7月29日は、前橋フットボールセンターへ。日本クラブユース選手権は準々決勝。サンフレッチェ広島戦をPK戦の末に制した川崎フロンターレU-18は、ベスト4を懸けて、横浜F・マリノスユースとの一戦に臨みました。
フロンターレは日本クラブユース選手権の関東予選の準々決勝でマリノスと対戦しており、その際は大曽根広汰の2ゴールで、フロンターレが2-1で勝利しています。対戦の場を関東から全国大会へ移した今回は果たして-。
【川崎フロンターレU-18 日本クラブユース選手権準々決勝 vs 横浜F・マリノスユース】
7月29日(土)午前9時キックオフ 前橋フットボールセンターA 曇りのち雨 45分ハーフ
フロンターレの先発は、GK1早坂勇希、DFは右から5小川真輝、34高吉正真、11デューク・カルロス、ボランチはゲームキャプテンの15池谷祐輔、7桝谷岳良、右MF13大曽根広汰、左MF24宮城天、トップ下10村田聖樹、FW18宮代大聖。
マリノスの先発は、GK1中村涼、DFは右から17木村卓斗、6西山大雅、18鈴木駿之助、ゲームキャプテンの5澤田章吾、ボランチは4藤田一途、19土佐陸翼、右MF11伊藤優世、左MF8塚田裕介、FW26棚橋尭士、22栗原秀輔。
前橋フットボールセンターには、多くの両チームの家族、またサポーターが集まり、幕やチャントで選手たちを後押し。空には雲が広がり、まるで梅雨が戻ってきたかのよう。この季節の前橋としては、やや涼しい気候の中で試合は始まりました。
立ちあがり、フロンターレは最終ラインを高くしてコンパクトに。デュークや小川真輝が高い位置取り、池谷が新井、高吉とかかわって後ろから組み立てていきます。マリノスはボールを奪うと、右サイドへ展開。伊藤が仕掛けていきますが、デュークが強く寄せてボールを奪い取る好対応。再びマイボールに。
5分には、宮代から村田とエリア前でつないで、左へ展開。デュークが高い位置で仕掛けていき、エリア内にボールを送りますが、マリノスのGK中村がしっかりキャッチ。
マリノスも直後には右へ棚橋が抜け出し折り返すと、エリア左へ栗原が抜け出していきますが、小川真輝がしっかり付いていき、最後は早坂がキャッチ。さらに塚田が拾って左サイドからエリア内へ仕掛けていきますが、高吉がブロックしてシュートにはつなげさせず。
マリノスはさらに後ろからパスを回しながら組み立てを図っていきますが、フロンターレは村田や大曽根が前からプレスをかけ、右サイドで伊藤や木村、土佐がかかわっていくのに対しては、桝谷やデュークがねばり強く対応し、縦へパスは入れさせず。
12分には高い位置で人数をかけて攻めに出ていったフロンターレ、右から小川真輝、大曽根とパスをつないで、エリア右から大曽根が仕掛けて最後は村田がシュートを打つも、ワンタッチあり、左コーナーキックに。
小川真輝のボールに新井が頭で合わせますが、惜しくもポストを叩いて決まらず。さらにフロンターレは宮代や宮城が前から連動してプレスをかけていき、中盤と前線の間にうまくおりて、起点になろうとするマリノスの棚橋に対しては、新井や池谷が強く寄せて前を向かせず。15分には、右からパスを入れると、宮代がエリア右へ抜け出しますが、鈴木に寄せられてシュートにはつなげられず。
フロンターレはさらにラインを高く上げてコンパクトに。前線では宮城が右へ流れて、宮代が中盤まで下りて縦パスを入れる役回りになるなど、流動的にポジションを入れ換えながら、高い位置でパスを回していきます。高吉も中盤を飛ばして村田に鋭い縦パスを入れるなどして、ゴールをうかがっていきます。
マリノスも左サイドへ栗原が抜け出して仕掛けていきますが、高吉がカット。そこから縦へパスを入れて、最後はエリア左の宮代へ。しかし、マリノスの選手がクリア。さらに桝谷がセカンドボールを拾って左へ展開。宮城と連動して、デュークがエリア外左の高い位置へ仕掛けていきますが、マリノスも木村がねばり強く対応。シュートやクロスにはつなげられず。
22分にはマリノス、伊藤が右サイドの高い位置へ抜け出して前に。右サイドからエリア前へ仕掛けて、最後は栗原がエリア前左からシュートを打ちますが、これには早坂がよく反応。こぼれ球を拾った塚田のシュートは枠をとらえられず。さらに木村が右サイドからクロスを上げるなど、マリノスがゴールへ迫る時間帯が続いていき、23分には西山の縦パスにエリア左へ栗原が抜け出してシュート。しかし、ここでも早坂がすばらしい反応。こぼれ球を拾った棚橋のシュートに対しても、早坂がよく反応して、ゴールを守っていきます。
