川崎フロンターレがエディオンスタジアム広島でのJ1第30節、サンフレッチェ広島戦を3-0で勝利し、首位鹿島アントラーズに勝ち点差2で迫った翌10月22日は栃木県さくら市のさくらスタジアムへ。Jユースカップは2回戦。1回戦でFC岐阜U-18に1-0で勝利した川崎フロンターレU-18は、栃木SCユースとの試合に臨みました。栃木SCユースとは、1-1で引き分けた日本クラブユース選手権のグループステージ第2戦の再戦。果たして、今回はー。
【川崎フロンターレU-18 Jユースカップ2回戦 vs 栃木SCユース】
10月22日(日)午後1時キックオフ 雨 さくらスタジアム
フロンターレの先発は、GK1早坂勇希、DFは右から5小川真輝、34高吉正真、3新井秀明、11デューク・カルロス、ボランチはゲームキャプテンの15池谷祐輔、7桝谷岳良、右MF20上野綜太、左MF24宮城天、トップ下10村田聖樹、FW37有田恵人。インドでのU-17ワールドカップから帰国した18宮代大聖はベンチスタート。
栃木SCの先発は、GK21荒井歩夢、DFは右から4金田智明、2藤原龍司、キャプテンの5川野秀悟、右サイドに15中三川海斗、左サイドに6川原丸暉、アンカーに14神野淳、その前に7山本廉、10早乙女達海、9坂本昂優、前線には11本庄竜大。
台風が近づいた影響を受けて、試合開始前から冷たい雨が降り続くさくらスタジアム。それでもピッチを見下ろすスタンドには、多くの両チームの選手の家族やサポーターが集まり、チャントやコールでそれぞれの選手を後押しする熱気の中、試合は始まりました。
立ち上がり、前線からプレッシャーをかけてマイボールにしたのは栃木SC。コーナーキックを得ると、山本が左から右足で入れるもフロンターレはそれをしのぎ、池谷や桝谷が中盤でボールを多く触って組み立てを図りに。栃木SCは前線で本庄がいい形でボールを受けて前を向こうとしますが、高吉がねばり強く対応していきます。
8分にはフロンターレ、池谷、桝谷と中盤でつなぎ、桝谷が浮き球を前線へ入れると、有田が競ったボールを宮城が拾ってエリア前に。しかし、栃木SCに寄せられてシュートには持ち込めず。栃木SCもマイボールにすると最終ラインの3人に神野がかかわりながら後ろから組み立て。前線では本庄、坂本、早乙女、さらには右サイドの中三川、左サイドの川原が高い位置取りで裏を狙って動き出し、ゴールをうかがっていきます。
9分には栃木SCがフリーキックとコーナーキックから立て続けにゴールヘ迫りますが、それをしのいだフロンターレ、10分には有田がこぼれ球をキープしカウンターへ。宮城が受けて中盤をドリブルで駆け上がるも、山本がすばやく戻り、イエローカードを受けながらも止め、シュートにつなげることはできず。14分にはフロンターレ、村田から左サイドの高い位置のデュークへ。デュークが仕掛けてエリア内へボールを送るも飛び込んだ上野は惜しくも触ることはできず。さらに15分には高吉のフィードにエリア左、村田が抜け出すもGK荒井がこれには対応。16分には高吉のフィードに右サイドへ流れた有田が抜け出し、リターンを受けた上野のスルーパスにエリア内、村田が抜け出すもここでもGK荒井が前に出るのがはやく、シュートには至らず。それでも次第にフロンターレが、さまざまな形で栃木SCを揺さぶることができるようになっていきます。
たたみかけるフロンターレは17分には、宮城の浮き球のパスに、エリア外左へ有田が抜け出し、リターンを受けた池谷が村田とのパス交換からエリア正面へ。シュートに持ち込むもGK荒井がキャッチ。
一方の栃木SCもエリア外でボールを受けた本庄がうまく前を向いてミドルシュートで狙いますが、これには早坂がしっかり対応。しかし、栃木SCも人数をかけた攻めに出られるようになっていき、20分には右サイドの高い位置へ本庄が抜け出し、折り返し。しかし、フロンターレはエリア内で新井がクリアし、シュートは打たせず。22分にはフロンターレ、小川真輝の縦パスを受けた上野が右サイドを仕掛けて、エリア内へボールを送るとまたも村田が抜け出すも、ここでもGK荒井がボールに触るのが先に。それでもフロンターレは、栃木SCの本庄に対しては新井がうまく対応し、神野のエリア内へのスルーパスには早坂が前に出てシュートを打たせないなど、いい対応をしていき、早坂が左サイドの宮城へ精度のよいボールを送るなど、守備から攻撃へ切り替えよくつなげていきます。
