川崎フロンターレが初めてのJ1リーグ優勝を記念し、川崎駅周辺でパレードを行い、多くのサポーターと喜びを分かち合った12月10日、川崎フロンターレU-18は、等々力陸上競技場に首位前橋育英を迎え、プリンスリーグ関東の最終節に臨みました。
前節のジェフユナイテッド市原・千葉戦が0-1に終わり、4位に後退したフロンターレ。勝ち点を33まで伸ばした前橋育英がプレミアリーグ参入戦に出場できる3位以内を確定させ、残りは2つの枠を三菱養和SCユース、流通経済大柏、フロンターレが争うことに。勝ち点27のフロンターレとしてはまずは勝って、勝ち点30で2位の三菱養和、勝ち点29で3位の流通経済大柏の結果次第、という状況での試合となりました。
【川崎フロンターレU-18 プリンスリーグ関東第18節 vs 前橋育英】
12月10日(日)午後1時キックオフ 等々力陸上競技場 晴れ 1010人
フロンターレの先発はGK1早坂勇希、DFは右から5小川真輝、34高吉正真、3新井秀明、11デューク・カルロス、ボランチはゲームキャプテンの15池谷祐輔、10村田聖樹、右MF13大曽根広汰、左MF7桝谷岳良、トップ下24宮城天、FW18宮代大聖。
前橋育英の先発は、GK1松本瞬、DFは右から16若月輝、ゲームキャプテンの17山崎舜介、4加賀谷匠、19中村太一、ボランチは42秋山裕紀、8高橋和輝、右MF40細田海斗、左MF24高橋尚紀、FWは11室井彗佑、13宮崎鴻。
青空と日差しに恵まれた好天の等々力。いつもの等々力開催の試合に比べると、やや出足は遅かったもののパレードを途中で切り上げたサポーターが続々と集まり、見守る両チームの選手の家族らとともに声援を送るなか、試合は始まりました。
立ち上がりから小川真輝、デュークが高い位置へ上がり、ラインを上げていい距離感で攻勢に出るフロンターレ。2分には池谷の浮き球のパスに、エリア左へ宮代が抜け出していきますが、これはオフサイド。しかし、なおも高い位置で池谷がボールを奪うなどして、切り替えよく縦にパスをいれていきます。
4分、左サイドの高い位置でボールをキープした宮代がうまく相手をかわしてエリア内へボールを入れると、宮城のパスにエリア内左へ抜け出したのは村田。シュートを打つとボールはゴールの中へ。1-0。先制点はフロンターレへ。
飛び上がりガッツポーズを見せた村田のもとに次々に駆け寄ってゴールをチーム全員で喜び、そして、たたみかけていくフロンターレ。桝谷のパスに左サイドの高い位置へ抜け出したデュークがクロスを入れると、エリア内右から宮城がシュートを打つも、クロスバーに阻まれて追加点とはならず。
前橋育英も高い位置でファールを受けてリスタートから細田が仕掛けていきますが、デュークがしっかりついていってブロック。左からのコーナーキック、高橋和輝が右足でボールを入れるも、セカンドボールをひろった選手に対して、宮代が前線から戻ってボールを奪いとる献身的なプレーで再びマイボールにしていきます。
前橋育英はさらにロングボールを長身の宮崎に入れてきますが、宮崎が競ったボールを村田がよくカバーをして回収。クロスに対しても大曽根が自陣まで戻ってブロックするなど、しっかりと守っていきます。
13分にはフロンターレ、後ろからボールを回して右へ展開。小川がクロスを入れると、エリア右へ抜け出した宮代がシュートに持ち込みますが、今度はポストに阻まれてまたも追加点とはならず。さらに池谷が高い位置へ持ち上がり、エリア左へパスを送ると桝谷が抜け出しますが、クリアをされてシュートには至らず。
前橋育英も14分には宮崎を起点に速攻へ。室井、高橋尚紀がエリア前に迫りますが、最後は高吉がクリア。さらにセカンドボールを拾って、左から高橋尚紀が折り返すと、後ろから走り込んだ秋山がミドルシュートを打ちますが、これには早坂が対応していきます。
16分にはフロンターレ、低い位置でボールを受けようとした宮崎に池谷がうまく体を入れてボールを奪うと、右へ展開し、小川が高い位置からクロスを入れると、宮代がエリア内へ抜け出すもオフサイドに。前橋育英も次第に人数をかけて前に出られるようになり、17分には左クロスのこぼれ球を拾った秋山がミドルシュートを打ちますが、これは右へ。フロンターレも22分にはコーナーキックのセカンドボールを小川が拾い、右へ。桝谷がクロスを入れるとエリア左で新井が頭で合わせますが、GK松本がしっかりキャッチ。攻守の切り替えのよい、いい形をつくっていきますが、追加点とはならず。