27分にはフロンターレも宮城が左サイドの高い位置で粘ってコーナーキックに。こぼれ球を大曽根がエリア前で拾って左へパスを出すと、小川真輝のクロスをエリア内で宮代がおさめてシュートを打ちますが、これは上に。さらに池谷から右へパスが出て、大曽根のリターンをエリア前で桝谷が受け、桝谷から左サイドへパスが出ると、デュークが抜け出しますが、クロスはシュートにはつながらず。さらにフロンターレは池谷がよく前でセカンドボールを拾って、桝谷や村田、大曽根と関わり合いながらボールを回していきます。
31分には高吉が前線へ送ったボールをうまく宮代が奪い、右へ流れて、エリア左へパスを出すと宮城がシュートを打ちますが、中村もまたすばらしい反応。ゴールとはならず。
マリノスもボールを奪うとサイドを狙ってパスを出していきますが、小川真輝がよく対応。エリア左へ流れて仕掛けていく栗原に対しては、桝谷やデュークがうまく連係して守っていきます。
36分にはマリノス。左から塚田がエリア前へ仕掛け、エリア左へパスを出すと棚橋がシュートを打ちますが、枠右をとらえたボールは早坂がすばらしい反応。直後には栗原から左へ展開し、澤田のリターンをエリア外で受けた藤田がドリブルで仕掛けていきますが、高吉がよくカット。
フロンターレも宮代とのパス交換からエリア右へ池谷が進入しますが、マリノスの選手も集中力が高くこれをクリア。さらに大曽根が右から仕掛けて池谷にボールを戻し、池谷のスルーパスに大曽根がエリア内へ動き出しますが、ここでもカットされてシュートにはいたらず。
マリノスも伊藤が右から仕掛けて、パス交換からエリア右へ木村が抜け出してシュート。枠をとらえますが、早坂が弾き出し、最後は高吉がクリア。前半は0-0でタイムアップ。フロンターレがボールを持つ時間は長かったものの、ここぞというところでの、マリノスのしっかりフィニッシュまでつなげてくる攻撃はなかなかのもの、という印象。それでも早坂をはじめとしたフロンターレの守備のすばらしさも光りました。
前半終了間際から降り始めた雨が強まる中で始まった後半。3分にはマリノス。伊藤がエリア外右で倒されてフリーキックを得ると、土佐が右足で狙っていきますが、枠をとらえたシュートは小川真輝がクリア。続けて左からのコーナーキック、土佐のボールにエリア内右で西山が頭でたたきつけますが、枠はとらえられず。
フロンターレも7分に桝谷が、左サイドへ流れて仕掛けてくる棚橋からボールを奪い取ったところからパスを回せるように。左サイドのデュークに縦パスを入れ、マリノスにボールを奪われても新井が出足よくボールを奪い返して、縦へパスを入れ、池谷のミドルシュートへ。枠はとらえられませんでしたが、切り替えの良さをみせていきます。
マリノスも11分には塚田のパスにエリア前、土佐が抜け出しますが池谷がカット。さらに右サイドへ土佐が流れてエリア前へ仕掛けていきますが、デュークが滑り込みながらもボールを奪い取る好対応。続けて、左サイドの塚田にボールが渡りますが、小川真輝もまたうまくボールを奪い取り、決定機にはつなげさせず。さらに棚橋が間に下りて、ボールを受けにいこうとしていきますが、新井や桝谷が囲い込むようにボールを奪っていき、デュークや池谷もぞれぞれ出足の良さを見せて、ボールをカットしていきます。
フロンターレも村田が中盤まで下りて、桝谷や池谷とかかわりながら中央からの組み立て。17分には村田の縦パスを大曽根が受け、右へパスを出すと、小川真輝がエリア外右へ抜け出してエリア内へボールを入れますが、これは誰もさわれず。フロンターレはさらにいい距離感で、村田がボールを失っても高い位置ですぐにマイボールにするなどして、前へ出ていきます。19分にはマリノスは土佐に代わって10山田康太がボランチに。
フロンターレはデューク、小川真輝の出足がよく、19分には小川真輝が高い位置でボールをカット、エリア内へボールを入れるも抜け出すことはできず。21分には小川真輝の浮き球に村田がエリア右へ抜け出して、エリア前の宮代へパス。宮代のパスに宮城がエリア左へ抜け出そうとしますが、ここは阻まれてしまいます。