27分にはスローインを受けたデュークが左サイドの高い位置で粘り、フロンターレへコーナーキックが与えられ、小川真輝がグラウンダーのボールをエリア内へ送ると、新井がシュートを打つも栃木SCも体を張った守備で枠へはとばさせず。
栃木SCは30分すぎに配置を入れ替えて、前線に早乙女が入り、左サイドに本庄が移る形で打開を図りに。
それでもフロンターレは有田が栃木SCの中盤へプレッシャーをかけて手助けをするなど、コンパクトに、いい形でマイボールにしていきます。31分には左サイドのスローインの流れから人数をかけた攻めに。宮城のパスにエリア内、桝谷が飛び出すも栃木SCもねばり強くこれに対応。さらに池谷や桝谷がよくセカンドボールを拾ってゴールヘ迫っていくフロンターレ。32分には有田のパスにエリア内、村田が抜け出すもオフサイド。
早乙女に対してはうまく新井が対応し、時には宮城も自陣まで戻って池谷と連係しながらボールを奪うなどしていき、新井がボールを持ち上がるなど、さらにフロンターレはいい距離感で試合を進めていきます。34分には池谷のパスにエリア内左、宮城が抜け出すもシュートはうまくミートしきれず、最後はGK荒井がキャッチ。
さらに攻勢を強めていくフロンターレ。36分有田がうまく前を向き、右へ展開。上野が右サイドへ抜け出し、小川真輝へ。小川真輝がエリア外右からエリア内へボールを入れると、村田がこれに合わせてボールはゴールの中へ。1-0。先制点はフロンターレへ。
追いかける展開となった栃木SCはサイドからの攻めに。左サイドの川原が機を見て高い位置へ。38分には川原がエリア内へクロスを入れるもこれは早坂がしっかりキャッチ。43分には右からのクロスを坂本がエリア内で競り、栃木SCの人数をかけた攻めを許すも、デュークがねばり強い守りでシュートにはつなげさせず。ロスタイムは1分。さらに栃木SCは右サイドの高い位置へ中三川が上がって、中盤へボールを預けようとしますが、これは池谷がよみよくカット。池谷は持ち上がって前線へパスを出すと、有田が抜け出して一気にドリブルでエリア前に。しかし、シュートはやや右へそれて追加点とはならず。前半は1-0でタイムアップとなります。
後半、栃木SCは前線に早乙女、右に坂本、左に本庄、ボランチは山本と神野に。
立ち上がりからゴールヘ迫ったのは栃木SC。右サイドから中三川が仕掛け坂本へ。坂本のリターンをエリア外左へ流れた早乙女が受けるもこれには早坂がうまく対応。さらに栃木SCは前線から本庄がプレッシャーをかけていくも、小川真輝がうまく対応。フロンターレも3分、右サイドのスローイン、有田、上野とねばり強く、球際も激しくつないで、エリア外右へ村田が抜け出すと、村田はループシュートで狙いますが、これは枠をとらえることはできず。
一方の栃木SCも神野がセカンドボールを拾い、浮き球のパスを入れると、早乙女が抜け出すも高吉がうまく体を入れて最後は早乙女のファールに。1対1でよい対応を見せていきます。
直後にはフロンターレ、高吉がボールを持ち上がり、フィードを送ると宮城が抜け出すも中三川のねばり強い守備でシュートに持ち込むことはできず。それでも前半と同様、ショートパスだけではなく、機を見た一発のボールからもゴールをうかがう姿勢を見せていきます。
栃木SCは、川原が高い位置取りでパスを引き出して前へ仕掛けていきますが、これに対しては池谷がうまくボールを奪い取り、エリアへは近づかせず。さらに坂本がエリア右へ抜け出すも新井、高吉が囲い込んで前を向かせず。9分、切り替えよく前にフロンターレはボールを送り、宮城や有田の連係から前に。しかし、栃木SCも切り替えがはやく逆に中盤でボールを奪ったところから右へ早乙女が流れて、その折り返しに本庄がエリア左へ抜け出し、フロンターレはそれに対して、高吉が寄せシュートには持ち込ませず。さらに栃木SCは左サイドへ展開し、川原、本庄とつないでしかけていくも高吉がカット。なおも栃木SCは右サイドへ展開して、中三川がクロスを上げるもこれは早坂がしっかりキャッチ。
