打つも上に。
フロンターレは右に五十嵐、中央に石原と位置を入れ換え。23分には五十嵐の右クロス、田中幹大が競り、最後は田鎖がシュート。しかし、オフサイドに。
直後には青森山田。左サイドからの攻め、最後はエリア正面で田澤がシュートを打つも右へ。
フロンターレも高井が競ったボールを中央で入江が拾い、縦へ仕掛け、エリア外正面で青森山田のファールを受け、フリーキックを得ると秋葉が直接狙いますが、上に。
フロンターレは青森山田ボール時には、最終ラインは右から高畠、高井、小室、松長根、入江と5バックのように。秋葉が中央でフリーでボールを受け、前を向き、田鎖が左サイドの高い位置へ仕掛け、コーナーキックを得るなど、青森山田陣内でのプレーを増やしに。
青森山田もサイドからの攻めに持ち込み、29分には右から折り返しのボールがエリア前に入りますが、石原がこれには対応し、そこからフロンターレは攻めに。エリア外右、田中幹大がシュートを打つも上へ。
フロンターレは、さらに小室のフリーキックをエリア内で田鎖が競るなど、ゴールの前に。また中央でボールをものにする場面を増やしていくと、30分、中央の五十嵐からエリア左へ動き出した入江へ。入江がゴールへ流し込み、1-2。フロンターレに反撃のゴールが入ります。
フロンターレはさらに田鎖や秋葉がかかわり、中央でマイボールにするなどし、青森山田のゴールの前へ。右に展開すると、石原が上げたボール、高畠が頭でシュートを打つもブロック。
フロンターレは34分、石原に代わり15南暖。田中幹大、田鎖の後ろに南、五十嵐が入るようなかたちに。青森山田は田澤に代わり16馬場翔太。
フロンターレは、松長根や小室が、田鎖や田中幹大へ浮き球を入れるなどして攻めを図りに。
36分には松長根の左クロス、エリア右で田鎖が頭でボールを合わせると、ボールはゴール左へ。クロスバーに当たり、ゴールの中へ向かっていくも入りきらず、得点とはならず。こぼれ球を拾い、エリア左、田中幹大からエリア右、高畠へパスが出るもGK内田が阻み、惜しくもシュートは打てず。
青森山田もマイボールにすると、藤森が左サイドからエリア前に持ち込もうとしますが、小室がカバー。しっかり高畠につなげ、守備から攻めへ。37分には五十嵐の右クロス、田鎖がエリア内でおさめ、エリア右、田中幹大がシュートを打つも青森山田のブロックに遭い、右コーナーキックに。
さらにコーナーキックのセカンドボールも拾い、盛んに浮き球を入れ、揺さぶりにいくフロンターレ。38分、フロンターレは右サイドからの攻めに。
高い位置で南が左足でクロスを入れると、ニアで頭で合わせたのは田鎖。ボールは今度はゴールネットを揺らして、2-2。ついにフロンターレが同点に。ユニホームを脱ぎ、ピッチ脇でアップをしていた選手たちのもとへ飛び込む田鎖、そして、フロンターレの選手たち。喜びをみんなで分かち合います。
フロンターレは田鎖を最終ラインに戻し、小室が最終ラインのやや前に。
ロスタイムは3分。ゴールの前へ顔を出す松木に対し、小室、秋葉との連係からボールを奪い取るなどして攻撃の芽を摘み、前線の五十嵐、田中幹大が仕掛けてゴールを目指していくフロンターレ。
43分には青森山田、ロングボールを入れていくと、エリア左、本田がシュートを打ちますが、青山がセーブ。後半はタイムアップ。試合は前後半計20分の延長戦へ。
延長前半、青森山田は本田に代わり19中川勇輝。フロンターレは再び田鎖が前線へ。
エリア前では高井、松長根らが当たり負けせず、青森山田の選手と競っていくフロンターレ。3分には青森山田、中川が左サイドの高い位置へ進入しますが、ゴール前へ送ったボールは、高井がカバー。エリア内に戻ってきた高畠に落ち着いてつなげていきます。
さらに浮き球を入れ、攻めを図りにくる青森山田。しかし、フロンターレは松長根が入江にしっかりつなげ、こちらもよく対応。
マイボールの時間をつくっていくフロンターレ。3分、右サイドのスローインを受けた田中幹大がエリア外右へ持ち込むと、青森山田の選手のハンドがあり、フリーキックに。高畠がエリア内へボールを入れると、青森山田にファールがあり、フロンターレはPKを得ます。