高い位置で連動して前からプレスをかけていくフロンターレ。23分には宮城が右サイドの高い位置でボールを奪い大曽根へ。大曽根がエリア外右へ展開すると、村田がクロスを入れるもブロックされ、右コーナーキックに。桝谷が左足で入れたボール、ニアで宮代が頭で合わせますが、左へそれてゴールには至らず。
直後には前橋育英、宮崎がエリア外正面で競ったボールに、室井が抜け出しますが、高吉がカバーし最後には早坂がボールを抑え、シュートにはつながらせず。
フロンターレは高吉がフィードを入れるなど時折ロングボールを交えながら、小川と大曽根の右サイドの連係、池谷の縦パスなどからゴールの前に迫っていきます。前橋育英は左サイドの高橋尚紀がよく仕掛けて存在感を見せていきますが、高吉や小川がうまく連係して対応。エリア前の宮崎に対しても池谷と新井が囲い込むようにうまく対処。29分には前橋育英、センターライン付近からのフリーキック、細田がボールを上げると宮崎が競り勝つも、村田がカバー。そのまま、右へパスを送り、攻めに転じて小川が右からエリア内へボールを入れると、宮代が抜け出しますが、松本に前に出られてシュートにはつながらず。
32分には前橋育英、左から高橋尚紀が仕掛けていきますが、大曽根がここでも好カバーを見せ、直後には右から若月が低く速いクロスを入れてきますが、新井がクリア。さらに右からのスローイン、エリア内で室井が受けますが、高吉がうまく対応し、シュートは打たせず。分厚い前橋育英の攻めに落ち着いた守りを見せていきます。
攻勢をしのいだフロンターレは、池谷がポジショニングよくマイボールに。村田が時折最終ラインにまで下り、小川やデュークが再び高い位置へ上がってゴール前に。村田、宮城と縦へパスを入れて右へ展開し、小川のクロスにつなげるなど、追加点を狙っていきます。
前橋育英も高橋尚紀のドリブルやセットプレーからゴールへ迫りますが、小川や新井、早坂がしっかり対応。コーナーキックのボールを早坂がキャッチし、左サイドの宮代へ正確にボールを入れるなど、切り替えの良さも見せながら前半はタイムアップ。1-0でハーフタイムへ。
他会場では、桐光学園と対戦している流通経済大柏は2-0でリード。三菱養和は山梨学院高校に0-1で追いかける展開に。このままいけば、フロンターレは勝ち点では三菱養和と並ぶものの得失点差では及ばず、4位。より多くのゴールが必要となる状況で後半に入ることになりました。
後半、前橋育英は細田に代えて20五十嵐理人が入り左MF、高橋尚紀が右MFに。中村太一に代えて、2後藤田亘輝が入り右SB、若月が左SB。フロンターレはそのままのメンバーでのスタートとなりました。
2分、フロンターレは左サイドからデュークが抜け出していくと、最後はエリア外正面で宮城がシュートを打つもこれは右へ。さらに攻勢を強めていくと、6分には大曽根のパスをエリア外正面で受けた村田がスルーパス。宮代が抜け出てシュートに持ち込むも、ポストを叩いて決めることはできず。
前橋育英は宮崎がサイドへ流れたり、中盤へ下がったりしながらボールを引き出し、サイドへ展開して、攻めに出ていきますが、高吉や新井がエリア内でしっかり対応。切り替えのよさを失わず。コンパクトにいい距離感で守りから攻めにつなげていきます。8分には桝谷が左サイドの高い位置へうまく抜け出してエリア前へパスを送ると、大曽根が1対1に。シュートを打つも松本の好セーブに阻まれ、こぼれ球にエリア内左で詰めた宮代が頭で押し込みますが、オフサイドの判定でゴールは認められず。
前橋育英の人数をかけた攻めに対してコンパクトに守っていくフロンターレ。14分にはカウンターに持ち込むと、宮城のパスにエリア右へ大曽根が抜け出しシュートを打つもまたも松本の好守に阻まれてしまいます。
前橋育英は15分、室井に代わって43高橋周。フロンターレは16分、桝谷に代わり、37有田恵人が入り右MF。宮城は左MF、大曽根はトップ下へ。
19分には大曽根が自陣でマイボールにして左へ。宮城が左サイドから中へ切れ込んで、前橋育英の選手を振り切って右サイドの裏を突くパスを出すと、有田が抜け出し仕掛けていきますが、最後にファールをとられて決定機には結びつけられず。しかし、切れとスピードで揺さぶっていきます。
前橋育英も21分には左サイドから攻勢に。エリア外左で宮崎が切り返してシュートを打つも高吉がブロック。さらに右サイドでのパス交換から後藤田がクロスを入れるもデュークが体を張ってシュートにはつなげさせず。さらに人数をかけて、ゴールに迫る前橋育英。22分には高橋尚紀に代わり10飯島陸がピッチへ。飯島、宮崎、高橋尚紀らが高い位置でよくかかわり、後藤田も加わってゴールへ迫っていきます。