桝谷、池谷に村田、宮城も中よりのプレーでいい距離感でボールを回していくフロンターレ。それに対して、栃木SCは18分には山本がボールをカットしたところから前に持ち上がってミドルシュート。これは枠はとらえられず。さらに坂本がエリア右へ抜け出して縦へ仕掛けていくも新井がうまく寄せて前を向かせず。
19分にはフロンターレも有田のプレスバックからマイボールにすると、上野が右サイドをドリブルで仕掛けて右へ流れた有田へパス。有田のリターンをエリア前で受けた桝谷がパスを出すと、エリア前、村田が抜け出すも惜しくも触ることはできず。
栃木SCは22分、藤原に代わって17柳陸斗が入り、最終ラインは右から中三川、金田、川野、川原、ボランチは神野、山本、右MF柳、左MF坂本、FWは早乙女と本庄に。直後にはエリア右でうまくボールを受け前を向いた早乙女が抜け出しシュート。これは早坂がしっかりキャッチ。しかし、直後にも同じような形でエリア右へ再び早乙女が抜け出し、シュート。揺らしたのはサイドネットでしたが、ひやりとする場面が続いていきます。
フロンターレも24分には上野に代わって9山田新が入りFWに。有田が右MFへ。
栃木SCはさらに最終ラインに山本や神野がかかわり、中三川や川原が高い位置取りで柳や坂本と連係してうまくゴールヘ迫っていくも、フロンターレは早坂や新井、高吉らがしっかり対応してしのいでいきます。中盤では桝谷や池谷、さらには村田がよく競り合い、一進一退の攻防に。31分には池谷がボールを奪い、パスを受けた村田が前を向いてスルーパスを出すと山田が抜け出すもオフサイド。栃木SCも右サイドからの攻め、柳からパスを受けた中三川が右クロスを上げると、早坂がこれをパンチング。セカンドボールを拾って栃木SCはエリア左へ。早乙女が切り返してシュートの姿勢に入るも、高吉がブロックしてシュートは打たせず。
風雨はますます強くなり、「がんばれ」と声をかけるスタンドの選手の家族やチャントで背中を押すサポーターらも濡らす中、続いていく試合。フロンターレは34分、有田に代わって18宮代大聖が入りFW、山田が右MFへ。しかし、なおもゴールヘ迫るのは栃木SC。右サイドのスローインから早乙女が抜け出しシュート。これは新井がブロック。さらにこぼれ球を拾い、柳がシュートに持ち込むも高吉がブロック。
一方のフロンターレも交代で入った宮代がスローインなどからよくボールをキープして起点に。37分には栃木SCのフリーキックをしのいで、すばやく早坂がリスタート。エリア前、宮代にボールが渡り、右へ展開。村田が抜け出しエリア内へ折り返し、しかし、栃木SCにクリアされてシュートには至らず。
終盤、ともにゴール前でのプレーが増えていく試合展開に。38分には栃木SC、早乙女が競ったボールをエリア正面で拾った坂本がシュートを打つもこれは枠外。一方のフロンターレも早坂が前線へ送ったボール、村田が競り、エリア右へ。宮代が抜け出しシュートを打つもまたも栃木SCの体を張った守備に枠へは飛ばせず。直後には再び栃木SC。右サイドへ柳が抜け出すも高吉がこれをカット。すばやく前へ展開し、宮城の浮き球に村田が抜け出すも栃木SCにカットされ、栃木SCはそこから再び右へ展開。柳が高い位置へ。エリア内へクロスを入れるも、高吉がクリア。
さらに続く栃木SCの攻勢。43分、右サイドからのクロスがエリア内に。最後は早乙女がうまく前を向いて振り切ってシュートを放つとこれがゴールネットを揺らして1-1。日本クラブユース選手権のときと同じように終了間際のゴールで試合は振り出しに。ロスタイムは2分。そこで決着が付かずに試合は前後半合わせて計20分の延長戦へ。
延長前半の立ち上がりのフロンターレ。デュークが高い位置へ抜け出し仕掛け、これに対して栃木SCはファール。左サイドの高い位置で宮城がすばやくリスタートするとエリア内、宮代が抜け出しますが、クリアされてシュートにはつながらず。さらに桝谷がボールを奪い、パスを受けた池谷が前を向き、宮城が左へ流れ、リターンを受けた池谷のスルーパスにエリア内、山田が抜け出しますが、シュートは前に出た荒井がブロック。好守で阻まれてしまいます。