24分にはフロンターレは宮城に代わって37有田恵人が入って有田が右MF、大曽根が左MFに。25分にはマリノスがフロンターレのコーナーキックをしのいだところからカウンターに。中央から行とうが仕掛けていきますが、デュークがよく戻ってマイボールに。さらに棚橋のパスに右へ行とうが抜け出したり、エリア前でボールをカットしたところから棚橋が仕掛けたりと、ゴールへ迫っていきますが、デュークや池谷がよくうばってシュートにはつなげさせず。28分にはマリノスは栗原に代わって25山谷侑士がFWに。
フロンターレは桝谷がボールを奪ったところから前にうまく出て、縦へパスを入れるなどして、攻勢に。30分には桝谷のパスに大曽根が右サイドへ抜け出して、そのパスにエリア右へ宮代が抜け出しますが、マリノスの選手もねばり強い守備、さらに右から大曽根、小川真輝が連係してゴールへ迫り、リターンを受けた池谷のスルーパスにエリア内、宮代がうまく入り込んでシュート。しかし、これは右に。
ラインを高くしてコンパクトにしてくるマリノスに対して、フロンターレは早坂が左サイドの高い位置の村田に正確にパスを通すなどして、打開を図っていきます。
マリノスも藤田が中盤でよくフロンターレのパスをカット、山谷も前線からフロンターレの中盤からボールを奪い取るなどして、こちらもいいプレッシャーから攻撃に転じていきます。35分には山田が右サイドの裏を突いてパスを出すと、伊藤が抜け出しますが、デュークがねばり強く対応。フロンターレも池谷がうまく前を向いてボールを運んで、エリア前の村田にパスを入れますが、これはシュートにはつなげられず。マリノスも直後にはエリア右へ、山田が抜け出しシュート。しかし、ワンタッチあり、コーナーキックに。右から塚田がボールを入れると、西山がファーで合わせますが、新井ががブロック。さらにこぼれ球をエリア右で山田が拾ってシュートを打つも村田がブロック。得点にはつなげさせません。
41分には有田がエリア前でボールをカットして、大曽根や宮代とともにカウンターにでていこうとしますが、ここでも藤田がよくカバーしてさらにマリノスがゴール前に。右から伊藤が仕掛けて折り返すと、山谷がエリア内へ抜け出しますが、小川真輝がカット。左へ展開すると、宮代が仕掛けて、右サイドへ抜け出した有田にパスを出しますがここでもまた澤田がよみよくボールをカット。なかなかシュートには持ち込めず。
45分には村田とのパス交換から池谷がエリア外正面からミドルシュート。しかし、中村がキャッチ。ロスタイムは3分。マリノスは左へ塚田が抜け出し、リターンを受けた棚橋がシュートを打つもフロンターレはこれをブロック。ここからマリノスは立て続けにコーナーキックからゴールを狙っていきますが、こぼれ球をエリア内で拾った山田のシュートを体を張って防ぐなど、守りきり、試合はタイムアップ。0-0。フロンターレにとっては2試合連続の延長戦へ。
しばしの休息を挟んで始まった延長戦。フロンターレは、宮代が前線でマイボールにしたところから、村田へ。村田が左から折り返すも、シュートにはつなげられず。マリノスも再三すばらしい動きを見せていた伊藤が積極的に仕掛けていきますが、池谷が足を出してボールを奪い取る好守。さらに左サイドからの折り返しに伊藤がエリア右へ。これに対してはデュークが寄せて、最後は早坂がボールを抑えてしのいでいきます。
大曽根が前から機を見てプレスをかけ、小川真輝がマリノスの左サイドへの縦パスをよくカット。池谷や桝谷が延長戦に入ってもよくかかわっていきます。5分には小川真輝が右サイドから中へ仕掛け、エリア内へボールを入れていきますが、マリノスは伊藤が自陣まで戻ってシュートにはつなげさせず。マリノスも木村がエリア右へ抜け出していきますが、池谷がブロック。互いに体を張った守備が続いて、一進一退の攻防が続いていきます。
フロンターレは8分、村田に代わって9山田新がピッチへ。マリノスも棚橋に代えて24椿直起が入り、山谷が前線、2列目に伊藤、塚田、椿が並ぶ形に。直後にはマリノス、ボールをカットし、エリア前の塚田にパスが入ると、塚田が仕掛けてシュートを打つもこれは上に。
フロンターレはここで小川真輝に代わって27森璃太が右SBに。延長前半はタイムアップ。エンドを入れ換えての延長後半へ。