キッカーは田中幹大。シュートはゴール右へ。揺れるゴールネット。3-2。ついに逆転したフロンターレ。ピッチ脇で呼び寄せるように手招きする選手たち。そして、そのもとへ田中幹大を先頭に飛び込むフロンターレの選手たち。選手もスタッフも、そしてスタンドから見守っていたベンチ外の選手たちも家族もサポーターも喜びに沸き立ちます。
直後には、青森山田、エリア正面へ小野が持ち込み、シュート。左へそれましたが、ゴールへ迫りに。
フロンターレは守りに入らず、南が右サイドを駆け上がり、田中幹大のボールキープから、五十嵐がエリア外左へ持ち込み、ミドルシュートを打つなど、ゴールを狙う姿勢を続けていきます。
ロスタイムは1分。青森山田はフリーキックのセカンドボールを拾った松木のパスに、エリア左へ中川が抜け出し、1対1になりますが、エリア内へカバーに戻った田中幹大が必死に足を伸ばし、シュートをブロック。ゴールだけではなく、守りでも大きなプレーを見せていきます。
フロンターレは、コーナーキックもしのぎ、延長前半はタイムアップ。
延長後半、フロンターレは松長根に代わり28浅岡飛夢。最終ラインは右から高畠、高井、田鎖、小室、入江、ボランチは秋葉、浅岡、右に田中幹大、左に五十嵐、前線には南。
しっかり自陣前で守り、ボールをものにすると南を高い位置へ走らせにいきます。
2分には青森山田、右サイドでのスローインを受けた小野が、エリア内へ折り返しますが、田鎖がブロック。右コーナーキックに。
コーナーキックのこぼれ球を拾ったフロンターレ。浅岡が、南を狙ってパスを出し、南もボールをよくおさめ、そこからいったん中央へ戻し、フロンターレは高い位置へ走り出す浅岡を狙い、浮き球を入れていきます。
5分には南が左サイドからエリア前に。五十嵐がエリア外左へ動き出し、エリア前にボールを戻すと、浅岡がミドルシュートを試みるもブロック。
そこから青森山田は左サイドからの攻めに転じますが、フロンターレは田中幹大がカバー。ボールをものに。
さらにフリーキックを得ると、GK内田がセンターライン付近からフリーキックを入れ、ゴールを目指してくる青森山田。しかし、フロンターレはしっかりクリア。守っていきます。
ボールをものにすると、田中幹大と秋葉が左コーナー付近でボールをキープし時間を使いにいくフロンターレ。青森山田の折り返しに対してはエリア前で小室が入江につなげるようにして対応。
延長後半10分、エリア左、松木が前を向くもシュートは田鎖がブロック。試合は、ここでタイムアップ。3-2。フロンターレは準決勝への進出を果たしました。
前半0-1 後半2-1 延長前半1-0 延長後半0-0 計3-2
得点:入江流星、田鎖勇作、田中幹大=PK(川崎) 藤森颯太、本田真斗(青森山田中)
フロンターレの先発:21青山海、2高畠捷、23高井幸大、3田鎖勇作、25松長根悠仁、8秋葉拡人、10小室愛樹(c)、22石原央脩、18入江流星、11五十嵐太陽、9田中幹大
交代:石原→15南暖 松長根→28浅岡飛夢
控え:16宮地健輔 4佐々木輝大 5安江海ラウル 13山田新己 17レオニ楓真
青森山田中の先発:1内田将弘、2磯部翔、3福田南波、4三輪椋平、5齋藤隆仁、6宇野禅斗、10松木玖生(c)、18長阪椎真、9藤森颯太、左7小野暉、11川口大空
交代:長阪→8田澤夢積 川口→25本田真斗 田澤→16馬場翔太 本田→19中川勇輝
控え:12葛西淳 17三橋春希 15坂斉健人
2点の先行を許しながらも残り10分から追い付き、ついに逆転したフロンターレの選手たち。苦しい展開のなかでも、時計の針が進むにつれ、研ぎ澄まされるようにプレーの精度も高まっていったことが印象に残る試合となりました。大会を通して、選手もチームも、どんどんたくましくなり、まだまだ進化している、と思わされます。
準決勝は、12月27日午後1時20分、味の素フィールド西が丘にてキックオフ。フロンターレは、FC東京U-15深川との試合に臨みます。
(文中敬称略)
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