さらに左サイド、宮城がためをつくり、そのパスにデュークが高い位置へ。エリア前、宮代、村田とつないで、最後は山田が抜け出すもシュートはブロック。しのいだ栃木SCもカウンターへ。エリア外左へ坂本が抜け出しますが、高吉がブロック、フロンターレはクリアせずにマイボールに。小川真輝、村田とたてへつないでエリア右、宮代へパスが出ますが、栃木SCも激しい風雨の中、集中した守りを見せ、ボールはカットされてしまいます。
栃木SCも速攻だけではなく、金田や川野に山本がかかわって後ろからボールを回しながらゴールをうかがいに。しかし、フロンターレもそれに対して前線から後ろまでコンパクトにして縦へパスを容易に入れさせないようにしていきます。
8分にはフロンターレ、再びマイボールにして桝谷とのパス交換から前に出た池谷の浮き球に山田が抜け出しますが、シュートはブロック。栃木SCも早乙女が起点となってゴール前に迫りますが、これには高吉がしっかり対応。延長前半は0-0でタイムアップとなります。
エンドを入れ替えて始まった延長後半。栃木SCは立ち上がり、リスタートからエリア外左へ本庄が抜け出しますが、これには池谷と桝谷がカバー。本庄は足をつり、いったん栃木SCは選手を交代させようとしますが、再び本庄はピッチへ。
フロンターレは高吉、新井がラインを上げて、コンパクトに押し込みに。3分には池谷の縦パスをうまくエリア外正面で受けた村田が前を向き、エリア左へ抜け出したデュークへスルーパス。デュークはシュートを放つもこれは左へ。4分には宮代、村田とエリア前でつないで最後は山田がシュート。しかし、これには荒井が対応。勝ち越しとはならず。
栃木SCはここで本庄に代わって18長谷川淳也がピッチへ。栃木SCの切り替えのよいカウンターに対してしっかり対応しながらゴールヘ迫っていくフロンターレ。8分、小川真輝が右サイドの高い位置へ。低いクロスを入れるとニアに抜け出した宮代が右足で合わせるもシュートはミートしきれず、上に。ここで栃木SCはさらに山本に代えて3柴山宗太がピッチへ。
試合は1分のロスタイムに。フロンターレは右サイドからの攻勢、村田がこぼれ球を拾ってエリア前に。しかし、シュートはブロック。ここで試合はタイムアップ。決着の行方はPK戦へ。
先攻は栃木SC、後攻はフロンターレで行われたPK戦。1人目。栃木SCが決め、フロンターレは池谷が決めて1-1に。2人目。栃木SCの中央やや右を狙ったシュート、早坂が見事に止める好セーブ。フロンターレは2人目桝谷が決めて2-1。
3人目、栃木SCが決めたのに対して、フロンターレは小川真輝が決めて3ー2。4人目、栃木SCが決め、フロンターレも村田が成功させて4-3。そして、5人目。早坂がはシュートに反応するも止めるには至らず。フロンターレの5人目は宮代。これを見事に決めて5-4。冷たく強い雨が降りしきる中の熱を帯びた試合を制して、フロンターレはJユースカップ3回戦へ駒を進めることになりました。
前半1-0 後半0-1 延長前半0-0 延長後半0-0 計1-1 PK5-4
得点:村田聖樹(川崎)早乙女達海(栃木SC)
フロンターレの先発は:1早坂勇希、5小川真輝、34高吉正真、3新井秀明、11デューク・カルロス、15池谷祐輔(c)、7桝谷岳良、20上野綜太、24宮城天、10村田聖樹、37有田恵人
交代:上野→9山田新 有田→18宮代大聖
控え:16安福祐一 4伊従啓太郎 23島崎元 27森璃太 30山内日向汰
栃木SCの先発:21荒井歩夢、4金田智明、2藤原龍司、5川野秀悟(c)、15中三川海斗、6川原丸暉、14神野淳、7山本廉、10早乙女達海、9坂本昂優、11本庄竜大
交代:藤原→17柳陸斗 本庄→18長谷川淳也 山本→3柴山宗太
控え:21中島健人 29黒川恭也 25関岡大斗 26丹野涼太
夏の日本クラブユース選手権では、ラウンド16、
準々決勝と2度のPK戦を制して準決勝まで進んだフロンターレ。その時と同じように、ねばり強く最後まで戦い抜いてPK戦を勝ち上がったことはきっと勢いを与えてくれるのでは、と期待が高まります。Jユースカップ3回戦は、28日午後1時半、時之栖スポーツセンター裾野グラウンドにてキックオフ。大宮アルディージャとの一戦に挑みます。
(文中敬称略)
写真はかんちさんから多くのものをいただきました。ありがとうございます!
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