「あと10分、しっかりやるぞ」「勝つぞ!」。ともに最後の力を振り絞るように、声を掛け合い、ピッチへ戻る選手たち。立ち上がり、フロンターレは桝谷から左へパスが出て、大曽根がねばり強くキープ。そこから後ろへいったんボールを戻してパスを回していき、桝谷のパスにエリア前に宮代が抜け出しますが、マリノスの守備もねばり強くシュートには持ち込めず。
マリノスの右サイド、伊藤と木村に対して、大曽根とデュークがよく対応しながら、守りから攻撃へつなげていこうとするフロンターレ。4分には池谷がボールをカットし、宮代へ縦パス。宮代が右サイドの裏を突くようにパスを出すと、山田が抜け出していきますが、これはオフサイド。直後にはマリノス、山谷がロングボールを納め、そこから右へ展開していこうとしますが、デュークがこの時間になってもよく戻って奪い取る好守。さらにエリア前でマイボールにした塚田が左から折り返すと、エリア右へ伊藤が抜け出しますが、桝谷がボールを奪い取ってシュートにはつなげさせず。フロンターレも左サイドの裏を突いてパスを出すと、山田が抜け出していきますが、マリノスも西山がしっかりとした寄せ。
ピッチにはまだまだよい動きを見せる選手もいれば、連戦の疲れからか、動きが重く見える選手もいるフロンターレとマリノスの選手たち。両チームともにあと一歩攻撃へつながらない場面も交えながら、ゴールを狙っていきます。
そんななか終盤ゴールへ迫ってきたのはマリノス。8分には左サイドからエリア前へ切れ込んだ山谷がシュート。しかし、早坂がしっかり止めてゴールは許さず。こぼれ球を拾って、エリア右へパスが出ると、伊藤が抜け出しシュートを打ちますが、ここもまた早坂が体を張って枠へは飛ばさせず。さらにエリア左からの山谷のシュートが枠をとらえますが、早坂がわずかに触ってゴールネットは揺れず。
マリノスのコーナーキックもフロンターレはしのいで、試合はついにゴールのないままタイムアップ。フロンターレにとっては2試合連続のPK戦へ。
ともに選手やコーチが大きな輪になって円陣を組み、選手たちは再びピッチへ。早坂と中村が互いの健闘を祈るようにタッチをかわし、PK戦は始まりました。
先攻のフロンターレは、1人目の池谷が決めて1-0。マリノスも1人目の西山がきめて1-1に。フロンターレは2人目の桝谷がこれもゴールネットを揺らして、2-1。
マリノスの2人目は椿。右を狙ったシュートは早坂がはじき出す好セーブ。上に上がったボールを蹴り出してガッツポーズを見せます。2-1。フロンターレがリード。
フロンターレは3人目の大曽根が中村が先に動くのを見てから巧みにゴールの中へ流し込んで、3-1に。マリノスの3人目は藤田。これにもまた早坂がすばらしい反応。倒れ込みながらも弾き出す好守。3ー1。
これが決まればフロンターレの準決勝進出、という4人目のキッカーは山田。これを見事に決め、うれしそうに駆け出し、早坂のもとへ走っていく山田。そして、歓声を上げて山田と早坂のもとへ走り、折り重なっていくフロンターレの選手たち。2試合連続のPK戦を制して、フロンターレは2年連続のベスト4を決めました。
前半0-0 後半0-0 延長前半0-0 延長後半0-0 計0-0 PK4-1
フロンターレの先発:1早坂勇希、5小川真輝、34高吉正真、11デューク・カルロス、15池谷祐輔(c)、7桝谷岳良、13大曽根広汰、24宮城天、10村田聖樹、FW18宮代大聖
交代:宮城→37有田恵人 村田→9山田新 小川→27森璃太
控え:16安福祐一 4伊従啓太郎 23島崎元 30山内日向汰
マリノスの先発:1中村涼、17木村卓斗、6西山大雅、18鈴木駿之助、5澤田章吾(c)、4藤田一途、19土佐陸翼、11伊藤優世、8塚田裕介、26棚橋尭士、22栗原秀輔
交代:土佐→10山田康太 栗原→25山谷侑士 棚橋→24椿直起
控え:20荒貴史 2松井康輔 3柳知廈 7堀研太
準決勝の舞台は味の素フィールド西が丘。7月31日午後7時、昨年に続いてFC東京U-18と対戦します。
「西が丘だ!」。声を上げて喜びながらも、喜びをあらわにしすぎることはなく、次を見据えているようにみえるフロンターレの選手たち。今年もまた、ねばり強く一体感のある試合を重ねて、大きな舞台へ進んでいった選手たちを見られたことにうれしさを感じます。2試合続けて延長戦とPK戦を戦い抜いた体を少しでも休めて、またいいプレーを重ねて。準決勝が昨年を越えるような素晴らしい試合になることを願っています。
(文中敬称略)