フロンターレも有田が小川のパスに抜け出て右サイドの高い位置へ仕掛けたり、宮代が有田のパスに抜け出してエリア前へ迫るなどしていきますが、前橋育英の守備も粘り強く最後のところで決定機には結びつけられず。大曽根もこぼれ球を拾ってミドルシュートを打つもうまくミートできず、松本の正面に。29分には前橋育英のフリーキックを早坂がキャッチし、前線へ送ると有田が一気に前へ。右サイドの角度のあまりないところからシュートで狙うも枠はとらえられず。
31分、右サイドから攻勢に出る前橋育英。フロンターレは粘り強く守りにいきますが、最後は秋山にゴールネットを揺らされて1-1。追い付かれてしまいます。
勝ち越し、さらには多くのゴールが必要なフロンターレ。デュークが高い位置から仕掛けたりするなど前へ出ていきます。36分には大曽根がファールを受けて得たフリーキック、小川がエリア内へボールを入れると、宮代が頭で合わせますがこれは右へ。
前橋育英は37分には宮崎に代わって27榎本樹がFWに。直後には左から五十嵐がクロスを入れるとエリア右で榎本が合わせますが、早坂がしっかりキャッチ。しのいでいきます。
フロンターレは41分、大曽根に代えて4伊従啓太郎が入り、新井とともに前線へ。前の高さを増やし、ゴールを狙っていきます。44分にはコーナーキックに高吉が頭で合わせますが、GK松本がキャッチ。前橋育英はカウンターに持ち込みますが、村田や池谷が落ち着いてカバー。45分にはエリア左へ前橋育英、榎本が抜け出してシュートを打つもポストに救われスコアは動かず。
試合はいよいよ、45分が過ぎて3分のロスタイムへ。前線で仕掛けてくる飯島に対しては高吉や村田がうまく対応し、勝ち越し点が欲しいなかでも最後のところで冷静さを失わなかったフロンターレ。47分、宮城のパスに左サイドの高い位置へ抜け出したデュークがエリア前に。これは阻まれ、左コーナーキックに。
フロンターレはGK早坂もエリア内に上がっていきます。左から小川がボールを入れ、宮代のシュートはブロック。宮代がセカンドボールを拾っていったん中盤まで戻して、ボールはエリア内右へ。宮代のシュートはまたも阻まれましたが、こぼれ球を拾った早坂のシュートがゴールネットを揺らします。2-1。シーズンを通して何度も好セーブでチームを救ってきた早坂のゴールで勝ち越し点はフロンターレへ。
ベンチの脇に立ち、試合の行方を見守っていた選手のもとへ走り、喜びを分かち合いつつも自陣へ戻っていくフロンターレの選手たち。しかし、試合はここでタイムアップ。2-1。
他会場では流通経済大柏が4-1で勝利し、三菱養和は1-2で敗戦。この結果、フロンターレは得失点差で及ばず、4位となり、ここで2017年のシーズンを終えることになりました。
前半1-0 後半1-1 計2-1
得点:村田聖樹、早坂勇希(川崎) 秋山裕紀(前橋育英)
フロンターレの先発:1早坂勇希、5小川真輝、34高吉正真、3新井秀明、11デューク・カルロス、15池谷祐輔(c)、10村田聖樹、13大曽根広汰、7桝谷岳良、24宮城天、18宮代大聖
交代:桝谷→37有田恵人 大曽根→4伊従啓太郎
控え:16安福祐一 23島崎元 27森璃太 26横田大祐 30山内日向汰 20上野綜太 9山田新
前橋育英の先発:1松本瞬、16若月輝、17山崎舜介(c)、4加賀谷匠、19中村太一、42秋山裕紀、8高橋和輝、40細田海斗、24高橋尚紀、11室井彗佑、13宮崎鴻
交代:細田→20五十嵐理人 中村→2後藤田亘輝 室井→43高橋周 高橋尚紀→10飯島陸 宮崎→27榎本樹
控え:12湯沢拓也 3角田涼太朗 7塩澤隼人 14田部井涼
プレミアリーグ参入戦には届きませんでした。しかし、日本クラブユース選手権、Jユースカップで3位となり、リーグ戦でも、あきらめない、ひたむきなフロンターレらしさを見せ、最後にトップチームにも負けない、等々力劇場と呼ばれるような、語り継がれるような試合を演じてみせたことは、色褪せないものだと思います。喜びも悔しさも共にした2年生や1年生がこれからどんなチームをつくっていくのか、また、フロンターレを離れてプロの道や大学などへ進む3年生のこれからを楽しみにしています。
(文中敬称略)
写真は多くのものをかんちさんからいただきました。ありがとうございます!
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